出演するアカペラライヴが今週末に迫ってきました。良い機会かと思いましたので、勝手な持論をまとめておきます。

お客さんに対しての物言いなので、偉そうに聞こえるかもしれませんが…僕もプレイヤーである以前にいちリスナー、いちオーディエンスですので、何卒ご容赦ください。

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「録音・録画しないでください」


失敗した部分が残ってしまうとか、ステージ上でコケた映像がYouTubeにアップされてしまうとか(経験談)、そんな心配をしているのでは、勿論ありません。

録音や録画に気を取られていては、「その空間」「その瞬間」を目一杯楽しむことが出来ないと思うのです。演者もお客さんも。


自分の歓声や手拍子が入ると後で聞き苦しい?
リズムに合わせて身体を揺らしてしまうと映像がブレる?

…さて、想像してみてください。あなたが演者です。ステージに立って、客席を見てみてください。


嗚呼!いかんともしがたい寂しさや物足りなさを感じませんか。僕は、CD売ってます、と言いたくなります。

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次はお客さんになってみましょう。


秘蔵コレクションがまたひとつ増えるぜ!とか、聴き込んで練習するんだ!と、固唾を呑んで、RECボタンの明滅を見守る。

今日来れなかった友達に後で見せてあげるんだ!とか、YouTubeにアップするぜ!と、iPhoneの画面を通して手ブレ補正しながらステージを観る。

そういう楽しみ方もあるでしょう。(これらを楽しみ方と呼ぶのかどうか僕には分かりませんが)


でも、あなたの隣の人は、そういう楽しみ方をしたい人じゃあ、ないかもしれない。


では、隣の人になってみましょう。


手拍子をしたい!リズムに乗りたい!一緒に歌いたい!合いの手を入れたい!野次を飛ばしたい!

それも、この会場にいるみんなで!


でも、周りを見渡せば、ひとり、またひとり、両手がふさがっている人、息を殺している人、微動だにしない人…。

つられて、手拍子が止まり、動きが止まり、笑顔が消え…。


嗚呼!本当に素晴らしいライヴだと、隣人同士、感動を共有できるのでしょうか。

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ライヴの何が楽しいって、ざっくり言うと「一体感」と「肌で感じられること」だと思うのです。
本当に同じ瞬間に同じ空気を感じて同じ気持ちになって、"Yeah!!!!!!!"と叫べるのです(声に出しても出さなくても)。

ステージ上でノリに乗る演者。盛り上がっちゃって叫び出すお客さん。勢い余って目潰しを乱発しちゃう照明さん(いるのかなそんな人)。


勿論、楽しみ方は人それぞれです。静かに聴きたい方も、声を出すのが恥ずかしいという方も、身体ではなく心を踊らせている方もいらっしゃいます。(昔お客さんから教えてもらいました)
手拍子を強制するのも、コール&レスポンスを強要するのも、違います。お客さんが乗り気じゃなかったら、それは演者の力量の問題でしょう。

でも…でも!

録音や録画のために、聴き直す時や観直す時のために、歌うプレイヤーなんて、ステージ上にはひとりもいないんじゃないでしょうか。

勿論、ライヴ・レコーディングなど、様々なケースが考えられますが、それでも、目の前にお客さんがいるなら、その人たち以外に向けて歌うことなんて、少なくとも僕は絶対にできない。意識しないなんて不可能です。

今この瞬間を一番最高のものに。自分を一番カッコ良く、メンバーをもっとキラキラさせて、この演奏を今までで最も素晴らしいものに。そうやって、観に来てくれたあなたを笑顔や感動の泣き顔に。

僕は、ライヴ中、それしか考えていません。それが、心底楽しいのです。そして反応があったら、心底嬉しいのです。だから、ライヴしたくなるのです。

(ちなみに、逆に、この曲の歌詞を、とか、ここのアレンジを、とか、細かい拘りを聴いてほしい場合には、音源をつくってアップしています。ダウンロードフリーです。何度も聴いてもらえることが、この場合は重要です。反応があったら嬉しいのは同じです)


そして僕は経験してしまったのです。会場中全ての人が一斉にどよめく瞬間、空気がひとつになる瞬間を。その時、声にならない声を上げてくれた方もいたはずです。

せーので歌えば一体感が生まれるわけじゃない。手拍子が揃えば良いわけじゃない。ただ正確に演奏するだけで喜ばれるわけじゃない。何がキーだったのか分からない。でも、あったんです、そういう瞬間が。

あの瞬間、演者もお客さんもスタッフさんも、全員同じものを観て、聴いて、感じていたんじゃないかと、思えるのです。その表現の仕方が違うだけで、同じだったんじゃないかと。

今でも鮮明に思い出せます、鼓動が速くなります、ニヤニヤします。


盛り上がってくれたお客さんのおかげです。「一体感」は演者だけではつくれない、お客さんやスタッフさん、全員と感覚を共有できて初めてつくられるものです。


敢えて言いますが、あの瞬間の会場のざわめきは、録画映像(ライヴハウスの固定カメラのもの)にも、残っていました。でも、その映像だけを見て感じるものと、あの日あの場所にいた人が改めて観て思い出すものと、全く同じ感動には、ならないんじゃないかと思っています。

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長くなりました。

最初に「録音・録画しないでください」と言いましたが、訂正します。


「みんなでライヴに夢中になりましょう」
「最高のライヴを一緒につくりましょう」


そういう気持ちだったのにお客さんが楽しめなかったら、それは演者のせいです。帰りにTwitterでボロカスに言ってください。エゴサーチかけて反省します。


ではでは、この辺で。
言いたいだけの勝手な持論にここまでお付き合いくださった皆様、ありがとうございました。

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アカペラライヴ、2月8日(日)夕方より、表参道Groundにて、です。詳しくはこちらから。