月別アーカイブ / 2015年09月

9月頭から始まったニューアルバムのリリースツアーも、昨日の広島公演を終えて、残すところあと3公演となった。早いものである。

今回のツアーはかなりバタバタとしたスケジュールで動いていたため、あまりゆっくり各地を堪能することはできなかった。しかし、それでもしっかりと珍事には恵まれ、非常に充実したツアーとなった。大阪ではトイレで延々とへそを洗い続けるおばあさんに遭遇し、金沢への移動列車ではトイレの鍵を閉め忘れて素敵なお兄さんに見事にドアを開けられ、岡山では大切にしていた腕時計を狭いホテルの部屋の中で見事に紛失した。それでも今考えればそんなことは気にならないくらい、各地で沢山のお客さんに囲まれ、とても楽しいライブをすることができた。来ていただいた皆さん、本当にありがとうございました。

というわけで、今は広島から東京に戻る新幹線の中でこのブログを書いている次第である。いつもは屍のように爆睡する私だが、なんだか今日は色々と思うこともあり、珍しく窓の外をぼんやり眺めたりしている。

今どこらへんかはわからないが、山々と田んぼに囲まれたのどかな風景が窓の外には広がっている。この上ないくらいの快晴で、新幹線内にいても、暑い日差しが差し込んでくる。本当にのどかだ。一生この景色が続けば良いと今は思う。

マンションやビルなど、空を遮る建物はここにはない。空は青く高く、そして大きく広がっている。窓のブラインドを全開にすれば、さぞかし美しかろう。

しかし今、私はブラインドを半分降ろした状態でいる。たかが20cm程度、しかしその20cmをどうして開けないのだろうか、ぼんやり考える。

無論そんなことは無意識であるし、特段意味なんてない。ただ眩しいから、暑いから、それだけである。
でもひょっとして、それってものすごく損をしているんじゃないかとふと考えたのである。

思えば私は、窓のブラインドに関わらず、事誰かと接する時に関してもそうである。あと少し開ければいいところを、開けられないままなのである。めちゃめちゃダサい言い方をするならば、心のカーテンってやつをだ!!(ダセェ

その根底にあるのはトラウマでもコンプレックスでもなく、たった少しのめんどくささと、申し訳なさである。私はいつだって人の様子をチラチラ気にしてしまっている。嫌われるくらいなら無関心でいてもらったほうが良いと、思っているのかもしれない。だから、誰に対しても変わらずにいられる人がとても羨ましい。それが多少横柄であっても、それはそれでかっこいいと思うのだ。なぜ自分にはそれができないのか、なぜ開けられないのか、正直よくわからない。腹の底で他の事を考えているのではなく、ただただ、嫌われたくないと、抜き足差し足、石橋を叩いて渡る。

ありがたい事に、最近は本当に毎日のように好きな人に出会う。かっこいい人と出会う。自分の非力さに気付かされる。その度にどう話して良いかわからなくなる。ちゃんと伝えられるのか、自分にその言語は足りているか、考える。考えているうちに、言い訳と落とし所ばかり考えてしまう。情けない。

そんな私だが、ライブの時だけは本当に何も考えずにいられる。一人でステージに立って、歌って、話す。何を話すか決めてステージに立ったことはない。いつだって行き当たりばったりだ。言い訳ができない場所だから、ライブが好きだ。(でも上手くいかなったら本当に生き地獄だ)

ここ一年、ライブでたくさん話すようになった。元々は声の調子が良くなかった時にはじめたことだったのだが、そうしてから、お客さんが増えた。ライブ中の曲への気持ちの入れ方もわかるようになってきた。自分の間というのが、少しずつわかってきたのだ。

毎日楽しい。奇跡的に楽しい。生まれて初めて行く場所なのに、自分の歌を聴きに来てくれる人がいるというのは、本当に奇跡みたいなもんだと思う。どこで知ってくれたんだろう、どこから来たんだろう。少なくともその時間が、その人にとって無駄な時間ではなかったことを祈るばかりだ。嫌われたなら仕方ない。また好きになってもらおう。

まだまだ規模感の小さい私がこんなことを言うのは、悦に浸っているようだしキザだしダサくて嫌いだ。でもそう思うのだ。有難いのだ、本当に。自分がそういられる場所というのは、本当に貴重なのだ。

ステージの上以外でも、そうなれると良い。いつだってあと20cmブラインドを開けられるようになれば、何かが変わるのかもしれない。

そうこうしているうちに、二時間が経っていた。窓の外には、マンションが見える。街はどんどん都会になっていく。東京なんて、きっとあっという間に着いてしまうんだろう。

ブラインドを全開にしてみる。緑はもうなかったけれど、思ったより空は高かった。






でもやっぱ暑い…


閉めるか…














諸君、聞いてくれ。

私は今猛烈に太っている。少し前から自覚はあった。

しかし、

「今はツアー中だから」

「今日は良いライブができたから」

「マジ食欲の秋」

などとその都度理由をつけ、いつだって自分を甘やかしてきた。美味しいものを食べるということは本当に気分が良い。重くなっていく身体とは裏腹に軽くなっていく心。私は9月に入ってから、みるみる肥大化していった。

私の部屋には全身鏡がない。従って、自覚症状が大体ものを言う。しかし、その「自覚」から私は逃げていたのだ。そう、体重計に乗らなかったのである。
毎日風呂上がりに、嫌でも目に入る鮮やかなブルーの体重計。私はそいつを一睨みし、「たかがグラム単位で明日の気分が変わるなんてナンセンスだ」などと意味のわからない理由をつけて、片足さえ乗せることなく、軽々と(実際には重量感たっぷりに)飛び越えてきた。

