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法務省から新型コロナウイルスに関する入国制限についての意見を聞きたいという連絡があり、急遽法務省の宮崎政務官へ意見書をお持ちして、福岡市の考えを伝えてきました。

今後も日本がインバウンドに力を入れていく中で、感染症拡大やパンデミックに備えた入国制限などのルールを早急に整備する必要があります。平時の対応と有事の対応は分けて考えなければなりません。個人の権利は尊重されなければなりませんが、有事には公共の福祉のために毅然とした態度をとらなければならないこともあると思います。そして今、日本が世界でも二番目に新型コロナウイルス感染者が多い国となり、日本からの直接入国を禁止する国まで出てくる中、目前に迫ったオリンピック・パラリンピックへ影響が出ることは絶対に避けなければなりません。

また、今回のような潜伏期間が長い感染症の場合には、水際対策だけでは完全とは言えず、サーモグラフィー検査の時に熱がなくてもウイルスに感染している恐れがあります。実際に、解熱鎮痛薬を飲んでいたため、サーモグラフィー検査をすり抜けたケースもありました。(その後、検査して新型コロナウイルスは検出されなかったそうです。)

先月末、クルーズ客が日本に上陸する際の権限を持つ法務省の福岡出入国在留管理局博多港出張所に、新型コロナウイルスが沈静化するまで当面は入国を拒否して欲しいと福岡市が要請したところ、現在のところ法律に基づく上陸拒否の条件に該当しないとの回答でした。平時の対応ルールを有事にも当てはめるのは適切ではありません。市民や国民を守り、被害を最小限に抑える行動のスピード感が遅くなるからです。
しかしそうした中、今日意見を聞いていただいた法務省の宮崎政務官からは、博多港の現場に対し、福岡市と連携して遺漏なく対応するようにすぐに指示をしていただきました。

また、今回のような非常事態が発生する度に、経済的損失に配慮したり、発生源になった国に対する差別を助長するなどとマスコミから批判されること等に配慮していると、対応に遅れが生じ、最速で国民を守る行動を取る上では望ましくありません。責任者が誰であろうと、発生源となる国がどこであろうと人権にはしっかり配慮しながら、粛々と危機管理行動に移れるルールを平時から作っておくことが肝要だと思います。

ちなみに今回、中国本土を発着するクルーズ船の寄港が多い港(5港)の地方自治体にヒアリングを実施したところ、市民が抱いている不安についてはどこも同じ意見でした。
こうした市民の不安を、市民の一番身近にいる地方自治体が受け止めざるを得ない状況になっています。しかしその一方、その自治体は普段は積極的にクルーズ船の誘致を行っているため、船社に対してどこも声を出せずにいる現状です。

そうした状況の中、福岡市はクルーズ船社(8社)に対して、当面、中国本土を発着するクルーズ船の博多港への寄港自粛を要請しました。乗客や市民の安全を守るためにも、中長期にクルーズ振興をしていく上でも、ここで市民からの信頼を落とさないために理解をお願いしたいという内容だったのですが、実際に船社からは厳しい反応が返ってくるなど、個別に自治体が対応するには限界があります。

ですから、現在のような WHO が緊急事態を宣言するような感染症の流行があったときに、国として入港や上陸を制限できるルールや、影響を受ける企業へのサポートを平時から作っておくことができれば、様々な状況に関係なく、ルールに基づいて国も自治体も国民の命と健康を守るためのスムーズな動きができて、感染症拡大をより迅速に防止することができると思うのです。また非常時にはしっかり対応できるということが、今後のクルーズ振興への市民の理解に繋がってくると思うのです。

こうした福岡市の意見に対して法務省の宮崎政務官は大変共感していただいた上で、現場ではまだそうしたルールが定まっていない中、当面はこの新型コロナウイルス対策として政治主導で水際対策に万全を期すが、有事のルールづくりについては今後関係省庁と連携して検討をしたいと応えていただきました。

現実的には、当面、中国本土からお客さんを乗せたクルーズ船はキャンセルされています。これから国境を越えた行き来が増え、日本もインバウンドに一層力を入れていく中、 日本がどのような危機管理体制で安全安心な国として世界に発信できるかはとても大事だと思うので、これからもしっかり国と連携をして、地方の現場の声を伝えていきたいと思います。
現在、世界中の医療関係者や研究者が新型コロナウイルスの対策に全力を挙げて取り組んでいます。一日でも早く新型コロナウイルスで苦しんでいるみなさんが回復されるよう願っています。
そして新型コロナウイルスの感染拡大が早く落ち着いて、東京オリンピック・パラリンピックで日本にいらっしゃる世界中のお客様が何の心配もなく日本の魅力を堪能していただけますように!
福岡市長高島宗一郎