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"シシ神様は

生命の神様だから

命を与えることも、吸い取ることも出来る"


そうなんだよなぁ。


だけど、情なんて持ち合わせていない。


そして、情を持ち合わせている人間って、

時に愚かで、欲に満ちてるんだよなぁ。


1997年7月12日の公開初日、川崎の映画館

チネチッタで、ひとりで

『もののけ姫』を観た時のこと。


期待していた結末じゃあないし

期待していた明るさもないし

残酷だしで、どうこのモヤモヤを消化しようかと

思っていて

それ以来、確か『もののけ姫』だけは観ていなかったんですよ。

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コロナによって、映画館の興収も恐ろしいほど落ち

同月の前年比98%減と、あり得ない赤字状態の中

ヒットが見込まれる大作の上映を延期して

TOHOシネマズが打ち出したジブリ映画上映。


よくぞ考え付いたわ!


えらく感心してしまった私が選んだのは

『千と千尋の神隠し』でも『風の谷のナウシカ』でもなく

唯一、DVDを持っていない、あ、『ゲド戦記』も持っていないけど

『もののけ姫』でありました。


なぜかって、それはあのモヤモヤを解消したかったのと

何処かで、陰なのだけど目を背けちゃいけない大事なことが

描かれてるのは、分かっていたし

幼い娘に観ておいて欲しいなぁ、と思ったからで

まぁ、少しの残酷シーンはあれど

『ジュラシックパーク』観られるんだから大丈夫と

彼女のボーダーラインを勝手に私が線引きして

映画館へ連れて行きました。


「生きろ」

というキャッチコピーが、コロナの今だから耳にこだまする。


そして、コロナの時代に生まれ育った若者や子供たちが

アシタカのように強い心を持っていたら、と願ってしまったり。

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村の民の為にタタリ神様を退治したアシタカは、

右手が祟られ、祟りのアザが身体をどんどん侵していき

やがて死へと追いやると言われるのだけど

一筋の希望を胸に、祟りの元凶を探しに旅へと出る。


ウィズコロナと言われる今の時代

アシタカは、ウィズタタリで生きて行こうと心に決めるんだからもう強靭なわけ。


今の世の中、コロナのお陰で、貧困か感染か?

の背中合わせで生きる私たちは

多分、心も荒み気味で、ついつい人に厳しくなってしまったり

負の感情に引っ張られ気味になり

心に余裕が無くなってしまうのだけど、アシタカは違う。

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「曇りなきまなこで見定め、決める」


それだけ。


人間が正しいのか?


森の主(動物たち)が正しいのか?


正義というより、アシタカ自身が何を求めているのか?


勧善懲悪じゃないんだよな、『もののけ姫』は。


だからスッキリしない。


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大事なのは、


必要ない命なんぞ無いのだということで

もちろん、人間様が一番、業が深いのは当たり前で

自分の考えは正しいと思い込んでしまう厄介な生き物なんだけど

世界で一番不器用な生き物なんだろうということ。


共存が下手。


人間同士も奪い合うし

人間同士のくせにいがみ合って

人間同士なのに信じ合えない。


自分が信じてる人にしか心を開けないめんどくさい生き物。


この先の未来の若者たちも

そうはならないで欲しいという願いが詰まっているんだろうな。


この映画に、きっと。


男尊女卑も描かれていたり

エボシ殿という女性のボスキャラにより

女性軽視をされて来た過去があるのか

男性に対する皮肉まで口走る。


そこも男女共存が苦手な人間の象徴。


人間嫌いという山犬に育てられた人間のサンも、

結局は人間の子だという事実を

イノシシ達に言葉で浴びせられ

偏見の目で見られるし。


すごいな。


環境破壊やら男尊女卑やら人種差別やら

格差社会やら強欲さまで描かれちゃってる

『もののけ姫』。


酷い目に合った者が憎しみを持つことで

醜いタタリ神様になる、という救いのない設定。


そんな中で、誰よりも人間らしくないのが実は、人間のアシタカ。


自分の思いは捨て置いて

愚かな人間を捨てることもせず

憎むこともせず

見張るように世界の調和を図ろうと

行動し続けるのだから。


「これ以上、憎しみに身を委ねるな」


こんなことまで言えてしまうのだから、もはやアシタカは仙人レベル。


まぁ、仙人にはなれなくとも

せめて、人を責め立てる人間にだけはなりたくない。


コロナに心を蝕まれないよう

受け入れながら順応した生き方を見出していかないと。


願わくば、歪み合わず、否定的に考えず

何か策を練りながら

しばらくはコロナと共存する生き方を考えなければ。


何より、誰かのせいにしないこと。


アシタカから学ぶ人間共生学。