日本には、『一子相伝』とか、『血統による相続』(例えば氏族相続や、長子相続など)とか、面白い教育システムがある。これがあるから、災害国日本が途切れながらも、比較的正確に歴史や伝統を継いで来れた。しかし、これが原因で、寡占や独裁、相続継承を競う争いが起きたのも事実だ。 これを解決するために、拡散相伝や、血統にとらわれない相続を取り入れると、ある意味民主的、多様性に可能性は開けるが、同時に、種としての人類の母数が増えて行くほど、責任の所在を喪ったり、拡散しすぎて、本来の姿や意味、『本質』を喪失することは否めず。結局文化や伝統、歴史の消失や途絶に向かう副作用もある。
実は、人類の歴史も、文明文化も、この二つの仕組みのバランスが取れなくなったとき最大の危機や災厄に直面していて、無限に一進一退を繰り返すループから脱け出せていない。そして、現代21世紀人類は、1000年周期で来る決算『嵐の時代(ある意味、風の時代。)』の最中にいて、その仕組みを両方で見失いかけている。
実は、7500年前。日本列島では、このバランスの取り方に失敗した『厄災』を起こした縄文人が、同時期に地球規模で起きていた『地殻更新』を乗りこえられず、滅亡しかけた。 その後3000年に渡る艱難辛苦を乗りこえ、弥生時代の端境期に確立したのが、今日語り継ぎする。【諏訪式教育システム】だ。
(実は、痕跡が明治維新後の『信濃教育会』や『教育勅語』にもつながる)
諏訪には、信仰の緒元から、信仰の運営に絶対ルールがあった。
🌏️【万物の根元『森羅万象(自然天然)』(ミシャグジ=巳左口・石神・御射宮司)】
①【それを、石(磐座)や木(膰)に付ける巫(かんなぎ=シャーマン)】一子相伝。男女の区別なく、末子相続。元服から死去迄の終身制『モリヤ』の名を継承する一族からのみ選出
②【ミシャグジの依代としての現人神『大祝(おおほおり)』】一子相伝。男女の区別なく、三子または四子相続。三歳から元服(女子初潮、男子声変わり迄)の『童神制』(『スワ』、『ミワ、』『カナサシ』の名を継承する一族からのみ選出)成人引退後、女子は結婚による国家間を繋ぐ役と出産育児を経ながら、国主領主を支えての領国経営。男子は『惣領(政治経営者、領主)』を目指すか、『出家して僧侶として、神仏を繋ぐ役割』か、どちらかを自由選択する。任官中は聖地皇居である【前宮】から外出は許されないが、前後は自由に日本全土を旅行できる。
③【祖霊に奉仕する、『五官(ごかん=木火土水風祝)』】血統をそれぞれの属性を持つ自然神にルーツを持つ一族の中で、男女の区別なく六年(旧暦七年)周期で交代継承。ただし、元服以降の成人~四十二歳迄の年齢制限】引退後は『長老』として知恵袋の役割を果たす。
【『神使(おこう=地域を巡回する大祝の代理人)』】
信濃国、甲斐国、飛騨国、上野国、越国(旧諏訪五国)の民衆のなかから、貧富、職業、男女の区別なく神籤で選出された七グループ、二十一人の『大祝』と同い年の『少年巫、少女巫(巫女)』。任期一年。解任後は地域に戻り、地域の若者の頭や地域の指導者、様々な職業の指導者になる。
【御師(おし=全国に布教活動を行う外交官)】
民衆の中で、成人後、経済理由で困窮している者や、民衆の慣習で一家を継承できない次男、次女以下から、年齢に関係なく、希望者を募り、一定期間教育したあと任命。本人がその先の生き方を見つけた時点で自由退職。
これが、最大時期800万人、最小時期20万人
の諏訪国に於いてこれを、ほぼ衰退させることなく、平安時代末期、紀元1000年頃迄そのまま続けて来て、その後時代、時代の情勢で改良しながら、戦国時代末期、同族争いと、甲斐源氏武田晴信(信玄)占領で、『大祝諏方家』『惣領諏訪家』『女神祝金刺家』が滅亡断絶するまで、衰退しながらも絶えなかった【諏訪式教育システム】だ。 これを、支える根幹の祀り(神事、祭祀)が冬至『御室(みむろ)入り』に始まり、春分の【大御立座神事(おおみたちまししんじ=現在の御頭祭)】、その後大祝代理人『神使(おこう)』が地域を巡回し、神事祭祀を行い、神有月、霜月の神嘗祭に帰還するまでの【湛巡(たたえまわり)】だ。
皆さんは、この【諏訪式教育システム】をどう思われるだろうか? 是非いつか感想を聞かせて頂きたい。次回は、オトナの事情都市伝説やオカルトの巣窟になっている【御室神事】から、邪推邪念を祓いつつ、歴史のかたりべとして、正しい意味を伝えたいと想う。