otsune神とヨッピーさんの間の論争を見ていて、メディアのデータ配信を考えるサイドからすると一番の本質は「タイトルに【PR】や【広告】と入れるとアクセスが大きく減る(サイトパワーとタイトルのキーワードから予想されるオーガニックな流入が激減する)」ことにあります。

 LINEや個人的なSNSで大活躍している田端信太郎さんも書いていますが、ライフ系の記事では如実にアクセス数が予想より6割以上減少するのがタイトルに「広告」が入った場合です。そもそも、LINE NEWSであれYahoo!newsであれ、広告欄のタップ率は常に課題であって、よくコンテンツマーケティングで言われる「面白いコンテンツならば広告でも読まれる」という神話は根底から瓦解しています。

オーケー、認めよう。広告はもはや「嫌われもの」なのだ — LINE 田端信太郎 https://www.advertimes.com/20170515/article250119/

 まあ、みんな広告は読みたくないのです。

 だからこそ、ネットメディア各社は、なるだけ広告未表記でいきたいという強いモチベーションを持ちます。記事本文を読まれたいから、タイトルに広告と入れたくないのです。

 それでも、広告を読ませようとすればステルスマーケティングをして、実際には広告であるのに広告と表示しないで読ませるやり方については、過去に私もかなり取り上げました。また、ネット上のコミュニケーションに関する業界団体であるJIAAでも、ネットと広告の問題はかなり議論になっています。

そもそもステマって、なんでダメなんですか?/ステマ問題を厳しく追及している山本一郎さんに聞いてきた(前編) | Web担当者Forum http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2016/01/21/21609 
ネイティブ広告に関するガイドラインを策定
http://www.jiaa.org/release/release_nativead_150318.html

 しかしながら、現実には動画サイトやinstagramなどリッチ系もSNSも広告が事実上蔓延していて、ブログ開設者が個人的な所得にするために広告を紛れ込ませるというレベルを超えてきました。戦略PR会社やネット広告代理店が一体となって、広告主からお金が振り込まれているのに通常の記事であるかのように広告が流通してしまう問題については、米FTCが警告する事態になりました。

人気絶頂のインスタグラム 「ステマや広告過剰」批判も  :日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO99184480R00C16A4H56A00/
「ステマはだめ!」、InstagramインフルエンサーにFTCが警告:ITpro http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/042101236/
YouTuberのステマのギャラ相場をシバターが暴露
http://xn--h9j4axdc40dcb.net/youtuber-stealthmarketing/

 実際に、YouTubeの「特別な関係」とは、提供や広告表記をある程度(自粛) とはいえ、今後はもっと適正な表記を行うよう行政が動くことは考えられなくもありません。ただ、日本の場合、公正取引委員会や消費者庁も問題を認識はしているようですが、具体的な問題解決への介入は実質的にはまだで、具体的な被害者の出ることの少ない広告未表記の問題で警察庁・警視庁が動くことは考えづらいというのが実情です。

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 やはり、アメリカFTCのように、フェアトレードというビジネス倫理の世界からこの問題について強く問題意識を持つ機関が整理していく以外ないのではないかと思います。したがって、私はタイトルに広告表記とするかについては「広告表記したほうが読み手に対して親切(メディアを運営する側が、読み手の『広告なら読みたくない』という心情に誠実)」だと考えています。細やかなレギュレーションについては、JIAAのサイトでガイドラインを読んでいただければほとんど理解できると思います。

 この問題をより悪くするのは、Googleがすでに発表しているように、悪質な広告を表示しない方法について具体的な動きが出てきていることです。

Google、悪質広告のブロック機能をChromeに搭載へ http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/idg/14/481709/060600330/ 

 もちろん、Googleが自社ブラウザで「悪質だ」と判断した広告をブロックすることは福音ではあります。一方で、Google「が」この広告は悪質だと判断する方法は開示されないでしょうから、検索エンジンの上位表示のロジックをハックしてSEOと称してサービス化したり、アプリランキングを不正なブーストで操作しようとするようなビジネスは横行するでしょう。また、広告なのか、広告ではないのか微妙な線を突くネイティブ広告も増えていくと思われます。

