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何故に「映画すみっコぐらし」がヒットしているのか?


4歳の娘を持つ親として

映画界に関わる身として

とても興味深いことが分かりました。


その1:「すみっコぐらし」は「パプリカ」のように
幼稚園児の間での共通言語

〜私が「娘と観に行く」と園児に言っただけで

園児たちは、親に伝え

すでに3組の親子が行くことになったのです。

しかも、娘はいつの間には「すみっコぐらし」を知っていて

全キャラクターの名前を覚えていたのです。

理由としては

キャラクターのビジュアルがまるっとしていて可愛い

ネーミングが絶妙で覚えやすい。

クラスの誰かに教えてもらい

それが園内でお友達作りをする上での

コミュニケーションの共通言語になっています。



その2:ネットの口コミ

〜昨日の夜の上映は、新宿ピカデリーは完売

その他は、夜の回になるほど席は埋まっていて

私が観に行った品川は、7割親子連れ、3割映画好きな大人

という構図で、平日1620の回なのに8割埋まっていました。


大人たちが観に行く理由のひとつは、SNSでの

「ビジュアルとのギャップで、感動する」

だったり

どのキャラクターも

人間に例えると

ヒーローでもクラスの人気者でもなく

クラスで目立たないおとなしい子たちであり

「自分」を投影しやすい点もあるかもしれません。


その3:理想的な構成力

〜大人向けのアニメなのか?子供向けのアニメなのか?

この点では、近年まれに見るバランスの良い構成力が光っています。

子供は声を出して笑い、多くの子供がツッコミを入れ

後半の切ないシーンでは、静かに耳を傾けるという

子供たちの感情を見事に掴む反応でした。

斬新なのは、声を発しないキャラクターの端的な言葉は

「ひらがな」で頭の上に現れるので

年長クラスの幼稚園児は読める設定。

「ひらがな」を読めない子供たちには

後追いの語りかけのナレーションにより

感情を確認でき、しかも、絶妙な間のお陰で

子供がまずは考え、ツッコミを入れやすい環境になっているということ。

そして素晴らしいのは、簡易的なキャラクターだからこそ

目の表情がフィーチャーされ、子供たちが感情を読み取りやすい点。

さらに、よく知られた昔話や童話の世界という

日々、親しんでいる「絵本」の世界をベースに脚本を作っている部分。

特に、「困っている人に優しく」「人を外見だけで判断しない」

「困っている人、悩んでいる人と一緒に考え、皆で解決策を練る」

という知育で重要なテーマから物語が作られている点。


この3点がポイントであり

子供に見てもらうための工夫が随所に織り込まれながら

大人に思い出して欲しいコミュニケーションの大切さや

大人だからこそ手を差し伸べて欲しい"人への直接的な親切"

を物語に綴ったこと

目立つことや、わかりやすく成功することではなく

すみっコで生きることへの肯定と受け取れる

キャラクターの生き様に

安らぎを感じる大人もいるのかもしれません。

だからこそ

世代関係なく楽しめ、共鳴する

エンタテインメントになったのです。


子供向け、大人向け、とターゲットを決め付けすぎると

失敗するアニメーションの世界感。


子供に飽きさせない工夫をしながら

人が生きる上で大切な学びを物語として絵で見せることさえ心掛ければ

「トトロ」のように海を渡り、更に多くの人の心に響くのでは?


「映画すみっコぐらし」は

映画の構成はもちろん、知育としても素晴らしく

大衆向けのアニメーション作りを目指す

クリエイターにも

今後の映画作りの課題として

子供が多くいる日に映画館で観て欲しい

と思います。