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ひとりきりになった途端に涙が出ることが増えた。
友人からの連絡に涙が出ることが増えた。
大好きだったはずの移動する生活、なのに、すこし居たところを離れるたびに涙が出ることが増えた。

いつからだろう。
人と離れること、別れること、ひとりになることに平常心でいられなくなったのは。
涙が出てから、さみしい、と思うようになったのは。

きっと人よりも、人の多い生活を送ってきた。
性格かもしれない、仕事かもしれない。
良くも悪くもそのおかげで、いつも誰かと一緒にいた。
ひょっとしたら、眠るときも。

いつだって誰かと一緒にいることができた、自分が望まなくたって。
誰でもよかった。
みんな好きで、誰も特別じゃなくて、誰でもよかった。

だけどいま、誰かを求めて足を動かしたり。
どうやったら好きな人と一緒にいられるのかと頭を悩ませたり。
わたしらしくない、と思う。

これを成長だと言う人がいる。
誰かのために変わろうと思える人間になりつつあるのだと。
それが「正常」だと。

わたしもそう思っていた、うらやましいとさえ。
でもさみしい。
ほかの誰かではどうにもできないさみしさがわたしを襲うようになった。

誰かに会いたいではなくこの人に会いたい。
誰でもいいではなくこの人じゃなきゃ。
分からないではなく分かりたい。

こんな気持ちが自分の中に芽生えはじめて、困ることが増えた。
コントロール出来ると思っていた自分の感情がかたちを変えている。
今までのやり方ではどうにもできない。

自分以外の人間を、言葉のままに「自分以外の人間」としか思っていなかったのに。
いつのまにか喜ぶ顔が見たいと思っていて、いつのまにか悲しませたくないと思っていて、いつのまにか力になりたいと思っていた。

こんなにさみしくなるなら、すべてを失ってしまいたい。
人がたくさんいるところで気にもかけられず、考えるひまもないくらい忙しくして、ひとりであることに気付かないフリをして。
いのちが消える直前に、ひとりだったと涙を流したい。

いまは楽しいだけでいい。
さみしいなんて、かなしいなんて、そんなことに思い悩むなんて、嫌だ。

特別な誰かが増えるたび、自分が自分であることや何者にもなれないことに絶望する。
誰のこともわからない、救えない人間だということにも。
どんなに近くにいてもひとりだなんて、わかってもさみしいだけだ。

生きるってこういうことなの?
人と関わるってこういうことなの?
幸せって?

わからないから、迷うから、答えがないから、失いたくないから、守りたいから、特別になってしまったから。
涙を流すことでしか消化できない。

そんな、あたたかい夜。

助けてと言えない人がいる。
心の中身を外に出すのが苦手な人がいる。
自分の気持ちを言葉に変えられない人がいる。
何考えてるのとよく聞かれる人がいる。
何も考えてないと答えてしまう人がいる。
伝えようと思ってから時間がかかる人がいる。
わかってもらうことを諦めた人がいる。
強くなければいけない人がいる。
弱い自分に涙を流す人がいる。
自分しか信じられない人がいる。
裏切られても怒らない人がいる。
嫌われても笑っていられる人がいる。
頭のどこかで反省している人がいる。
平気なフリがうまい人がいる。
感情をどうにかするのがうまい人がいる。
自分の心に厳しい人がいる。
助けてと言える人をうらやむ人がいる。
助けてと言える人を妬む人がいる。
自分でどうにかしない人を甘いと思う人がいる。
自分でどうにかできない人を助けたいと思う人がいる。
助けることで助かる人がいる。
他人の弱さで強さが成り立つ人がいる。
強くいられないと消えたくなる人がいる。
自分とだけ生きていきたい人がいる。
寂しさに負けてしまう人がいる。
弱い他人には優しくできても弱い自分が許せない人がいる。

こんな人が、たくさんいる。
おわり。

自分のためにしたことが、いつの間にか人のためになっていることがある。

目障りだったからゴミを片付けただけなのに、感謝されることなんてしょっちゅうだ。

ゴミを片付ける、なんて取るに足らない自然なことなのに、人のためになっていると気づいてしまったら、もうおしまい。
相手の反応が無かったり、自分のためにしかならなかったりしたときに凹むのだろう。

きっと、無意識に、人に感謝されることに喜びを感じている。
わたしのように自己中心的だと自覚していても、「人になにかしてあげたい」という気持ちをどこかに持っている人はいると思う。

でも、そういう人間で居続けようと思い始めると途端に苦しくなる。
わかっているから気づかないように、認めないようにしているのかもしれない。

それでもたまに、誰かを笑わせることが出来たり、知らぬ間に救われている人がいたりするから期待してしまう。
わたしが誰かのために出来ることがあるんじゃないか、と。
期待ではなく、自分を信じるという感覚に変えることができたら、もっと上手く生きられるはずなのに。

まとまらない。
信じる練習をしなければいけないな、と感じる。
そんな夜。

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