 そして、残念ながらGoogleの目指す世界線があるのだとすると、ヨッピーさんの意見は通りません。仔細は省きますが、いまはともかく、ゆくゆくはそのようなコンテンツは「悪質だ」と判断されることでしょう。ただ、ヨッピーさんの問題意識や主張も正当なものであって、ただネット系大手企業の目指す未来とは相いれない部分がある、ということになります。

 究極には、そういうインターネットを利用するにあたって「何が有害か、悪質か」をGoogleをはじめネット企業が勝手に決めていいのか、もう少し民主的な方法はないのかという問題意識は持たざるを得ません。ユーザーが「広告なら見たくない」という考えが強いからこそ、企業は対策しているだけなのですが、一方で、企業とネット閲覧者を結ぶコミュニケーションの形のひとつが広告である以上、企業はネット閲覧者とリレーションシップを勝手に結ぶな、結びたければGoogleやFaceBookやAppleにお布施を払うのだ、という話になっていきます。

 私もネット古参兵のひとりとして、Otsune神とヨッピーさんの話は興味深く読んでおりますが、まあ結論は出ない前提で考えを整理するためにも一通り目を通すことをお薦めします。


先日、研究所の流れでメディア企業の実例研究会に呼ばれて講師として喋り、終わってから「ネットや映像に関するワークショップ」みたいなのに参加したところ、変わった記事が紹介されていました。

第20回「若者のテレビ離れはない」(魚拓)
http://megalodon.jp/2017-0511-2121-15/social-trend.jp/35104/

 あえて魚拓を貼るわけなんですが、指南役さんという元ホイチョイ方面と思われる御仁が書いてらした記事です。

 たぶん、指南役さんはエムデータの基礎数字はおろか、映像配信サービスのログサマリーも読んでないからこそ、堂々と「若者はテレビを観ている」と言えると思うんですよ。まあ、私も数字でしか見てないので、じゃあ具体的にどの番組やカテゴリーから若者が見なくなっているかは体感がないわけですが。

 また、動画サイトでの閲覧が増えている理由として「大学生の必需品はWiMAX」とか書いちゃって、おそらくはUQが大量に広告を投下した時期を勘違いして「若者のテレビ離れ」と被せてしまったので、データ解析を学習途上の若い社員からもダメ出しをされておりました。

契約者数
http://www.uqwimax.jp/annai/kokai/keiyakusya/
過去分
http://www.uqwimax.jp/annai/files/kokai_subscriber.pdf

 まあ、一事が万事こんな感じなので、おそらくは感覚で現状を理解し、論考し、対策を立てるタイプの古い世代のテレビマンはだいたい同じ認識なんだろうかと感じます。いま「会員制のネット動画の主たる客層は若者ではなく30代女性ですよ」と指摘することの意味は特になく、むしろいまの売れるコンテンツ作りは共感を呼ぶための”ターゲット世代”とか”属性”といったものを絞れば絞るほど刺さらなくなる現象ってのはあると思うんですよ。

 例えば、広告主である食品会社(別に特定のどこということではない)が30代独身男性に向けて手軽に家で食べられる商品を売り出したい、だからそういう世代に刺さるコンテンツを作っている番組のスポンサードについて… みたいな売り方が現代で通用しているか、という話です。ビールでも自動車でもいいけど、どの属性の誰々に向けたメッセージをというと、どうしてもコンテンツやキャスト主導になりやすい。でも、男性に向けて作ったコンテンツが肝心の男性から見向きもされないとか、EXILE出しておけばEXILE好きは映画館に足を運ぶだろうと思ったら微妙な出足だったとかたくさん起きるわけです。

 そうなると、コンテンツの作り手や広告主が思っている「若者」というのは主語がでかすぎてまったくスコープにならないだけでなく、ジャンルの絞り込みにすら役立たないということが起きることになります。まあ、実際にそうなのだから仕方がないとしか言えないんですけど、一番動画サイトにカネを払う40代男性、30代男女、ここに向けて出すコンテンツを一番カネ払って見たのが50代男性だった、といったとき、年代で区切ることにどういう意味があるのかを考え直す必要があるんですよね。

