祇園祭そののち雷
これにて京は夏を迎える

夏は夜。月のころはさらなり。
やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。
(清少納言/枕草子)

夏といえば、やはり夜なのか
蛍の季節はじめじめした初夏
もう過ぎたと思えば懐かしくなる

今は台風が近づいておりますが、
まだ素晴らしく青空が続いていた。

春すぎて夏来にけらし白妙の
衣ほすてふ 天の香具山
(持統天皇)

お昼間に見た雲殿は
正に、白い洗濯物を干したような
雲にござりました。

能の謡はいわば和歌の連続で、
情景描写を想像させることが多く
それゆえ難しくもある。
ところが、ひと度、謡の文句と
囃子が奏でる風景と、
自分自身の記憶の風景が合致するとき
無限の世界観が頭の中に広がります。
何を言うてるのか…
とお思いになられる方も少なくないと
存知ますが、
まさにその言葉に尽きます。

とにかく美しい景色や姿は
万人に理解されるもの
たくさん目や心で感じるべきだと思い
毎日探す心で臨む

本日のお客様…?

人生の大先輩。
ヒロノさんは、配膳業という
京都独特の職業の方です。
配膳さんのお仕事とは、
楽屋(先日記事に載せました)のお茶汲みや
下足番、お弁当の御用意など
何でも屋さん。
楽屋にたくさん出入りされるので
能楽師の名前や序列
力関係もたくさんお覚えになります。
(適切な表現がわかりませぬが…)

以前、尊敬する能の先生から
このようなお話を伺いました。

配膳さんに"せんせい"と呼ばれたら
お前は一人前や。呼ばれんうちは、
まだまだ、あかん、と思うて
気張らなあかんで。


この期間は祇園祭り。
旧金剛能楽堂のございました
菊水鉾町の係として、
暑い中お働きになられております。
粋なスタッフシャツ。

菊水鉾町のお話は少し前回も触れました。
「捨てられた美少年と菊水の話」
楽屋の話「直心」
 煙草をのむ ヒロノさん   ※ご本人の許可を得ての撮影です

わしはな、九十になっても煙草すってんにゃ。
これ見せる人にそうゆうとけ。


本当に元気でございます。
夏の暑さにやられています
己の情けないことに反省致す。


祖父より譲り受けた夏着、
急ぎで洗いに出し、戻りて参りました。
今年は出番が多いので楽しみです。



散策つづき
寺町通に戻り、四条通まで
そこから川端まで行き知恩院


みすや針さん

三条のみすや針さんを後にして
一先ずは河原町通まで行きました。
日曜日は人の多いことを知る。
土曜日曜は能の公演が多いため
たいていお仕事なのですが
珍しい。

三条の河原町通を少し下がるところに
六曜社さんという珈琲屋さん
ここは学生の頃より来ておりました。
休みになるとよく寄りました。
お気に入りは、ドーナツとチャイ。
砂糖多め。自分で入れます。
非常に有難い美味しさです。

六曜社



その後は、寺町通りへ戻りまして、
菊一文字の刃物屋さんを少し見物。
靴屋さんを通り、四条通まで下がる。

先ずは、つげ櫛で有名な十三やさん

そして、河原町通を渡り、
もうひとつの、つげ櫛で有名な
二十三やさん

其々の店名の由来…

くし →  苦死を連想させぬよう、
9足す4  で13なので、十三や
唐くし→ 10 9 4 なので、二十三や

大好きなつげ櫛や笄を拝見
良いものは手に取り見極める


そのあとは伊と忠さん
京都で履物といえばここ
僕の先生も御用達で長く保つ良きもの

僕は身分を考え
書生下駄を購入。
永らく欲しておりました故



職人先生に調節していただき…
どや。
身の丈が10せんち以上は高うなり、
世の中の見方も変わりそうです。

一枚歯は天狗や修行僧

この二枚歯でもなかなか
重心を保つのが簡単ではないです。
能の修行のため暫く履こうと思います。


帰りは知恩院で散歩。
癒された充実の一日。
僕の休みはこのような感じです。
長々と書き連ねましたが
御高覧有難うございました。

感謝

散策つづき
次は寺町通から三条通へ曲がる

〜前回 までの流れ〜
1「鶴の笄」

内弟子生活に取りまして、
自由行動の休みは非常に稀なことで
正月のように忙しい一日を送ることも
しばしばです。
果たして休みになるのか。
書生の正月
寺町通を下り、途中三条通に入る。
目的は「三條本家 みすや針」さん


一六五一年、宮中御用針司を務められました老舗でございます。

参勤交代などで他国(いまの他府県)より
来られたお侍さんたちは
京のお土産に針を求められたそうです。
一本ずつ手作りの針はとても良い
貴重なお土産なのでしょう。
今よりも針は本当に身近なお道具。
私も仕事で着物を着ますので、
お針様は必須です。

