月別アーカイブ / 2015年07月

暑い。暑すぎる。

夏は苦手である。
ちょっと動いただけで汗が吹き出る。風呂に何度入っても足りない。
日焼け止めも嫌いだ。全身毛穴をセメントで固められたような気分になる。
かといって肌の露出を控えた服を着れば、やはり暑い。もうどうしようもない。

もちろん良いこともある。
ビールが美味い。四季の中で間違いなく、夏に飲むビールが一番美味い。
アイスクリームを食べる言い訳ができる。毎日食べてもあまり罪悪感がない。

そんなわけで夏は最大の敵であり最大の味方なのである。
「夏休み」なんてまさにその象徴である。

そんな夏休み、学生の頃はとにかく怖かった。
夏休みに入れば、毎日顔を合わせている友達としばらく顔を合わせなくなる。
ただそれだけで、毎年毎年、得も言われぬ不安に襲われた。
夏休みは長い。一か月半くらいある。子どもにとっての一か月半は、とてつもなく長い。
寂しいからとか、宿題をやらなきゃとか、そんな不安ではない。
あいつもしかしたら、今頃自主練をしているかもしれない。夏休み明けには部活のレギュラーの座をあいつにとられているかもしれない。
あの子もしかしたら、毎日食事制限を頑張っているかもしれない。夏休み明けには、ぽっちゃり同盟からあの子は抜けているかもしれない。

とにかく、夏休みの間に誰かと差がついてしまうのが怖かったのだ。

ならば自分も何か頑張ればいいのだが、夏休みという不思議な時間の中で、ただぼんやりと毎日を過ごすことはあまりにも心地よく、だらだらすることも、親に甘えることも、なんだか少し許されてしまう気がして、私はいつだって、何も頑張らなかった。
しかし、何かしらの小さい後悔はその都度あっても、今になってまで「あの夏、こうしておけば」と感じることはそんなにない。よくわからないけど、縁側で鼻くそをほじくりながら蟻の行列を眺めていたあの時間は、それはそれで美しく、他の人にはない、実に私らしい貴重な夏休みの思い出なのである。しかし、ひとつだけ後悔していることがある。


恋だ。もっと恋をしておけばよかった。


浴衣を着る喜びよりもめんどくささが勝ってしまう前に、花火の美しささえ人ごみの前では何の魅力も感じなくなる前に、金魚すくいですくった金魚なんて大体その夏のうちに死ぬってことに気づく前に。恋をしておけばよかった。
夏はすべてをまぶしくさせる。若ければ、なお一層だ。ガラス玉の瞳で、万華鏡の世界を覗くことができるのだ。

今でもたまに、ガラス玉の瞳をした人に出会うことがある。無菌室でずっときれいな夢だけを見ていたような、そんな瞳だ。そんな瞳をしている人に、私は憧れる。目が離せなくなる。
そしてそういう人は大抵、似たような雰囲気を持っている。これからも何度だって会えそうなのに、明日には死んじゃいそうな、不思議な雰囲気である。
そんな人に出会うと、男の子とか女の子とか関係なく、ただただ美しいなぁと思う。あぁ、夏休みみたいな人だなぁ、と思う。なんだか無性に泣けてきたりする。

そして思うのである。あの時、まだ自分がガラス玉の瞳をしていたあの時に、もっと恋をしておけばよかったなぁ、と。もちろん、何もなかったわけではないけれど、もっとしておけばよかった。「夏休み」にもっと恋をしておけばよかった、そう思うのである。




恋がしたい、恋がしたいと思ってまた一年が経った。
今年も夏が来たのである。

今からでも間に合うと良いのだが。





















2015.09.02 release
1st full album
「黄金の海であの子に逢えたなら」


CD詳細やツアー日程、その他リリースまわりの情報はスペシャルサイト にて。



前作「いざ行かん」から1年半、色んなことがあったけど、
皆さんのおかげでまた新しいアルバムを出せることになりました。
大好きな人たちと作った、大傑作です。本当に沢山の人に聴いて欲しいです。

積もり募る話は沢山あるけれど、とりあえずはご報告まで。




飛んでけ!








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