しかし今朝、なぜか体重計に乗ってみようと思った。理由は簡単である。太ったことを自覚せざるを得ないくらい、どうにも身体が重いのだ。それも疲れやむくみといった類のものではない。明らかに脂肪と言う名の悪魔に取り憑かれた重さなのだ。わたしは恐る恐る体重計に身体を預けた。





ZEKKU 
~I can't say anything~




私は自分の目を疑った。体重計の液晶には、過去最高まではいかないにしても、近年稀に見るハイスコアが表示されていた。私は一人で「マジか、おー、マジか、マジかー」と思わず独り言を連発した。気が動転したのである。

そのあと深呼吸をし、身体の角度を変えてみたり、片足だけで立って見たり、膝を曲げてみたり、両手を上に上げてみたり、様々な体勢で体重計に勝負を挑んだが、私の完敗だった。これはいかん。いよいよ本格的にダイエットをはじめなければならない。


その時である。私の心の奥底にいる花ちゃんが、確かにこう言った。

「別二イイダロ」

いかんいかん。お前の言葉には騙されないぞ。

「別に誰に見せるもんでもないダロ」

「別にルックスで売っているわけじゃないダロ」

私には目に見えるような気がした。上下グレーのスエットを着て肩肘つきながら床に寝転んで、ポテトチップスをバリバリ食っているリトル花ちゃんが。そして言うだけ言って食うだけ食ったらそのまま寝るリトル花ちゃんが。

負けるもんか…私はなんとか私の心の中に巣食う「ぽっちゃり」という言葉に甘えているこの女に勝たなければならない。そのためには確固たる意志が必要だ。そう、思えば私は「痩せる」ということに対して異常に意志が弱いのだ。

ここ数年、様々なダイエットを試みてきた。プロテイン、おからクッキー、グリーンスムージー、ランニング、りんご、寒天、デトックススープ、ジム…どれも上手くいかなかった。理由はそう、いつだってはじめて一週間ほどで必ずやってくるあの感情である。



「メンドクセェ…」



わたしはとにかく異常なめんどくさがりなのである。できることなら省エネに省エネを重ねた行動範囲で生活したい。冷蔵庫とトイレとベッドの三点さえあれば3日くらい何もしなくても平気なくらいである。

しかしそんなめんどくさがりの私でも、一度だけ大々的なダイエットに成功したことがある。遡ること12年、関取花、当時12歳の頃の話である。

小学校の頃の私は、とても太っていた。ぽっちゃりなんてもんじゃない、かなりの肥満児であった。身長139cmにして49kg、体脂肪38%。入るズボンがなかったので、婦人用のLサイズの膝丈のサブリナパンツを、10分だけのズボンとして履いていた。おまけにめんどくさがりが過ぎて、髪は年に一回しか切らないし、伸びた髪を乾かすのがめんどくさかったから髪もほとんど洗わなかった。もう、ガチの関取である。今思うと普通にヤベェ。

しかし幸いにも「明るいおデブちゃん」だった私は、沢山の友人に恵まれ、とても楽しい小学校生活を送っていた。

そんなある日、中学校入学の準備をあれこれはじめていた春休みのことである。2つ上の兄がやってきて、こう言った。

「お前、小学校まではギリそのキャラでいけたかもしんないけど、中学入ったら多分そのままじゃ友達できないよ」

ハッとした。こちとら新しい友達を作ることに希望しか感じていないというのに、このままじゃ友達ができないとは何事か。

「中学になると、みんな見た目とか気にし始めんだよ、キャラがわかる前に見た目で判断されることもあるんだぜ」

その言葉に、私は思わず身震いした。あまりにも現実味を帯びすぎていて、恐ろしくなったのである。
ましてうちの兄は大真面目で、絶対に嘘を言うようなタイプではないし、小言を言ってくるタイプでもない。これはマジのやつや…と、幼心に思ったのを今でも覚えている。


そして兄は続けて言った。


「あと、二重飛びできないと友達できないぜ」




その日から、私の過酷なダイエット生活がはじまった。まずはじめに、1日をグレープフルーツ半個で過ごすことからはじめた。4日で4kg落ちた。そして暇さえあれば二重飛びをした。はじめは身体が重くてまったくできなかったが、少しずつできるようになっていった。その後も過酷な食事制限と取り憑かれたような二重飛びの練習のおかげで、入学までに38kgまで体重を落とすことができた。髪もボブにし、綺麗さっぱり、お風呂も大好きになった。そして中学に入学してからはすぐにバスケ部に入ったので、通常の食事に戻しても全く体重は増えることなく、とても楽しい中学生活を送ることができた。(絶対真似しないでね)



それがなんだ。今の私は。曲がりなりにも人様の前に出ることをしているというのに、このザマである。情けない。完全に甘えである。

「でも花ちゃんはそのままで良いです!」

「笑った顔が福々としていて良いです!」

「痩せたら花ちゃんじゃないです!」

そんなみんなの優しい言葉に甘えて、「あら、そう?じゃあ、いっかぁ」なんて言っちゃってる自分が情けない。人の優しさに甘え続ける女なんざ、ろくな女じゃなかろうよ。


だから私はここに宣言する。



あとちょっと、痩せる。




あー明日目が覚めたら長澤まさみになってないかなー







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