一緒した者と沁みじみ…

長旅より家に帰りて、
大事に懐中していた取り出す
その姿を想像し、素敵だなあ…と
みたことのない昔を想い、
深く感じました 

ビルの合間より奥へ入ります。
そこは異空間のような素敵なところ
実は蜂がいてビビっておりましたことは
秘密でごぜえます。
江戸っ子は怖いもの無しのはず。

お針やさんのお兄様と写真。
素敵なお方で色々教えて下さいました。
人間の髪か加工する前の羊の毛が
錆び防ぎに良いそうです。

前に寄りました時
お店のおかあ様よりお聞きしました。
昔は新撰組が前をばたばた走っていた
そのような時代はまだ新しい、と。
時代の流れを感じました。
中でお着替えをされたりとか…
それは作り話かも知れないと
お兄さんに一刀両断。


何も購入致せずでしたが、
お針はここで揃えようと決めました。

お針については、
「錆びにくいです。
絶対錆びな…とは言えませんなあ」

こちらの針は少し使用しておりますが
綺麗な本当に美しい仕上げです。


針、たくさんの種類

小さい可愛い飾り針もございます。
これ待ち針のように使用されると
取れますのでお気をつけください。
とのことです。


京都観光には是非、みすや針さんへ。


長らく務めばかりの日々
お休みの間を一日賜り
有難きことかな

京都の寺町通り散策を致しました
(その後は三条、四条という道筋)

いつもの業務である"御使い"では
寺町通りはよく参りますが、
のんびり見物は初めてのこと

たくさん回りまして、
本当に日が暮れました。

いくつかご紹介致します😊

先ずは日本茶専門店の一保堂さん
お家元御用達💡
プライベートで参るのは久々のこと。

玉露と煎茶を頂戴しました。
玉露は適温の60度で煎れると、
雑味のない甘い味を堪能できます。

熱湯の入りポット、茶筒、茶碗四つ
をお持ち頂き、
解説付きでいただけます。
初めての方は煎茶と飲み比べると
其々の違いが判り楽しめると思います。

一保堂 


その後は、大好きな象彦さんへ行き、
漆器の商品を眺めに。
眺めるだけ。
象彦さんの漆器が好みなので、
お稽古場の道具はこちらで揃えました。

象彦
他にも、紙屋の柿本さんや、
錫(すず)の清課堂さんなど拝見。
寺町通りには宝物が沢山でした。


御池通り(京都人ならすぐわかる)を下り、
本能寺へ参りました。
丁度、本能寺バザーが催されており、
お茶碗を購入いたしました。


 十客を百円玉一枚と交換!
お母様たちが、
「これもどう?あれもどう?」
と沢山お勧め下さいましたが、
とても持ち切れる量ではなく断念。
お姉様方有難うございました。


つづく





 本日は能楽堂にて学生さんのための
 鑑賞教室がございました。
 「八島(やしま)」の能でした。
  🎉初めての本後見 
 
 修羅道に落ちた源義経
 修羅での戦いの様を見せます。

 仏教の世界では
 人は殺生を致しますと
 修羅道に落ちます。

 修羅道は毎日戦争の日々です。
 そして命を落としても、
 また蘇り、修羅に生きます。
 
 今日の修羅の敵はたそ  / 八島 



 楽屋 (がくや) 

能の舞台前は出演者の能楽師や
関係者は楽屋におります。
能楽堂の場合(場所によりますが)
一人ずつ部屋があるわけではなく、
皆が同じ間におります。

その中にも
いくつかの部屋があります。
大抵、僕の所属する シテ方(してかた)
ワキ方、狂言方、
お囃子方で分かれます。

※ シテ方 / 主役と舞台進行
   ワキ方 / 進行に関わる役
   狂言方 / お狂言
  お囃子方 / 笛 小鼓 大鼓 太鼓 

一つの部屋を、
先生や先輩と一緒に共有致します。

当然、駆け出しや若手の私どもは
廊下でお邪魔させていただきます。
一つの間でも暗黙の了解で
一人ずつの場所が決まりております。

私は高校を卒業して直ぐ東京より上京
京都の楽屋入りをしました。
楽屋の使い方を知らず叱られたことを
思いだします。
先輩がご飯を召し上がるときは
部屋で着物を畳まない。
己の着物も半畳で畳むように
教えていただきます。

人のことを考えて致すこと


他にもたくさんございますが、
この厳しい秩序により
日本の伝統は守られていること
を感じます。

以前参りました  大元さんの コノハナザクラ


直心、是れ道場

容易なことではありませんが、
常に真直ぐな心、素直な心で
ありたいと思います。

↑このページのトップへ