暑いのである。

ほんの少し前まで、なんだかんだまだまだ肌寒いなあ、などと話していたはずなのに、ここ数日は寝苦しい夜が続いている。

何をしていなくても汗をかき、どこを触ってもベタつくような季節になって来ると、サラッとした爽やかなものが欲しくなる。洋服ならば白いものが着たくなるし、食べるものも、茶色いもの(揚げ物やカレー、肉など)信者のこの私でさえ、冷たいものや白いものばかり食べたくなる。主にアイスとかアイスとかアイスとかだが、それ以外で言うと、私は昔からそうめんが大好きなのである。

ただでさえ暑いのだから、この時期はなるべく料理で火を使いたくない。その点そうめんは茹で時間も2分くらいで済むし、見た目も涼しげだし、まさにうってつけの食べ物なのである。先日も、昼ごはんにそうめんを茹でて食べた。その時、私はあることを思い出した。

そういえば小さい頃に一度だけ、流しそうめんをしたことがある。

たしか、夏休みにどこかへ遊びに行った時に、近くで流しそうめん大会があるらしいという噂を聞きつけ、行きたいと兄と共に駄々をこね、連れて行ってもらったのだった。

会場に着くと、SASUKEのセットが組めそうな広大な空き地に、かなり大がかりな流しそうめん台(もはやコース)が、ドカンと一つ置かれていた。こんなに贅沢な環境で、人生初の流しそうめんを楽しめるなんて。胸が踊った。

そうこうしているうちに、雨が降って来た。その勢いはどんどんひどくなり、流しそうめんと私たちに襲いかかった。ウォータースライダーのような速度で流れて来るそうめん達。流しそうめんってこんなんだったっけ、思ってたのと違うぞ、そんなことを考える暇もなく、そうめん達はどんどん流れてきた。うだうだしてはいられない。我々がすくいあげてやらなくては、彼らはゴミになってしまうかもしれない。支給される雨具。薄まっていくめんつゆ。豪雨。とりあえず超豪雨。

しかし、それくらいではへこたれたくなかった。せっかく連れてきてもらったのだ、最後までやり遂げねば気が済まない。(何を)

私たちは何かに取り憑かれたように、ただ黙々と、そうめんをすくってはすすり、すくってはすすった。実に無駄のない動き。もはや業者。その間の表情、おそらく完全に「無」。帰り道も無言だったに違いない。

途中で帰っても良かったのかもしれないが、自分たちでもわからない何かがそうさせたのだった。全部夏のせいだ。あるいはそうめんのせいだ。もしくは、ただの食い意地のせいだ。

それ以来、流しそうめんはやったことがない。機会があれば、またリベンジしたいとは思っている。まあ、次はできれば、晴れた日に。

それにしても、夏はヘンテコな出来事が起きやすい気がする。なんなんだろうね。今年も何か起これば良いなあ、と思う。

流しそうめんの衝撃を超える何か、あると良いなあ。