そのコメントの内容については様々な議論がされていますが、弁護士としてからの疑問点を分析してみました。
結論的には、
①弁護士として依頼者を守るときには一般の方をこうやって誘導する必要があることがある
②「ヒロナカ」に悪人のレッテルを貼られた政治家や芸能人が頼む理由がわかる
③弁護人が本人の意図を無視してコメントを出すことは無いので、高畑裕太さんは、「合意があった」と言いたいんだろう。
④でも合意があったというには、「どんなに仲良くなっても一人で宿直してた女性がそのまま寝るか?それとも前から付き合ってたというのかな?」「お母さんとの面会で謝ってなかったっけ?」「欲求が抑えられなかったというコメントは警察が嘘をリークしたのかな?」という疑問が湧きました。もしかしたら言えない裏事情があったのかも知れません。なお、否認しながら示談というのはあり得る話です。
純粋に知的好奇心なので、弁護人を揶揄する意図はありません。また、高畑裕太さんや被害者の方に対する思い入れもありません。是非皆さんも心をフラットにオープンにして読んでください。どちらかに肩入れしたうえでのコメントをいただいても対応できません。
なお、個人的には今回出てきたのが娘さんではなくイソ弁の方といのもどういう意図があるのだろうと気になりました。娘さん同じ事務所にいるんじゃなかったっけ?
以下、弁護人のコメント を引用しつつ、疑問点を述べます。
今回、高畑裕太さんが不起訴・釈放となりました。
これには、被害者とされた女性との示談成立が考慮されたことは事実と思います。しかし、ご存じの通り、強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても起訴できる重大犯罪であり、悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れません。
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誤りじゃない?検察の統計を見れば明らかなとおり、強姦致傷の起訴率は、どんなに見ても50%以下です、しかも、この統計は示談しているかしていないかで分類されていませんから、示談された強盗致傷の起訴率は50%以下のはずです(今後指摘があれば訂正する可能性あり)
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_kensatsu.html
また、裁判員裁判が始まった後に起訴率が下がっていることは、国会においても質問が出ており、その中では46%という数字も出ています
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b180321.htm
しかも、被害者の意向を無視して起訴するってちょっと考えづらいです。
その他、大澤弁護士や奥村弁護士の見解も拝見すると、概ね示談がなされれば不起訴確率の方が高いという見解のようです(勝手にリンク貼って良いか悩んだのでご自身で検索してください。)。
この誤りの部分は、「示談しても起訴されることを前提」とすることで、本件が「違法性が少ない、合意があったとも思われる」と誘導するための誤った前提の提示になっています。
この点、弁護人は「もともと悪質性が低いとか犯罪の成立が疑わしいのに強姦致傷で逮捕されることが多く、逮捕された事件の半分はそもそも無罪だ」と考えているのかも知れません。
お金を払ば勘弁してもらえるなどという簡単なものではありません。
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すり替えの議論かな?今回勘弁してもらえたのは、あくまで「被害者が示談したから」です。これも、強姦致傷罪が一般的には重い犯罪だという一般の方々の認識(それ自体はあっている)と、通常起訴される(誤り)とを結びつけるためのレトリックの役割を果たしているような気がします。でもとてもうまいです。
一般論として、当初は、合意のもとに性行為が始まっても、強姦になる場合があります。すなわち、途中で、女性の方が拒否した場合に、その後の態様によっては強姦罪になる場合もあります。
このような場合には男性の方に女性の拒否の意思が伝わったかどうかという問題があります。伝わっていなければ敵意がないので犯罪にはなりません。
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「敵意」って法律用語ではないのでわからないのですが、女性が「敵意」を示さないと犯罪が成立しないのか?
さらに、この文章をあげることで、暗に「本件は被害女性が高畑裕太にはっきりと拒否の意思を示さなかった」と示唆するのであれば、これも非常にうまいやり方です。
もっともこのようなタイプではなく当初から脅迫や暴力を用いて女性が抵抗できない状態にして無理やり性行為を行うタイプの事件がありこれは明らかに強姦罪が成立します。違法性の顕著な悪質な強姦罪と言えます。 私どもは高畑裕太さんの話は繰り返し聞いていますが、他の関係者の話を聞くことはできませんでしたので、事実関係を解明することはできておりません。
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ふむふむ 。もちろんそうですね。
しかしながら知りえた事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、
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さっき事実関係を解明できていないって言ってたのにこう言い切るのは、最後に続くように、ここは「弁護人」としての立場ではなく「第三者的」にのべているから言い切れると考えていると分析します。
でも、弁護人として何回も被疑者から話聞いてて、本人の認識について「可能性が高く」としか言えないってどういうことなんだろう。
急に弁護人としての立場ではなく、第三者的に一歩引いた感じになっているのはなぜだろう。
弁護人なら「合意があったと高畑裕太は述べており、合意が当初あったがその後合意がなくなったのだから本件は無罪または違法性が強くない」と言わないのがそれまでの文書との兼ね合いで不思議です。
少なくとも逮捕時報道にあるような電話で「部屋に歯ブラシを持ってきて」と呼びつけていきなり引きずり込んだなどという事実はなかったと考えております。つまり、先ほど述べたような、違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、
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「つまり」の部分がやや論理が不正確ではないかな。
先ほどは「最初から脅迫や暴力を用いた」場合が違法性が顕著だと言ってる。
しかし、ここでは「部屋に歯ブラシを持ってきてと呼びつけていきなり引きずり込んだ事実が無い」=悪質で無いと述べています。
つまり、「マスコミ報道の事実が無い」=悪質で無い。と述べています。
仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります。以上のこともあり、不起訴という結論に至ったと考えております。
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弁護人が「思われた」ってまた第三者的立場に なっている点はなぜだろう。「これは無罪事案だった」とははっきりと言えば良いのに。
以上のような疑問がありますが、結果的に、「『示談しても不起訴にならない強姦致傷が不起訴になるのだから』それほど悪い態様じゃなかった。または被害者がはっきりと拒否しなかったから誤解が生じたんだ」ということを読者に印象付けられているのは大変うまいなーと思いました。
今後この事件はどのような事実が明らかになるのか、どのような流れになるかはわかりませんが、異例のコメントの分析と疑問点、読み取れることを分析してみました。