アルバムのジャケットが公開になりました。
今回デザインを手がけてくださったのは、イラストレーターの三好愛さん。本の装丁などもたくさん担当されていて、私もかねてから書店などで三好さんの絵を見かけては、ああ、好き……と思ってお名前を調べて勝手にメモしたりしておりました。
そんなある時、私のエッセイ集「どすこいな日々」の編集を担当してくださっていた晶文社の方が、「花さん絶対好きだと思うんです」と一冊の本をおすすめしてくださいました。それが、三好さんの「ざらざらをさわる」というエッセイ集でした。(その本も晶文社さんから出ています)
今回デザインを手がけてくださったのは、イラストレーターの三好愛さん。本の装丁などもたくさん担当されていて、私もかねてから書店などで三好さんの絵を見かけては、ああ、好き……と思ってお名前を調べて勝手にメモしたりしておりました。
そんなある時、私のエッセイ集「どすこいな日々」の編集を担当してくださっていた晶文社の方が、「花さん絶対好きだと思うんです」と一冊の本をおすすめしてくださいました。それが、三好さんの「ざらざらをさわる」というエッセイ集でした。(その本も晶文社さんから出ています)
あの絵を描く人の頭の中はどうなっているのだろうと気になって、私はすぐに「ざらざらをさわる」を読みました。そしたらもう即座に、ああ、大好き……となってしまいました。
人の感情って、喜怒哀楽だけじゃ言い表せないようなものがたくさんあると思うんです。どきどき、もやもや、とげとげ、ざらざら……少し人には伝えづらかったり、伝わりづらかったり、でも自分の中ではたしかにある感覚。そういったものが、三好さんの書く文章にはそのままのかたちで宿っているように感じました。
すべてのことに綺麗なオチや美談めいた出口なんていらなくて、正体不明な気持ちならそれはそれでいいじゃないか。そういうことがあった、そういう気持ちになった、それだけでべつに充分じゃないか。三好さんの本を読んで、私はなんだかとてもハッとしたと同時に、ふっと気持ちが楽になったのでした。
そして三好さんの絵にもまた、そういう一言で「これはこういう生き物です」とは言い表せられない、どこかとらえどころのない、でもたしかに「なんかわかる気がする」キャラクターたちが登場します。何者かはわからないけれど、どこかで会ったことがある気がする、そんなキャラクターたち。
かわいいだけじゃない、その中に影やむなしさもしっかり抱えた、でも決して暗いだけでもない、独特の表情と佇まいがたまらないのです。三好さんの書く文章を読んで、なぜ自分が三好さんの絵にこんなにも惹かれていたのか、その理由がわかったような気がしました。
今回のアルバムを作るにあたって、私は収録曲が出揃った時点で、「三好愛さんにお願いしたい」とスタッフさんにすぐに言いました。というかなんかもう、それ以外考えられなかった。ビビビ!ってやつです。
ここ数年は自分の中で、作品づくりにおける「わかりやすさ」というものと向き合う作業に重点を置いていました。ぱっと明るい印象のアルバムとか、笑える曲を書くとか、恋の歌を書いてみるとか、ポップスのアレンジを勉強してみるとか。おかげで、自分で言うのもなんですが、本当にいろんな意味での力がつきました。得意なこと以外にも不器用なりに全力でぶつかってみたからこそ、見えた景色がたしかにありました。そしてそれをふまえて見えてきた、本当の自分の姿もありました。すごくいい意味で、やっぱり自分はめんどくさいやつだったことにあらためて気がつきました。
めちゃめちゃ笑っていても頭の中じゃ「いやでもどうなんだろう……」ってすぐ考えちゃうし、「全然平気!」って言いながら心がちくちくしたりするし、才能のある人やいびつな輝きを放つ存在感のある人には一生どこかしら嫉妬しちゃうだろうし、「私なんて」ってすぐに思っちゃうし。でも、「私の方が」っても思う時もあるし。
そういうのをぜんぶ抑えて、何かにもっと振り切ろうとか、キャラを乗せてみようとか、大人になろうとか、もっとかっこよく生きようとか、なんとかみんなに好かれようとか、いろいろ思ったりもしたんですけど、無理でした。でも、決してネガティブな意味の無理じゃないです。そうなれないめんどくさい自分の方が好きだってやっと思えたんです。不器用に自分と闘いながら、一段一段しか前に進めない、そんな自分も愛しいじゃないですか。
今回のアルバムを作ってみて、自分の好きな自分にまた会えた気がしました。そうそうこれこれ、結局こういうことなんだよ、関取花ってやつは。そう思えました。それもこれもここまで続けてこられる環境と周りの人たちがいたからです。あらためていつもありがとうございます。
話がだいぶ逸れちゃいましたが、とにかく三好さんなら、そういう自分と気持ちを見事に表現してくれると思ったんです。一言じゃ言い表せない、関取花らしさみたいなものを。
そしたらこの最高すぎるジャケットですよ。(冒頭にスクロールして戻っておくれ)正直初めて見た時手が止まりました。ほんで泣きました。ちなみにブックレットの中身もやばいです。これは配信では見られない部分ですので、本当にぜひCDを手に取っていただきたい。
ジャケットの真ん中の黄色いのは私、そのうしろにいるのは「この人たちもひっくるめて私」な、いつもライブでサポートをしてくれている、そして今回のアルバムを全編にわたって共に作ってくれたバンドメンバーです。このメンバーたちとツアーもまわります。ライブ会場でみなさんにもまた会えたら嬉しいです。
うねうねくねくね、迷ったり考えたり躓いたりしながらも、なんだかんだ10年以上音楽の道を歩き続けてきました。何度も辞めたい時なんてあったけど、続けていたら、好きな自分にも、会いたい人にも、大切な仲間たちとも、また会えるんだなってあらためて思えました。
関取花史上いちばん関取花らしいアルバム、「また会いましたね」は2022年7月6日(水)発売です。よろしく!