月別アーカイブ / 2020年07月

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ずーっと唯一好きなこと、映画だけで生きて来て

間違いなく羨ましがられる生き方をしてきたと思うんです。


24歳の頃から番組で映画コメンテーターやら

映画イベントのMCを仕事にして

肩書きは

ラジオでもテレビでも雑誌でも司会でも

多角的に映画を紹介するから

「映画パーソナリティ」ってゆーのにしよう!

と思いついて

この肩書きが浸透したらいいな、と

至るところで、言い続けていたあの頃。


最初の頃は、舐められないようにとか

逆に、失礼のないようにとか

自分らしいってなんだ?とか

色んな声が頭の中で聞こえてきて

ある時、突然、スッと全部消え去ったと思ったら

あっという間に人生の半世紀を迎えてたわけです。


松岡茉優ちゃんが『劇場』リモート舞台挨拶での

VTRで言っていた

「わたしや山﨑賢人くん、

20代の私たちが映画の世界を元気にできるよう

頑張りますから、日本の映画の未来は明るいぞ」

という言葉を聞いて、すごく安心したんです。


そう、コロナが怖くてビクビクして

未来に不安を持たれたらとても悲しい。


私たち大人がやることって

未来を担う若者たち子供たちに

安心して歩んでもらう道を作ることなんだよな

とコロナになってしばらくして

心にストンと落ちてたんですよ。


「日本映画は洋画に比べて残念」

と言う人も居れど、

日本に生まれたんだから

日本で映画に関わる仕事が出来たのだから

これってきっと、何か自分にもやれる事があって

私に、もしやれる事があるのならば

映画を作る人たちの想いを引き出しやすい

声がけを舞台挨拶でしたり

(たまたまタイミングよく

私がこの仕事を始めてしばらくして

映画イベントというものが頻繁に生み出されたんですよね。)


それから、色んな媒体で映画レビューを書ける立場も貰えたのだから

映画の魅力を伝える手伝いになるのかもしれないと。


沢山の出会いを通して映画人の対談番組なんかを作ってみるとかで

「伊藤さとりと映画な仲間たち」やら、その他

諸々の番組や連載を作らせてもらえ

40代になって

日刊スポーツ映画大賞や日本映画プロフェッショナル大賞などの

映画賞の審査員をやれるようになって

日本映画への責任感が更に大きくなっていきました。


是枝裕和監督や行定勲監督がミニシアターで

舞台挨拶をしていた頃に出会い

司会をさせて貰えたりして

やがて、その監督が世界的に認められ、

俳優陣もデビューしたと思ったら

いつの間にか人気俳優や実力を認められる俳優になり

その変化を見つめながら

「日本映画もなかなかやるぞ!」

なんて思っていたりして。


そして、また新しい才能と出会い

若い俳優、若い監督と出会い

「日本映画の未来を担う人々だ」

と嬉しくなったりして。


まるで母心です。


えぇ、まだまだ映画界に大先輩は居るのに(笑)


でも、私のような中堅クラスが、

しっかりと先輩と若手の人々の声を聞き

理解しようと努力していかないと、と最近思うんですよ。


今日は取り止めもなく書いているから

文章がグチャグチャですが

行定勲監督が大切にした

お客さんに映画を届けることを第一優先にし

役者たち、スタッフたちが無念と思わないよう

考え抜いた配信と公開という選択技。


今回の『劇場』での山﨑賢人くんキャスティングなど

若手俳優たちの更なる才能を引き出すことをしたい

という思いが、やけに胸に響いて

私もそうやって人に関われ

私のような仕事をしたいと思う若者たちが

映画を応援する楽しみを知ったら素晴らしいな

と改めて思った夜でした。


日本映画の未来よ、明るくあれ。


魅力をこれでもかってくらい思いっきり出して、

映画の中で輝いて、人々の心を温かくして欲しい

映画って、そんな力があるから

私はずーっと映画に恋しているんですよ。











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"シシ神様は

生命の神様だから

命を与えることも、吸い取ることも出来る"


そうなんだよなぁ。


だけど、情なんて持ち合わせていない。


そして、情を持ち合わせている人間って、

時に愚かで、欲に満ちてるんだよなぁ。


1997年7月12日の公開初日、川崎の映画館

チネチッタで、ひとりで

『もののけ姫』を観た時のこと。


期待していた結末じゃあないし

期待していた明るさもないし

残酷だしで、どうこのモヤモヤを消化しようかと

思っていて

それ以来、確か『もののけ姫』だけは観ていなかったんですよ。

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コロナによって、映画館の興収も恐ろしいほど落ち

同月の前年比98%減と、あり得ない赤字状態の中

ヒットが見込まれる大作の上映を延期して

TOHOシネマズが打ち出したジブリ映画上映。


よくぞ考え付いたわ!


えらく感心してしまった私が選んだのは

『千と千尋の神隠し』でも『風の谷のナウシカ』でもなく

唯一、DVDを持っていない、あ、『ゲド戦記』も持っていないけど

『もののけ姫』でありました。


なぜかって、それはあのモヤモヤを解消したかったのと

何処かで、陰なのだけど目を背けちゃいけない大事なことが

描かれてるのは、分かっていたし

幼い娘に観ておいて欲しいなぁ、と思ったからで

まぁ、少しの残酷シーンはあれど

『ジュラシックパーク』観られるんだから大丈夫と

彼女のボーダーラインを勝手に私が線引きして

映画館へ連れて行きました。


「生きろ」

というキャッチコピーが、コロナの今だから耳にこだまする。


そして、コロナの時代に生まれ育った若者や子供たちが

アシタカのように強い心を持っていたら、と願ってしまったり。

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村の民の為にタタリ神様を退治したアシタカは、

右手が祟られ、祟りのアザが身体をどんどん侵していき

やがて死へと追いやると言われるのだけど

一筋の希望を胸に、祟りの元凶を探しに旅へと出る。


ウィズコロナと言われる今の時代

アシタカは、ウィズタタリで生きて行こうと心に決めるんだからもう強靭なわけ。


今の世の中、コロナのお陰で、貧困か感染か?

