笹の葉さらさら なんて題名のブログを書きかけて、下書き保存にしたまま時が流れておりました。この一週間、灼熱のように暑い毎日が続いて外の植物も我が体も干からびている。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私は先日から、芸術センターで行われている夏の子ども教室の講師を勤めている。これは能楽の普及事業として、小学生から中学生の子どもを対象に毎年募集されているそうだ。1日90分の5日間の稽古を経て舞台に立つことができる、正に夢の企画である。
求められる内容は、仕舞や囃子を舞台までに繰り返しくりかえし稽古をして、ひたすら覚える事。
もしかすると子どもには能の本質部分を理解することは困難かもしれない。しかし、いずれ彼らが大人になってこの体験を思い出し、"能に触れてみよう"なんて思わせたらば、この事業はそこで成功したといえる。
その後、彼らは能を観に能楽堂もしくは薪能へ行く。そのとき初めて能楽師の真価が舞台上で問われる…決して今ではない。嗚呼、なんて遠い道程。いつも能の舞台はそこにあるのに、という悲しさ。普及とは何ぞや。
今はわからずとも、いつかはわかる。そういう世界はきっと存在する。
この普及は遠くもあるが近道でもある。私はこの催しが数ある能楽の普及事業の中では結構価値の高いものだと思う。折角の普及事業なので、是非多くの方々に参加をしていただきたいものである。
それにしても子どもの吸収、呑み込みの早さには驚かされ、また元気に圧倒されている。己の老いを一瞬感じてしまったことは悔しい。残りの2日分の稽古も、負けじと頑張ろう。