 だからこそ、キャストの情報で「このタレントは誰々に人気がある」というものがいままでは視聴数予測では王道だったのが、いざネット動画サービスが興隆してみるとあんまり影響してなかった、アウトカムに結びつかなかったということは往々にしておきます。これは仕方のないことです。でも、じゃあどこに届いたのかを厳密に見てみると、実は年齢横断的な恋愛映画のマーケットがあったとか、口コミの主体が若い女性のInstagramではなく中年のやってるFaceBookだったとか、そういうことになるわけです。

 いままでマーケットに商品を投げ込んでいたと思い込んでいたものは、実はコミュニティに届いていて、そこに生息している人たちはもっと多様なんだということに気づいたのが、動画サイト関連の重要なポイントだと思います。アニメに客がつくのも、時代劇が廃れたのも、そういう視聴者同士の横のつながりはもっと柔軟で多様だったということに気づくと、データの見方ももっと変わっていくんだろうなあと思う次第であります。

「これはいつか取り上げないとなあ」と思っているうちに半年ぐらい過ぎちゃいましたが、昨今巷を騒がすサイバーセキュリティ絡みで興味を持たれたり、何らかウェブの仕事をされている方は目を通しておいて何も損はないというレベルで品質の高い良書だと思います。

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  いま問題になっている「ランサムウェア」からサイバー関連組織「アノニマス」についてまで、セキュリティ関連で世を騒がせるキーワードが余すところなく解説されているうえに、具体的にどのような攻撃があり、どういう問題が起きるのかといったところを丁寧に論述しているのは、問題意識を両手に抱えて第一線で日々走っている著者だからこそ、という面は強いです。

 何よりも大事なことは、セキュリティについての技術的な詳細だけでなく、なぜセキュリティに取り組む必要があるのかという一貫した著者の姿勢がはっきりしている点でしょう。往々にしてありがちな「なぜこれが問題なのか」という問いに対して、かなりきちんと真正面から答えられている書籍が少ない(あるいは、技術的な正しさが前面に出やすい:ただし、それがいけないというわけでもないが)ことを考えても、入門書として手にとっても何ら不思議ではない一冊に仕上がっているのが素晴らしいです。

 また、すでに削除されてしまっていますが、著者の実のお母さんがこの本のレビューをAmazonに書き、著者の親族や関係者が書くレビューはNGということで幻の逸品になっているのも興味深いです。某所でこの「>>1の母です」レビューを入手しましたので、下に貼り付けておきます。

 読んでいてほとんど難点の見当たらない本で、願わくば二年か三年に一回、時事的な内容も盛り込んで改訂本を出すかシリーズ化してほしいと願ったりします。この方面に少しでも関心があり、キーワードについて知りたいという方には強くお勧めします。


 以下、引用。

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 著者のおかんです。

手前みそではありますがこの場をお借りして一言述べさせて頂きたい。そんな気持ちからレビューを書きました。息子はこの仕事に携わるプロでありますが私はそれとはかけ離れた生活をしており彼の仕事の内容をアバウトに理解をしていました。興味が無かった訳ではなくきっと難しいだろうと思い到底自分には難解であろうと考えていました。そんな私ですが折角購入したのだから解らないなりにも全部読んでやろうと企み恐る恐るページをめくり読み始めました。はじめに~から始まり次に進んで行きます。日経の毎月27日に発売されている月刊誌の1年半くらい分のまとめなのですが解らないことを調べ調べページをめくって行きます。読みながら見ているうちにふむふむと思ったりぎょぎょ難しと思ったり気付くと自然と一人で首をたてにふっている自分がいました。私のような人にも解るんだ理解する事が出来るんだとびっくりです。そんな感じで最後の謝辞まで至りました。謝辞を読んだ後涙
が溢れてとまりませんでした。何度も何度も読み返しました。何度も何度も大泣きしてしまいました。それと同時に今の彼があるのは多大な方々の深い深い愛情と友情の中に包まれ素晴らしい世界の中で生かされているのだと思ったのです。人間は一人では生きていけません。いつもどんな時も息子を支え応援して下さる皆様本当にありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。IT ICT コンピュータセキュリティ私には無縁であった世界がすぐ側にあるという現実 。生きていく上で何かしら直面するコンピューター世界私にはこの本が身近に感じられる良い機会になったと思います。。ラフなスタイルで手に取ってご覧いただけたらと思います。
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 こんなの泣くだろ… 「人の親として、人間として、私もいい仕事しなきゃな」と思わせられた、素晴らしいレビューだと思います。




