対岸の彼女/角田光代(2007年)


〈いやならさ、いやだと思うことに関わりを持たなきゃいいんだよ。かんたんだって、そんなの。宇辺さんも、相原さんも、いい人だよ〉

〈だってあたしさ、ぜんぜんこわくないんだ、そんなの。無視もスカート切りも、悪口も上履き隠しも、ほんと、ぜーんぜんこわくないの。そんなとこにあたしの大切なものはないし〉


あまり気分の良くなる思い出ではないが、
自分の学生時代を思い出す作品であった。

あの頃恐れていたものというのは、
大人になった今振り返ってみると
ちっぽけなことだったのだなぁ、と。

とりあえず好きな言葉だけ、メモ。

ちょっと今から仕事やめてくる/北川 恵海
(2015年)
★★★★☆

なかなかインパクトの強いタイトルのせいか、発売当時から気になっていた一冊。

ブラック企業にこき使われ心身ともに衰弱した主人公・隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開く隆であったが、本物の同級生は海外出張中ということが分かる。なぜ、赤の他人にここまで出来るのか?気になった隆の目に飛び込んで来たのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった…。

今まさに不安定な生活をしている自分には中々刺さるシーンも多く、良くも悪くも「人間生きていれば何とかなるよなぁ」と前向きな気持ちにしてもらえる作品であった。

〈隆にとって、会社辞めることと、死ぬことは、どっちのほうが簡単なわけ?〉

正社員じゃないと将来が危ない、ちゃんとした職に就いていないと信用がない…私たちは無意識に、他人の物差しを使って自分の行動を制限してしまう。誰々がこう言っていたから、誰々にこう思われてしまうから…そんな周囲のしがらみに縛られ、本当に大切にすべきものを見失ってしまうのである。

自分が変えられるのは、自分の人生だけ…。そう決意し仕事を辞めた隆のように、自分の生きたい人生を、私も生きていこうと思った。


アルジャーノンに花束を/
ダニエル・キイス(1966年)
★★★★☆

2015年4月期に放送された
ドラマの原作ということで、
このタイトルを一度は
耳にしたことがある方も多いだろう。

32歳になっても、幼児の知能しか持たない
主人公・チャーリィとアルジャーノンという
白ネズミに対し行われたロボトミー手術。

術後目覚ましい速度で進化する
チャーリィの頭脳であったが、
同時に彼は以前自分が憧れを抱いていた
人々が如何に無知であったかを思い知り、
精白者であった自分・実験対象である自分を
人間扱いしていない環境に気付いてしまう。


〈高いIQをもつよりもっと大事なことがあるのよ〉


果たしてチャーリィは
周囲の人々をも凌駕する高いIQを手に入れて
本当に幸せになれたのか。
はたまた、精白者として、無垢なまま
周囲の悪意に気付かぬ方が幸せだったのか。


どうやら作品自体はSFという括りであるが、
主人公のモデルは存在しているらしい。

彼は、知能を手に入れ
この世界の本当の姿を知った時、
一体何を感じたのだろうか。



全く関係のない話であるが、
「なにが異常でなにが正常なのか」
それを少数・多数という割合(数)だけで
決めつけ、排除しようとしてしまうことは、
とても恐ろしいことであるように感じた。

無意識に使ってしまう「普通」という言葉、
あまり使わないように心掛けたいと思う。

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