文藝春秋から単行本の話があったので「出るとしても7月か8月ぐらいだろう」と余裕をぶっこいてたら嵐のなかの突貫工事みたいなゲラ修正と「あした! あしたまでに! 書名を!!」「えーーっ」みたいな蹴られる背中的なプロセスを経て、いきなり本が出ることになってしまいました。



 まあ、プロセスはどうであれ本が出るというのはめでたい。
 下はAmazonリンクです。

↑ Amazonはこちら


 記事自体は無料で読める文春オンラインの私の記事がベースですが、内容はかなり変わっています。

文春オンライン 山本一郎
https://bunshun.jp/search/author/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%20%E4%B8%80%E9%83%8E

 もっとこう、書籍というのは時間をかけて吟味して編集していくものなのかと経験上思っていたのですが、なんか「わーっ」と企画が立ち上がって「これ目次ですから!」「あっ、はい」みたいな流れになって、ゲラがドーンと送られてきて「週末まで修正を!」「あっ、はい」と半徹夜でせっせと直して、のほほんとしてたら「今日中に! タイトルを!」「え、あっ、はい」とかいう状況に陥りました。物凄く高速のベルトコンベアに乗せられて一気に駆け抜けていった感じがいたしますが、私は今日も元気です。

 別にこの本が出るからというわけでもなかったんですけど、Twitterのアカウントが凍結されたのでムカついて引退して、でもネットも含めてモノは書きたいということでnoteを始めていました。

山本一郎 note
https://note.mu/kirik

 本当は、文春オンラインにはこういう短編小説みたいなのを毎週書きたいなあと思っていたんですよね。ただなんというか、文春オンラインという媒体の良さのひとつでもある「なんでもあり」のごった煮感が強くて、時事ネタ書いても喜ばれる、企業ネタは通勤時間に超読まれる、ロッテオリオンズも許されるということで、まあ好き放題書かせていただいております。その結果として、本書のようなビジネス方面も踏まえた生き方本のような形でまとめてくださったというのは著者としてもありがたい限りですし、まことに励みになります。ありがとうございます。

 初代の文春オンラインのご担当は非常に丁寧な人物で、隅々まで目を通して「この表現はいけません」「そうですか…」みたいなことも往々にしてあったわけなんですが、文春オンラインで書き続けるにあたって、文春用のスタイルを固められたのはこの御仁のお陰だと思っています。逆に言えば、テーマの選定から執筆した原稿案まではかなり自由にやらせてくださったのですが、最後のところで「ここはこう変えて欲しいです」という意見が出たときは、かなりごもっともな内容ばかりだったために信頼して「そうですね…」と変更してきたように思います。非常に助かりました。ところが、ある瞬間からなんか雑な対応が増えてきたなあと思ったら、素敵な会社に転職していきました。何というアナザースカイ。この繋がった空の向こうから一緒に作り続けた私の記事をまとめた本を読んでくれているのかな。

 その後、新しいご担当者さんが決まり、毎週楽しくやり取りさせていただいております。いやー、良かった。良かったんですけど2つ問題があって、ひとつは私の他の連載のご担当者が同じ苗字で似たようなお名前でもあるため、紛らわしくて違う原稿を入れ違えて送っちゃったりするんです。私の人生でここまで池澤という名前の人が増殖したことは初めてです。ちなみに、コンサル先のご担当と、以前からご一緒している企業さんのシャチョー秘書も池澤さんです。紛らわしい。実に困惑する事態です。

 もうひとつの問題は、担当替えして半年が経過しようかというところなのにまだ会ったことがないんです。週刊連載させていただいていて面識のない人が担当であり続けるというのは書き手人生がそこそこ長い私としても初めての体験です。しかも、お互い気にすることもなく原稿の受け渡しをし、仮アップされたURLを見て修正内容などをやり取りし、たまに遅延するけどそこそこ問題なく記事が配信され続ける。他の編集部からも「山本さんは書き手としてイージー」とよく言われるわけなんですが、自分でもこんなことでいいのかとたまに思います。でも何も問題ないならこのままでもいいよね。

 そして、文春オンラインは他の媒体と違って「この記事はこの属性の人にこれだけ読まれました」ということをあんまり教えてくれないのです。文春オンラインの編集長である竹田直弘さんはなぜか東洋経済のセミナーに出かけて行って「信頼できるネットメディア」についてパネルディスカッションされていたらしく、きっと「この著者にはページビューは教えてやらなくても信頼できる記事を書くのだろう」と強く信頼してくださっている証拠だと思って毎週記事を書いています。

「信頼できるネットメディア」とは何なのか | セミナーレポート - 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/159197

 今回ご一緒した書籍の担当編集である斉藤さんは、初めてお会いしたときから「あっ、この人は冗談の通じない人だな」と感じ、また、書籍のゲラが最初に上がってきて一読、私のある意味書き方の手癖である悪口や冗談、悪態のような邪悪な装飾がすべて削ぎ落されたことを知り「これは大変なことになった」と思いました。文春オンラインの原稿でも、文章のリズムをつけたり読者の共感を引き出すために私は文中に短い文章で「バーカ」という表現を多用するわけなんですが、それが綺麗さっぱり全部なくなっているのです。スギ花粉をもうもうと出していたはずの山からスギが全部切り落とされてハゲ山になっているかのような心象風景でしたが、著者として思うのは「そういう悪態も悪ノリも全部落としたほうが、読者として読みやすいと編集者が判断したのであれば、信頼してその方針に乗っかろう」ってことであります。なにぶん大幅に文章が削れているので、たくさん文章を書き足したり、別の表現に置き換えたりしました。でも、自分が毎週書いてある文章に編集者の手がゴリゴリと加わっている、それを読み直しながらゲラを仕上げていく作業は、私にとっては存外に楽しいものでした。

 それもあって、文春オンラインの連載記事を読まれている人たちからすれば「あれっ、これって山本さんの連載をまとめた本だよね?」と感じる部分はあると思います。そりゃそうだろうよ著者である私自身がそう思っているんだからよ。ただ、そういう本に仕上がって私はとても満足しています。誰が、何処で読んでも恥ずかしくない、そういうしっとりとした書籍に仕上がったのはとても良かったです。

 本の詳細や、書ききれなかった解説のようなものは、noteやFacebookページにでも宣伝を兼ねてつらつら書いていきます。

Facebookページ
https://www.facebook.com/kiriknews/
note 山本一郎
https://note.mu/kirik

 興味があったらそちらも是非どうぞ。また、下部にあります通り、有料メルマガでも本の内容についての言及を増やしていこうと思っています。ご関心がありましたら、文春オンラインやnoteと加えて、ぜひ有料メルマガも取ってみてください。

 なお、文春オンラインの中で、ビジネス系と一部ライフ系の原稿だけが本書に収録されています。面白系の記事やエッセイ、エモい記事や、SNSなどで人気を博している記事は残念ながら本のテーマと異なるということで掲載を見合わせています。



 本当は当記事は10日のお昼にでも告知を兼ねて掲載しようと思っていたのですが、なぜか山本太郎さんへの抗議メールが殺到して、ムカついて午後まるまる仕事になりませんでした。いや、ほんとやめてください。マジで。


pose_heart_hand_man.png