春は好きである。なんか好きである。

しかし、春にこれといった思い出はない。
クラス替えで好きな人と離れちゃうのがつらくてとか、そういった淡い思い出も特にないし、仲の良い友人とクラスが離れるのは確かに寂しかったが、休み時間は色んな教室に遊びに行く派だったので、クラス替えと同時に疎遠になるとかそういったこともなかった。

何より、私は中高一貫校に通っていたので、高校からは別々の道、とかそういったターニングポイントめいたものもなく、当たり前のように6年間同じ顔を見て過ごしてきた。しかも大学付属の学校だったので、大学生になるにあたっても、学部やキャンパスが離れることはあっても、何かと会う機会はあったりして、結果なんとなく自然と10年の月日が流れていた感じである。

そんなわけで、中高の友人とは今でもしょっちゅう会う。本当にどうでもいい話をして涙を流しながら笑っている。

先日も、よく集まるメンバーのうちの4人で遊んだ。私以外は皆会社勤めの子たちである。しかしまぁ面白い。あと超適当。

表参道でランチを食べたあと、みんなで散歩をしていると、謎のおしゃれなお店(住宅街に突如現れた海外風の青い看板のお店)を発見したので、

「表参道レベルになると街に差し色持ってくる」

「これは全青界でも一番の青」

「この青はかなり意識高い青」

などと意味のわからないことを言いながら、とりあえず入ってみることにした。そこはグリーティングカードのお店らしく、店内には、世界中の様々なグリーティングカードや絵葉書なんかが所狭しと並んでいた。

店に入るなり、各々パッと目についたものの方へフラフラ歩いて行く。観光ツアーに行っても、絶対集合時間に帰ってこないようなタイプの集まりなのである。

しばらくすると、遠くの方から

「ヤバい、超祝われてんだけど!!」

という謎の喜びの声が聴こえてきたので、なんだなんだとみんなで駆けつけると、そこはご祝儀袋のコーナーだった。発見した友人は、ちょうどご祝儀袋を探していたこともあり、テンションが爆上がりしていたようである。

そこからは誰からともなく、ご祝儀袋での大喜利大会みたいなのがはじまった。とにかく色んなデザインがあったので、このご祝儀袋は誰っぽいだの何っぽいだの、そんなことを話しながら、結局友人は、その中でダントツでダサいやつをなぜか買っていた。曰く、「一周回ってこれが一番可愛い」完全にご祝儀袋ハイである。

そのあとも街をフラフラしながら、この家にはどんな人が住んでいそうだのなんだの話していた。

しばらくすると、とりあえず座りたいという話になったので、カフェでお茶をすることにした。店内だと話し声がうるさくて迷惑をかける危険性があるので、テラス席にした。

そこでもまぁ喋る。よく喋る。そして話す内容がみんな最高にしょうもない。(褒め言葉)

「結婚式の出欠の紙、返信するの超めんどくさい」

「なんで?○つけて出すだけじゃん。あ、線引いたりとかがめんどくさいってこと?」

「いや、なんかポスト」

「ポストに出すっていうのがめんどくさい」


「…マジわかる」

そんな話をしながら、結局その日は日が落ちる前には解散した。各々、帰って勉強しなきゃいけないことがあるとか、見たい映画があるとか、一人で買い物したいとか、そんな感じであった。あまりに自然に、あまりにあっけなく、じゃあ今日はこんな感じで! とパッと解散する、これがいつも本当に気持ちが良い。愉快な中にも、妙な熱さとかこだわりとかがあったりして、彼女達のそういうところを、私はとても尊敬している。

何かあるたびに友人達は、「面白い話があるから聞いて、どっかでネタにして、でもその代わり売れて、ウチくる!?かA-studioにいつかうちらも出して」と言ってくれる。応援してるよ、とか、頑張ってるよね、とか、そういう言葉じゃないけれど、何か伝わってくるものがある。そういうところも最高な、自慢の友人達なのである。

しかし、何がきっかけで仲良くなったのか、まったく覚えていないのである。部活も全員違うし、クラスもみんなが一緒だったこともないのである。彼女達と仲良くなったあの頃、一人はゴリゴリのギャルだったし、一人は美術部で絵を描いていたし、私はとりあえず眉毛がなかった。でもなんとなく仲良くなった。不思議な話である。

新年度がはじまり、新しい環境で新しい人間関係が築かれはじめる時期である。わたしは会社勤めではないので、今年もぬるっと春を迎えるわけだが、会社勤めの方や学生の方は、毎年苦労があるんだろうなぁ、と思う。

肩書きやジャンルで人付き合いをして来ようとする人達も中にはいるだろう。でも、そういうのを抜きにして、なんとなく仲良くなれる人もきっとたくさんいるし、多分そうやってできた友人って、やっぱり良いもんだと思う。

少なくとも私の友人達は、みんな違って、みんな最高である。 そんな彼女達の自慢の友人に私もなりたいと、最近あらためて思う次第である。頑張んなきゃね。

ちょっとクサい話になっちゃったけど、それもこれも、多分、春のせいである。そういうことにしておこう。

春は好きである。なんか好きである。ちょっと素直に、青臭くなれるからである。