目覚めとともに感じた痛み
間隔をあけてもう一度、もう一度
弱い痛みが波のように

あぁそうか、ついにあなたは出てくるのね
この温かい揺りかごから

遠のくことはなかれど
強まりもしない痛み
考えあぐねているの?
今出るべきか出ないべきか
もう少し、明るくなるまで待とうか

4時間後、ようやく再開したようで
痛みはどんどん強まって
間隔もどんどん短くなって

体から溢れる血と痛み
でも大丈夫
耐えられる
もっと酷い痛みを私は知ってる

早く産みたい
解放されたい、この枷から
痛みに縛られ、出たいともがき叫び
絶叫して、耐えて、耐えて、耐えて
ぬめりとともに、この世界へ

今にも壊れそうな、小さな小さなその身体
今の今まで私の中にあった
ようこそ世界へ、小さな子


彼が私の胎内で命になって
訪れたのは、焦り・戸惑い・混乱・不安

そう、だって
一人の私が願っていたのは、何にも束縛されない自由

いつ終わるとも知れない吐き気
エコーでたしかに聞こえる鼓動
ぐるぐると唸るような胎動
膨らんでいくお腹に感じる責任

あらゆる行動から、失われる「自由」
だけど

そう、だけど
時を経て、ぼこんぼこんと皮の内から蹴ってくる
その振動をいつも感じているうち
「自由」には、常につきまとっていた渇望が
ゆるゆると満たされ、落ち着いていた

綿毛が根を下ろしたような
私が「ここ」にいる実感

彼が私のなかに「いる」こと
だから、私がここに「ある」こと
消えた焦燥
それも、ひとつの幸せのかたち

この一年、いったい何があったって
これからゆっくり語りましょう

今年の2月、家族が一人増えました
小さな小さな人間の子

この一年、私のからだの中には
もう一つの命が宿っておりました

不安と諦めと期待と希望
そんな混沌の中から産まれた、彼
小さな小さなからだの中の
あふれんばかりのエネルギーを泣き声にのせ

彼は今日も、全力で生きています

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