ネットで論争になっていたので、田端信太郎さんと藤田孝典さんの本人生対談をAbemaTVでやるという話に興味を持ってしまいまして。

藤田孝典さんと田端信太郎さんのツイッターのバトルが興味深かった https://today-is-the-first-day.com/2018-10-11
カンニング竹山の土曜The NIGHT#41~田端信太郎VS藤田孝典公開討論!~ @AbemaTV で視聴中 https://gxyt4.app.goo.gl/zW61y #田端藤田の生討論

 つい深夜まで見物してしまったわけなんですけど、かたや業績好調の上場企業エリート社員、かたやNPOで現場を見続けてきた活動家ということで、話は噛み合わないものの見事なコントラストになっておったわけですよ。

 個人的には、もちろん田端信太郎さんに近い意見を持つわけですけど、藤田孝典さんの議論は真摯で実直な印象を受けました。一部、感情論だろとか、それ物乞いみたいじゃねという雰囲気の発言もありましたし、「民主主義=資本主義」といった発言の荒さもあったものの、良くも悪くも、いまなかなか思うように働けない人に寄り添うタイプの活動をしているからこそ滲み出る言葉であり、藤田さんの優しさ、暖かさなのだろうなあと。

 田端さんに、なかばすり寄るように「賃金上げましょうよ」って懇願した感じの発言もするんですけど、これってほんと、本心だと思うんですよ。いまでこそ、人手不足で雇われる側が有利だということで、いま給料が下がっている人はどうするつもりなんだろうぐらいの勢いかもしれませんが、高齢化になり外国人も数多く入ってくる状況でどうなるのかは、やはりどこかでしっかりと見ていくべきだと思います。

 富裕層に課税しろという話は、ストック(資産)に対してなのか、フロー(収入・所得)に対してなのかがはっきりせず、どうも収入のようだということは途中ではっきりするわけなんですけど、田端さんが主張したように「収入ゼロだけど資産20億の高齢者はどうするのか」という話になると、とたんに藤田さんは立ち往生するわけです。働けない高齢者だけど富裕層だって判断して税金取るようにするの?

 で、実際に問題となっているのは富裕層と労働者層の差というだけでなく、資産のある老人と貧乏な若者という図式や、都市対地方といった断絶でもあるため、ゾウさんカーブ議論もそうですけどどうやってお金を回していくのかという話にならざるを得ない。その一方で、一代で頑張った人から金を巻き上げるというのは、そもそも所得税やキャピタルゲイン税を一度払って得た資産を運用して増やしていることに対する課税である以上、所得で取って、さらに資産で取るのかという二重課税の問題や、パナマペーパーやシンガポール・マレーシアなどを経由した脱税の話にも容易になってしまいます。

 だからこそ、本来は攻める立場にある藤田さんが、現実を知って理論武装をしていくことで、もっともっと互角の議論になっていくであろうし、貧しい人に寄り添いたいという藤田さんの話は社会主義的というか共産かってぐらいレフトだったけど「この人は重い荷物を背負って長い道のりを歩く人なのだろうな」ということが良く分かって良かったです。

 中盤終わりから、カンニング竹山さんがどんどん話の中心に出てきて、事実上のノーゲームになりました。開始も最初竹山さんの状況説明が長かったので、正味田端藤田対談という意味では小一時間ぐらいしかまともに続かなかったのではないでしょうか。ちょっと話すレイヤーが違いすぎ、また、藤田さんも情緒のある話がメインでエビデンスは特にないので、田端さんも反論や議論を膨らます余地が無かったのではないかと思います。藤田さんに「ZOZOも非正規雇用の賃金上げましょうよ」と言われたところで、広報責任者である田端さんがヒューマンリソースの内容など知っているはずもなく、お門違いなわけですよ。「広報なのだから、雇用の状況も知っていろ」と言えなくもないけど、常識的には自社のうち何割が非正規で、どのような賃金体系であるかということを質問状など予告されることなしに広報が対応することなどあり得ないということを考えると、ちょっともったいなかったかなと感じます。

 田端さんはいつもの田端さんで、ちょっとムカついてる表情が序盤は多かったですが、途中で「負けはない」と分かってから随分リラックスしてました。また、番組途中のアンケートや、途中での反応のピックアップなどは、もっとスタッフが拾える体制にしたり、意味のあるアンケートにしないと藤田さんが可哀想だと思いましたね。後半は喋る職業の中でも良く喋るカンニング竹山さんの独壇場になりまして、竹山さんが藤田さんを経験に基づいた個人の意見を大声で諭す展開となって、お前何のためのホストなんだと思う一方、よく考えたらこの番組はカンニング竹山さんの番組なのだから竹山さんが喋って当然だよなってのも思ったりして、途中で飽きて離脱する原因になりました。

 個人的には久しぶりに動くスパローズ大和さんが見られてよかったです。なんかお酒運んでました。たぶん、この手の問題はむつかしすぎて何も絡みようがないのだろうなあと思ったりしたのですが。

 まあなんつーか、テーマと論客はしっかり揃えたほうが、こういう番組ではよかったんじゃないかと思います。あまりにもテーマがハッキリしなくて、この二人では一時間も討論もちませんよ。序盤から「バーカ」「お前こそバーカ」という話になって、決裂することもあり得たと思うので、もう少しちゃんと仕込んであげると良い討論になったはずなのになあ、とは感じました。

 じゃあこの辺で。


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