の背中合わせで生きる私たちは

多分、心も荒み気味で、ついつい人に厳しくなってしまったり

負の感情に引っ張られ気味になり

心に余裕が無くなってしまうのだけど、アシタカは違う。

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「曇りなきまなこで見定め、決める」


それだけ。


人間が正しいのか?


森の主(動物たち)が正しいのか?


正義というより、アシタカ自身が何を求めているのか?


勧善懲悪じゃないんだよな、『もののけ姫』は。


だからスッキリしない。


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大事なのは、


必要ない命なんぞ無いのだということで

もちろん、人間様が一番、業が深いのは当たり前で

自分の考えは正しいと思い込んでしまう厄介な生き物なんだけど

世界で一番不器用な生き物なんだろうということ。


共存が下手。


人間同士も奪い合うし

人間同士のくせにいがみ合って

人間同士なのに信じ合えない。


自分が信じてる人にしか心を開けないめんどくさい生き物。


この先の未来の若者たちも

そうはならないで欲しいという願いが詰まっているんだろうな。


この映画に、きっと。


男尊女卑も描かれていたり

エボシ殿という女性のボスキャラにより

女性軽視をされて来た過去があるのか

男性に対する皮肉まで口走る。


そこも男女共存が苦手な人間の象徴。


人間嫌いという山犬に育てられた人間のサンも、

結局は人間の子だという事実を

イノシシ達に言葉で浴びせられ

偏見の目で見られるし。


すごいな。


環境破壊やら男尊女卑やら人種差別やら

格差社会やら強欲さまで描かれちゃってる

『もののけ姫』。


酷い目に合った者が憎しみを持つことで

醜いタタリ神様になる、という救いのない設定。


そんな中で、誰よりも人間らしくないのが実は、人間のアシタカ。


自分の思いは捨て置いて

愚かな人間を捨てることもせず

憎むこともせず

見張るように世界の調和を図ろうと

行動し続けるのだから。


「これ以上、憎しみに身を委ねるな」


こんなことまで言えてしまうのだから、もはやアシタカは仙人レベル。


まぁ、仙人にはなれなくとも

せめて、人を責め立てる人間にだけはなりたくない。


コロナに心を蝕まれないよう

受け入れながら順応した生き方を見出していかないと。


願わくば、歪み合わず、否定的に考えず

何か策を練りながら

しばらくはコロナと共存する生き方を考えなければ。


何より、誰かのせいにしないこと。


アシタカから学ぶ人間共生学。


































緊急事態宣言解除後の公開記念舞台挨拶は様々なスタイル。


劇場さんが舞台挨拶をやるかの可否を持っていることが多いので、

そこはメイン館によって異なっていく、という

多様なスタイルの舞台挨拶が展開されております。


3.11の時は、映画界が一丸となるというか、しばらく自粛して、

ゴールデンウィーク明けから「お悔やみ」をMCからまず伝え

登壇者も言っていたり、そろから徐々にフェイドインのように

ゆるりと盛り上がっていくステージへ、という具合でした。


コロナ自粛明けの映画舞台挨拶は、

色んな試みが行われていて、

万全の注意を払いながらも工夫ある内容に的で

アイデアが素晴らしいものばかり。


完全マスコミ向け、登壇者も密を避けて

石橋蓮司さんと阪本順治監督以外は

電話でリモートお祝いというプチ舞台挨拶になった

『一度も撃ってません!』とか。


『水曜日が消えた』は87の劇場への中継スタイル。

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『MOTHERマザー』は、TOHOシネマズ池袋と繋いでのリモート舞台挨拶だったりと。

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映画舞台挨拶や演劇、ライブ、どれも劇場とお客さんが居て、

初めて「ショー」なんですよね。


生、にこだわるお客さんは、たとえリモートでも、

たとえ中継でも、映画館の大スクリーン越しでも、

映画館で監督や役者さんのリアルな笑顔が見たいわけで。


昨日、『水曜日が消えた』で生中継を映画館に見に来たお客さん達から

感謝のツイートが沢山届いて、

「大スクリーンで映画を見る、監督、キャストと喜びを分かち合いたい」

がやはり俳優を愛し、映画を中毒性にするものなんだ、と思った次第です。


配信自体は私も見ているし、とっても便利でイイモノ。


テレビも金曜ロードショーが戻ってきたのは万々歳!


だけれど映画館ってものはね、スペシャルな体験の場なんだと。


満席のお客さんと対面で映画館で、

声を出し合って、マスクの光景ではない、

皆の笑顔が普通に見られる初日舞台挨拶が恋しい。


その日が早く訪れる為にも、コロナ収束を願い、密を避けて、

仕事以外は夜の外食も控えて乗り切って、

明日は都知事選の投票にマスクで行って参ります!


あ、この写真の別バージョンも踏まえ、次回の雑誌シネマスクエアの

私の連載ページに掲載しますよーーー。

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