月別アーカイブ / 2016年03月
入社式で「AIに奪われない仕事方法」を話しました

当事務所も新人が入る時期になり、入社式をしました。
そこでは当事務所のクレド
http://www.fractal-law.net/fl/credo.html
の読み合わせや内容の話をしたりするのですが、今年は少し変わった挨拶もしました。
当日ペーパーを配らなかったメモの意味もあり、ここに記載させていただきます。
自分がこの話から離れないようにと自戒を込めて。
みなさん
日々お疲れ様です。
新入社員の方、当事務所を選んで就職してくれてありがとうございます。
これからまた新しい1年を頑張るにあたり、少し話をさせていただきます。
人はなぜ働くのでしょうか。
人が働くのは、お金を得るためだけではありません。仕事を通じて社会と関わり、人に喜んでもらい、それを自分の幸せにし、その過程で自分が成長するために働くのです。
その意味で、法律事務所で働くということは、みなさんが仕事を通じて社会やお客様の人生によい影響を与え、みなさんが成長できるよい機会です。
そして、私たちも、みなさんがこの事務所で働くことにより、成長できる事務所でありたいと考えています。
その為には何が必要なのでしょうか。
その答えを言う前に、少し別な話をしましょう。
最近のニュースで、囲碁のトッププロが新しいAIを搭載したコンピューターに負けたというニュースがありました。
既にオセロも、チェスも、将棋も、囲碁もAIの方が強いです。囲碁はまだ10年はかかると言われていましたが、この前あっさりとトッププロが負けました。
これは、今までのAIとは別の思考方法をするAIが開発され、人間と同じように試行錯誤できるようになったからです。
もう既に自動運転も技術的には可能ですし、AIを利用して銀行や保険会社でコールセンターのAI化も実現しています。既に判例検索やデューディリジェンスの仕事をAIにやらせている法律事務所もあるようです。
オックスフォード大学の調査では現在の仕事の半分がAIにとって代わられ消滅すると言われています。
もうこんな世の中になっているんです。
弁護士の人数が増えるかどうかという話よりも、弁護士の仕事自体がAIに取って代わられる未来がすぐそこに来ています。
では、そんな世界で私たちはどうしたらいいのでしょうか。
自分の仕事を維持し、お金を得て、社会と関わり、人に喜んでもらい、自分も幸せにし、成長できる機会を守るにはどうしたらよいのでしょうか。
答えは、AIや機械にはできない、人だから出来る能力を高めることです。
人が、機械ではなく人にやって欲しいと願うのこと。的確な答えよりも、共感して欲しいと願うこと、こういったことが出来る能力を高めることです。
先ほどの、当事務所で働き、成長する為に必要なこと。の答えがまさにこれです。
法律事務所であっても、単に法律的に適切な答えをいうだけではなく、お客様の言葉の奥にどんな感情があるかを探り、理解し、共感し、法的判断を超えたよい提案を出来る能力、この人間らしさを大切にしてください。
これが出来ない法律事務所は消滅するでしょう。
これが出来ない人は仕事を失うでしょう。
大変厳しい環境の変化がすぐそこに来ています。
しかし、やるべきことは難しいことではありません。
まず今日ここに集まったみんなが互いを理解し、共感しあい、単に職場の同僚という関係を超えた人間関係を作ってください。
それがあれば、お客様に対しても自然と心配りが出来ます。
お客様の言葉の奥にある感情を知ることが出来ます。
お客様の感情に理解し、共感し、ときにはお客様を思うが故の厳しいことも伝えることが出来ます。
そして、仕事を通じて自分自身の人生を幸せにし、成長することが出来ます。
ともに成長していきましょう。
これをもって入社式の挨拶とさせていただきます。