霧雨が降る街を眺めながらそれなりに混み合った電車の中、正午。

街並みはもう見飽きたものになっていたし、途中で止まるいくつかの駅は、なにかしらの用があって、降り立った街だから「そこの角を曲がったら、こんなものがあったな」なんてふと思い出す。

このところ電車の乗り換えが急にわかるようになった。(今更かもだけれど)
「あの路線の先に確か行きたい駅だったはず」と経験が繋がって、路線同士がようやく頭の中で関わり合いつつある。

難しい駅でも迷うことが少なくなった。もちろんそれは、以前迷った経験があるからに他ならないのだけれど。ともかく「知ってる!」が増えてきたなぁと感じるのだ。

世界は広い。海外には行ったことがないし、日本だって全都道府県制覇したわけじゃない。

でも、最近自分の手の届く範囲をだいぶ埋めてきたなって思う。なんというかビンゴカードが、もうビンゴを超えて、空いてない穴の方が少なくなっちゃったみたいな感じ。近くにあった不思議や知らないを食べつくしてしまったのかも。

だから日常の知らない世界なんて、夢の中くらいなのかな。今日見た夢もよくわからないスラム街みたいなところで、命を狙われていた。わけのわからない古代王国の話。なんだそれっていう、知らないがたくさんで、でも、それ本当はおかしくないか?って思う。

夢って本当は自分の見たこと聞いたこと感じたこと思ったこと、しかないはずで、自分の中にある物だけで構成されるだろうから。

自分の中に知らないがあるって、すごくワクワクする。

きっとどこかで捕まえた知識たちがぐちゃぐちゃになって、出力されてるのか、忘れてることがポロリ出てきてるだけなのか、そのどちらもなんだろうけど、不思議はここにあるんだな。

雨の日はいつもより眠い気がする。猫とか肉食系のやつらは雨の日に狩りができないから、体力の節約ために寝てるらしいけど、私はどうなんだろう。気のせいなのかしら。不思議。

それじゃ、またね。

リーダーが死んでから、二ヶ月くらい経った。

信じられないけどもう二ヶ月らしい。あれから、何かが変わったような気もするし、何も変わらない気もする。でも何かが止まってしまったな、という感覚がある。何かが堰き止められて、どんどんと上に溜まっていく感覚。ソレは日に日に重さを増していって、苦しい。

一昨日はヒトリエのライブだった。wowakaさんのいない、ヒトリエのライブだった。

リーダーはどこにもいなかったけれど、でもやっぱりヒトリエはヒトリエで。シノダがリーダーの代わりにボーカルをつとめあげ、イガラシもゆーまおも痺れるような音をかき鳴らす。

ぽっかりと空いた舞台真ん中と、どこか物足りない音以外は紛れもなく、ヒトリエだったのだ。

携帯端末に残された音楽を聴けば、wowakaさんの声はいつでも、何度でも、そこにあるから、もうこの世のどこにもあなたが存在し得ないことの実感がさっぱり持てないでいたけれど。

そのライブを境目に、その出来事は急に現実になった。

二度と、もう二度と、wowakaが歌うヒトリエのライブは、始まらない。音を鳴らさない。踊らない。

嘘でも、なんでもなく、リーダーはいないのだと理解してしまった。終わりなんだな。現実逃避し続けるのは。

リーダーのこと、今も変わらず大好きで、そのゴツゴツした手とか、まっすぐに私たちを見るタレ目とか、その汗で額に張り付いた髪を首を振って解く様子とか、はははって笑う声とか、へべれけにすぐなっちゃうところとか、弱いところも、強いところも、声も、全部全部全部好きだ。

見ていたのはヒトリエのリーダーのwowakaっていう一面だけだったけれど、その全部がもう超好きだ。

ライブの時間がサイコーだったが故に、現実に戻りたくないって、この瞬間に死んでしまえたらって、思った瞬間が何度もあったよ。でも「またな」っていうから、次はもっと素敵なものを見せてくれるのに期待して今まで生きていたよ。

なんで死んじゃうんかなあ〜って今も思ってしまう。世界で1番のロックバンドのリーダーがいなくなってどうするんだよって、腹が立って、また涙が出る。

それでもヒトリエのメンバーが最高だって、また思い知らされたから、もうちょっと頑張ってみようって思っています。それくらいヒトリエのこと大好きだから、解散しないって言ってくれたメンバーがいるから、私はまた前を向いて、まだ涙は止まらないし、くしゃくしゃの笑顔を思い出すけど、でも生きていく。

正直、死後の世界なんてあるとも、ないともわかんないけど、いつか同い年くらいになったらイタコにお願いしてリーダーに会ってみたいなんて、そんなよくわからない絵空事も考えてる。

そんな夢。また会う日までね。そっちの世界はロックンロールが流れているかい?

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手紙、届けられなかったのを、なんとなく共有したくなって、それだけです。
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