日曜日にバンドで外出する用事があったのに、台風で天気が荒れるから、という懸念もあって土曜日のうちに中止。いざ日曜日になってみたら全然雨は降らないし、空は青いし、曇りになってきたなぁ、と思ったらまたすぐ晴れ出すしで「こんなんだったら強行すればよかった」と思っていた。

昨日の夜からはさすがに風が強くなってきてるのがわかったけどそういうんじゃないんだよ雨風。

自然のことだし、天気予報だって外れてなんぼだし、そういうもんだってわかってるからこそ、このなんとも言えないモヤモヤをどうしてくれるんだ。と思いながら寝た。

お昼前に起きたらカンカンに晴れてた。
しかも、暑かった。


9月にもなっているから、日が暮れるのは早くなった。
たまーに「あ、晴れてても秋の感じだ」と思うこともここ数日あったけど、今日は暑かった。というかこれを書いてる今も寝室が暑い。



夕方、歩いて15分くらいある最寄りのスーパーマーケットに行って食材を買い込みに行った。
随分軽装で、まだなにも入ってなく小さく畳んだエコバックをポッケに入れて。夜中の強風で折れた木の枝があちこちに歩道に散らかっていて、色んなひとに踏まれたりしたのかベタベタと地面にこびりついていた。

スーパーに着く頃には15分歩いただけで汗ばんでしまっていたけど、店内はキンキンに冷えていて幸せだった。必要なものや食材をカゴに入れながら店内をぐるっと一周する最後のコーナーのお惣菜コーナーに「秋刀魚のフライ」が半額になっていたから、もうサンマが売ってるんだー、と反射的にカゴに入れた。レジに向かうと、だいたい俺がいくときにいつもいる高校生ぽい男の子が今日もレジに立ってお会計をしていて、先週見たときは黒かった髪が今日は茶色になっていた。
暑かったので帰ったらアイスを食べよう、と思ってカゴに入れてたアイスのバーコードを読み取ってもらった後「アイスにスプーンはお付けしますか?」と聞かれたけど今まではそんなこと聞かれたこともなかったし、なんなら俺が「アイスのスプーンください」と言って渡されることの方が多かったからこの男の子が成長したのか、単純に俺が「アイスにスプーンを入れないともらいに来るやつ」として覚えられているのかと思うと少し恥ずかしかった。


スーパーに向かうときはまだ明るかった空はスーパーを出るともう薄暗くなっていて、またそこでも日が短くなっていることを感じたのにやっぱり暑さはそのままで秋を感じたいのに夏のままな何かにモヤっとした気持ちのまま、中身の入ったエコバックをぶら下げて来た道を歩いた。


高校生のこの時期に髪を染められるのだとしたら3年生でもう推薦受験が終わって進路も決まったのか、就職先が決まって残りの高校生活を少し大人な気分で過ごそうと思ったのか、どういう心境だったんだろうと考えて、知らないことが多いのは、なにかを知ったときの感動を味わえる率が高いんだなぁと思った。


体験して感じたことは経験値として積み重なっていく分、もう経験する前の自分には戻れない。

「髪を染めたらどうなるんだろう」と思って、感じていた時の自分の気持ちには戻れない。知ってしまったから。

高校一年の時に1年5組の男子で「キスをしたことがあるか」っていう話題になったとき、当然そんな経験もない連中ばかりだから「やっべーよどんなだよ」だけでばかみたいに盛り上がってたけどそんな盛り上がりはもう、出来ない。
唯一入学して1ヶ月で同じクラスですぐにカップルになった男子に「キスはしたのか、手は繋いだのか、その先はどうなんだどこまでいったんだ!」という話をして、聞いて、ありもしない経験を自分に置き換えて想像して、っていうあの頃の感性には今はもうなれない。


インスタライブで弾き語り配信を毎週するぞー、と言ってからリクエスト曲を集めて、教えてもらって知らない曲は可能な限り全部聴いて、歌詞を見るけど全然批判でもなく、「失恋の歌多っっ」と思った。

それぐらい、所詮他人が作った失恋の歌にひどく共感して、自分の気持ちが救われる人がいるのがどうとかではなく、失恋や叶わなかった恋でひどく落ち込むのは、その逆に相手の存在や相手との時間や出来事に感動することがあったんだと思う。


それぐらい感動するのは、感動する前までは当時の1年5組の男子たちが「キスってどんなんだ!!!手を繋ぐってどうだ!!彼女の家まで自転車で帰って送って近くの公園で何時間も話し込むってなんだ!!!!」のとおんなじぐらい知らないことがあったから。


感動出来る心があったから。

その分、悲しむ心もある。


悲しんだ経験は自分の中で次の感動に触れることを怖がらせてくるかもしれない、また傷つくのが辛いから、また傷つくうちに、傷に慣れてしまううちに、感動することからも遠ざかってしまうこともあるけど、そんなのは16歳のあの男子たちにしてみれば「全然わかんねぇよなんだよそれ!!!」なわけで、知れば知るほど、もう無鉄砲な自分の感性に100%戻ることは出来ない。


レジの男の子はどう思ったんだろう、自分の髪が茶色に染まったことに「おぉ〜✨」と目を輝かせたのか、「こんなものかー」とあっさりしてたのか、どっちにしてももう染髪したことのない自分はいない。


感動ごとを感じる時を取っておきすぎれば時間だけが過ぎていくし、手っ取り早く感動を手にした時に後悔してしまうときもある。


でも日常の中でいくつもある感動を、感動として感じることの出来る心だけはこれからも持っていれるように、と思う。


1000人キャパのライブハウスでワンマンをする景色はどんなだろう、武道館の景色ってどんなだろう、アリーナの景色ってどんなだろう、グラスステージから見た景色ってどんなだろう、知ってしまった後に何があるのかは当然わかんないけど、そのどんなだろうに、夢を一緒に見てくれる人がいること。


そんな日。