前回。


メールで送ったものが面白くないと思われていることに気付いた僕。


それは僕にとって少なからずショックでした。


なにせ自分は面白いと思って書いていたので。 


僕は編集の方に電話をします。 


「えっと、もしもし。すみません、あのメールの内容から察するに、どこか悪いところがあると思うんですけど、一体どこでしょう?」 


「あ、バレましたか」 


バレるに決まってますよ。アホじゃないんだから。 


「まあ一言でいうとあれですよ。向さんの本音がもう少し出た方がいいかなと思いました」 


僕は、この本の構成を二本柱にしようとしていて、前半が僕のコンビ「天津」についてを書き、後半がどうやってお金が儲かっていったか、というものでした。 


そこにおける前半の部分、僕の自伝に嘘があるんじゃないか。 編集の人にそう言われたのです。 


僕ははっとしました。確かにそうかもしれない。 


僕は電話を切り、改めて自分が書いた前半の部分を読みます。すると一つのことに気付きました。 


「俺、むっちゃ恰好つけてるな」


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 自分のことがよく写るように、少しだけ美化した自分を書いていました。感覚でいうと、薄幸の美少女感というか。俺が悪くない、時代が悪いんだ感というか。 つまり自伝で嘘をついている、盛っていたのです。 


僕は恥ずかしくなりました。


どこでモテたいと思ってるんだ。今は、特にこの本は本音を出し切る場所じゃないか。


そう思い、前半の格好つけた部分を、自分がどれだけダサかったのかを本音で書きました。 エロ詩吟への嫉妬、そねみ。とにかく自分の醜さを書ききりました。


そうすることにより、まだ伝わるんじゃないか。あの時の僕の本当の鬱屈したものを。 


書き直したものを送ると編集さんの返事はこうでした。 


「すごく良くなりました!この調子でいきましょう!」 


その一言で、やはり本音が一番なんだなあと経験することが出来ました。 


そこから僕は本音で文章を書くことにしました。 


そしてまだまだ本は進化を続けます。



続く。



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