 やるんですよ。すっかり告知を忘れていました。

世の中のミカタ総研(Salonde)
https://salonde.jp/salon/top.php?salon_id=1636 
ネットメディア関係者が知っておきたい数字とトレンド(世の中のミカタ総研トークイベント)
http://peatix.com/event/264386/view

 場所は五反田ノオトのcontentz。

 今回もいつもの名物ライター・ヨッピーさんと、スピーカーに元ネットレイティングス、現トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長の萩原雅之さんをお呼びして、ネットと読まれ方についてのお話をしたいと思います。

萩原雅之
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%A9%E5%8E%9F%E9%9B%85%E4%B9%8B
Contentz(イベント会場、@五反田)
https://contentz.jp/

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 最近はどっかの誰かがステマ案件を燃やしたり、WELQバーカって騒いだりしたお陰でいろいろネットメディアもやりづらい状況の中で、上場ゴール案件あり鳴かず飛ばずで身売りありと世知辛い業界環境ではありますが、元気を出して前を向くために「数字を読み、お客様に愛されるコンテンツを作る」方向へとシフトしていきたいと願う諸氏に参考となるイベントにできたらと思っております。

 なお、二次会は特に用意されておりません。適当にコンビニでビール買って公園で飲んで帰るなど、財布と環境に優しいメディア野郎ライフを送っていただければ幸いです。

 よろしくお願い申し上げます。


 都議選も近いこともあり、各メディアで全国的&東京都民向けの予備調査が進んでいるところですけれども、設問によって毎回大きく結論がブレることで有名な「憲法改正に関する是非」も多くの媒体が調査項目に入れております。

 結論から言うと、どうも日本人はメディアや安倍政権・官邸が思うほど憲法改正について興味がないのだということになります。年金などの社会保障や、雇用・経済情勢に次いで出産・子育て、安全保障・外交問題の下に憲法問題が来る程度でして、みんな関心ねえんだなあとひしひしと感じる結果であります。

安倍首相「改憲の機は熟してきた、必ず一歩を踏み出す」:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASK515V5JK51UTFK00R.html

 2007年にNHKが実施した憲法改正に関する世論調査が下敷きになって、どっちに風向きがあるか検証することが多いようです。07年当時は憲法改正論議が盛り上がりを欠いている中で、ある意味で何もない状況で国民が憲法改正についてどう思っているのか、をきちんと訊いたという点でいろいろな思いが去来するわけであります。

憲法に関する意識調査 NHK 2007年
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/social/pdf/071201_02.pdf

 第5問を見ればわかる通り、憲法を改正する必要があると答えた人は40.8%、改正する必要がないと答えた人は24.4%、どちらとも言えないその他が34.7%であって、単純な多数決で見たときは「憲法改正したほうがいいんじゃね」と思う日本人は多いとしても、憲法改正に必要な議席数を考えるとむしろ「どちらとも言えない」人たちがどう転ぶのかを見極めることが大事になってきます。だからこそ、この中間層の動向がどちらに傾くのかということを考えるうえでは、世論調査で憲法問題を聞き続けて日本人がどういう気持ちの変化を持っているのか知ることが重要だよという話になるわけです。

