暑くなってきた教室。クーラーはない。いつもならドッジボールをしにいく時間だけど、なんとなく席でボーっとしていた。眺めていたのは青空でもなければ書き残された黒板でもなく、透き通った声の君の後ろ姿。「金平糖とか食べちゃう男のコってめっちゃ可愛いない?キュンってするねんけど!」聞こえてきた言葉を何故か机に書いてる自分に恥ずかしさを覚えた時、胸の鼓動がわずかに上がった。
翌日のお昼時間に卑怯者の僕は出来るだけの自然を装って、金平糖が好きだと伝えると目を丸くする君。「可愛いな」って笑ってくれた。ほどなく7月が来て、その子が僕にリボン付きの袋をくれた。「誕生日おめでとう」ってはにかんでいた。流行ってた遊戯王のカードかなって思って中をあけると本当は好きでもない大きな金平糖が3袋。
「金平糖めちゃ好き言うてたからあげるで。嬉しいやろ?」って言われて、本当に好きなのは金平糖じゃなくて、、、って心の中で言葉選びの戦争が勃発。やっと出てきた「好きやで金平糖」の言葉。君は犬を撫でるように僕の髪をわしゃわしゃとして、他の女子と走り去ってしまった。
いまだに金平糖が好きだとなんとなく口走ってしまう僕はあの頃の本当の気持ちをコイツにすり替えて納得させているんだと思う。
アコギをもって歌にしようと思ったけど、大人になりすぎた今じゃもう歌えないかって、部屋の隅にギターを置いた。もうすぐ夏が終わる。