いろいろ翻弄されて大変だろうと思うんですけど、前原さんは「何かを変えなければ、民進党は浮上しない」と考えたのでしょう。そして、一人でも多くの議員を国会に送り込む、なるだけ地方組織はしっかりと残すことを考えたときに、いままでの民進党という傷ついた器をただただ経営していくだけでは、勝負がかけられないと判断したのではないかと思います。

 そして、元ザヤだ、また騙されるだと党内でも揶揄する声の大きい自由党小沢一郎さんとの関係をテコに、それも、あれだけ小沢一郎さんを嫌っていた前原さんが、必要であると判断し、それはそれとして野党共闘の路線も睨みつつ、民進党の名前で落とされる政治家が減るように希望の党とクリンチしていくという。もちろん、赤松グループは「とんでもない」と思うでしょう。でも、本当に必要なことは生き残ることであり、生き残るために連合の支援を受けながら、必要な改革を行い政策を実現していくための勢力を残していかなければならない、と。

 勝負師として小池百合子女史がクローズアップされやすい部分ですが、退勢の民進党から一歩前に進むために打てる博打は惜しまず打ちに行く、解党的出直しと口先で言うのではなく本当に解党やむなしの気持ちで野党再編に身を賭したというのは、相応の熟慮が前原さんの中にあったのでしょう。それでいて、民進党の党是というか本懐でもある左派系議員にもきちんと目配せし、混乱はあるにせよ分党しある程度戦える資金ぐらいは譲ってやれるようにするぐらいの度量を見せられるならば許される障害なのではないでしょうか。

 数字を見ている者として「惜しい」と感じるのは、そのまま放っておいてもいままで通りの選挙が連合の支援のもとで可能であるならば、実は民進党はそれなりの票を確保し、議席を取ったであろうという点です。たとえ小池百合子女史の希望の党が急ごしらえで出てきたとしても、限定的な民進党や維新の会との協力であれば東京と南関東ぐらいの限定的な数字しか確保できなかったかもしれません。

 また、民進党の離党ドミノといっても、中堅議員が脱退してもまだまだ打てる手は多数残されていました。そういう手堅い手法で民進党が退勢のままいくよりは、上がり目のある小池百合子女史の野望に乗ったというのはラストエンペラー最後の賭けだとも言えると思います。

 安倍晋三首相が北朝鮮のミサイルを受けて解散総選挙という賭けに出たならば、小池百合子女史も古希前に日本初の女性首相を目指すという野望を実現するための賭けに出る、さらに単体では退勢揺るがない民進党そのものを賭け金に野党再編の大勝負の賭けに出た前原誠司さんという点では、三者三様、非常に、非常に見どころのある解散模様になったのではないかと強く感じます。

 有権者としても、ああこれは面白いな、日本政治は久しぶりにダイナミックな何かを見せようとしているんだな、という感慨を新たにするのであります。かなりマジで。その意味でも、前原誠司さんが民進党の代表になって本当に良かったんじゃないですかね。

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