昨日、京都能楽養成会。
船弁慶の仕舞を勤めました。
連日で同じ曲
反省を活かしつつ
2014 奈良薪能にて撮影
丁度「邯鄲」(かんたん)という
能の曲の謡本が置いてありますから、
端折り簡単にご紹介したく思います。
むかし、中国に住む盧生(ろせい)という青年がおりました。人生とは何かを偉いお坊さんに聞こうと旅に出ました。旅の途中、邯鄲の里というところで泊まることに決めました。すると宿の主人が、ひとつの枕を持ってこられました。
「この枕で寝ると、この世の権力や財力、すべてが自分のものになるという、不思議な枕です」
盧生は、直ぐにその枕で寝ることに決めました。
夢の中に訪れますと、さっそく盧生のもとへ王様の使いの者がやって参り、盧生は宮殿へ連れて行かれました。王様となった盧生は五十年もの間、贅沢な時間を過ごしました。お酒を飲み、舞を楽しみ、自らも楽しみました。お遊びに明け暮れるうち、春夏秋冬の季節も目まぐるしく移り変わり、更に五十年ほど経ちますと、この贅沢な時代が終わりました。今までありました宮殿は消えて無くなり、あれよあれよと言う間に、盧生の夢は覚めました。
盧生は宿の主人によって起こされたのですが、其れは、ほんのご飯を炊く時間でありました。
人の一生はただの一睡の夢の世
であると、盧生は悟り、
この尊(とおと)い枕に感謝をしました。
そういえば、先日、枕を跨いで山に捨てられた少年の話を致しました。
以下参照⬇︎
まくら
神様のいるところの 「かみくら」
と関係が深いと聞きました。
漢字でも時折「真(ま)座(くら)」と当てる。
歌にも「草枕(くらまくら)」や、
「手枕(たまくら)」の言葉は多く見る。
岩を枕に死にたいという歌もあります。
人に取りまして、枕は重要なのですね。
邯鄲の枕より、たまくら が良き。