「桃栗三年柿八年」
この能装束を着付けることも
能楽師のシテ方(主役)の任務
完璧な技術になるまで
何年掛かると思いますか?
前後の二人で着付けを致しますが、
前10年、後5年
と言われております。
楽屋見習いでは、
先輩に針をお渡しする仕事や
物を押さえているだけの仕事、
見ているだけのところより、
始まります。
その間に先輩の仕事を見て覚えます。
誰も一から教えて頂くことは
無いのです。
だいたい怒られるか、
叩かれるかして、成長させて頂く。
立派なものになる為には
時間が掛かる、ということ。
学生の頃、
いわゆるマニュアルの無きことに
理不尽に感じていた時期もある。
マニュアルが無いために、
自分なりに思考を働かせ、
時には失敗をして、
先輩にコツを聞いて、
勉強を致す。
今でも凄まじい失敗をする時もる。
こうして身で覚えたことは、
なかなか忘れぬ。
ひとつずつ仕事にも責任を感じ、
自信が生まれる。
いかに小さい仕事に対しても、
美しいものを求める。
それが仕事に対する真心。
マニュアルの無いことは
遠まわりではなく、
美しい仕事のための近道なのだと
この頃知る。
では日記。
一昨日、
同流の今井清隆先生のお手伝いの為
母校の同志社大学へ行く。
テレビでも話題になりました
同志社の創立者である新島襄先生の
番組撮影にて。
グリークラブの美しい歌と能の舞
何故か謡も導入されていて、
それは何だか奇妙な感覚でした。
綺麗に編集していただけるのでしょう。
勿論、先輩である今井先生の舞は
美しいものでした。
卒業して再び訪れ思うことは多く。
本腰で勉強するべきであったなあ
とは口が裂けても言えぬ。
それでもまた入学したい程の
素晴らしい環境に惚れぼれ。
今でもたまに散歩を致す。
そして今日。
先生のお計らいで、習字を致す。
書道研究温知会の
神郡宇敬先生より書道の心得を
教えていただきました。
これから勉強させていただくことに。
書道は小学生以来。
本日は己の名前を書きました。
やはり大変難しいものだなあと
感じました。
身体を使うて書く方法を学びました。
有難や。
書道にも終わりなき。
長い長い。
この書生下駄の履き慣れる方が
早いことだろう。
伊と忠さんに入院させたものが戻り
早速履こうと思いましたが、
明日より2回目の東北公演。
気を引き締めて参ります。