 ところが、今回予備調査の中で大きな動きが2つあって、片方が「繋がりやすい携帯電話に対するRDDサンプリングを実施し始めたこと(ただし前回数値との連続性は失われる)」こと、もう片方が「ネット調査やインタビュー方式など複数の調査を横断的に行って、意見のグラデーションを調べ量になった」ことがあります。

 前者は、従来のRDDでも充分バイアスの補正はしているけれどもやはり携帯電話で直接話が聞ける若い人(固定電話を持つ割合が高齢者に比べてとても低い)の意見を吸い上げられること、また後者は憲法改正に「賛成か、反対か」では賛成なり反対なりの回答をするけれど、その意見がどのくらい強固であるかがよう分からんところがあったのでこれからはもう少し細かく聞きましょうという流れになったことがあります。調査手法が進歩したというのもあるのですが、国民にとって憲法問題をどう受け止めるのかを判断するうえでは足りないピースを加えたいという強いニーズがあったということの裏返しでもあります。

 で、設問の文章や順番によっても前後するんですけれども、若い人に憲法問題に関する関心が薄いのは当然として、60代以上の男女ともに憲法問題に対する盛り下がりが観られるのが気になります。もっとも、彼らの差し迫った問題は孤独死・独居死に始まる医療年金介護といった社会保障関連が切実すぎるというのもある一方、実のところ、もっとも世間一般の時事問題から遠くなる世代が60代70代80代でもあります。実際、新聞購読を辞めてしまう世帯主の7割がリタイアした60代70代世帯であり、主たる情報源はテレビが圧倒的になっています。地味に安全保障問題に一番関心があるのが60代なのは、間違いなく朝の情報番組や昼のワイドショーで北朝鮮問題を煽られたからだと思ったりします。

 10年前に比べて「憲法問題に比べて大きく関心が失われている」というわけではなく、「もともとそれほど国民の主たる意識の中に憲法問題がなかった」のでしょう。先に挙げたNHKの調査では、第1問に「あなたは憲法問題に関心を持っていますか」と持ってきているので非常に関心がある18%、ある程度関心がある55%になりますが、年齢のバイアスを取り除き、設問を後ろのほうに持って行ってみるとどの調査でも関心があると回答するのは35%から40%弱ほどに下がってしまいます。あるいは、ほかの問題と並べて「この中で重要と思う問題を3つ、特に重要と思うものを1つ挙げてください」とすると、憲法問題が特に重要だと回答する人たちは一桁%真ん中になってしまうわけです。

 日本の未来を長期で考えたときに、憲法問題が日本の飛躍に障害となるのだ、だから国民の関心事項から遠かったとしてもいま安倍政権が取り組む価値があるのだ、という理屈はまあまあ分かります。戦後政治の中で、安倍内閣が最長の安定政権となり、敵失もあるとはいえ依然六割超の支持率を維持しているのは大事なファクターだとも思います。また、この安倍政権で憲法改正ができないのだとしたら、いったいいつ、誰がどう改正できるのか、という議論があるのも理解できます。

 「じゃあどう改正するの」という議論の中で言えば、先日の安保法制に関する事例や、昨今の共謀罪に関する議論を見ていると、お世辞にも精緻な論議が国会内で積み重ねられているようにも見えません。○○が必要だ、なぜならば、という詰めをしていくにあたって、まあ実際に施行されてしまえばそれほど大きな問題が起きないのだとしてもちゃんと国会で議論しておくことの大事さは私がここで述べるまでもないことです。

共謀罪の共謀
http://danblog.cocolog-nifty.com/index/2017/05/post-e95b.html

 国民の大多数はたぶん興味がないんだろうなあと思うような憲法改正においても、その機運をしっかりと高めて議論を積み重ね、日本の将来を見据えた憲法論に仕上げていくには、いまの安倍政権の一本調子の方法論だけでは厳しいのではないかと感じます。いつだか、自民党の改憲案がクソすぎて笑いものになったりしてましたが、あんまりフワッとした内容で改憲論を進めるとデッドロックになってもおかしくないのでもうちょっと考えたほうがいいんじゃないでしょうか。

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