月別アーカイブ / 2019年12月

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2019年ラストデイ。


こんな日に思いついたことといえば

このタイトル「パーフェクトな善人なんていない」

であります。


映画「二人のローマ教皇」を見た時に

思い浮かんだ言葉でもあるのだけど。


現在、Netflixで見られる

ゴールデングローブ賞ノミネートにも

名を連ねる

名優アンソニー・ホプキンスが

保守派のローマ教皇を演じ

ジョナサン・プライスが

彼の考えに賛同できない

リベラルの枢機卿を演じた

2012年にバチカンで起こった実話の映画化なのです。


監督もこれまた社会に問題提議をする

映画「シティ・オブ・ゴッド」を撮った

フェルナンド・メイレレス監督だもんだから

まぁ、人間の心という摩訶不思議なものを

見事なまでに対話で表現してくれ

見応え充分な社会派ヒューマンドラマでした。


アンソニー・ホプキンス教皇は

同性愛反対派であり、昔ながらの考えを

守ろうとする見た目も行動も威厳がある人。


ジョナサン・プライス枢機卿は

もっとフリーダムな考えで、もっと市民に近く

アルゼンチンという地元を愛する庶民的な人。


宗教も政治と繋がっており

とても興味深いテーマなのだけど

この映画をもっと身近に感じられるのが

本当に聖人は居るのか?

人のリーダーになる

もしくは人に過ちを諭す人は

誰もが聖人なのか?

ということなんです。


今の世の中

誰かが、過ちを犯すと

その人のことや、その出来事を

しっかり調べもせずに

陪審員のようにネットで叩くのが当たり前に

なってきている気がするんですね。


神に仕える人は

生まれて今までずっと善人なのでしょうか?


そうだとしたらスゴイ。


そして、他人の過ちに対して避難する人たちって

自分の人生はずっと善人だったと

言い切れるんだろうか?


自分の人生、懺悔なく生きて来られる人なんて

いるんだろうか?


この映画が本来、伝えようとしているのは

「過ちを犯さない人間なんていない」

ということ。


そしてもうひとつ


「その過ちを悔いているのなら

許す心を持つこと

相手を善人に変えるチャンスを作れるのも

他者の許しだということ」


ちなみに私は無宗教の凡人ですが

善人になりたいと思いながら

懺悔をしてばかりいる人生ですよ。


2020年になる前に

怒りや憎しみを捨て

自分の過ちにも懺悔して

新しい年をクリアな心で

誰もが迎えられますように。


そんなことを祈って

今夜は夢の中に飛び込みます。










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今年も仕事納めは

審査員を務める

日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の

司会、露木茂さんのアシスタントでありました。

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ここ数年

日刊スポーツ映画大賞の審査員を
やらせて頂いて

今年の結果が、正直、一番嬉しくて

同じ審査員の朝日新聞映画記者である

石飛さんと受賞式の帰りに

二人でケーキで祝杯をあげたくらいっ。


映画の仕事に関わっていると気付かされる

後世に語り継ぐ為に表彰すべき映画の存在。


映画に全身全霊をかけた監督や

俳優の情熱を讃える為の映画賞。


日本は、アメリカやイギリス、韓国に比べ

社会派の作品を作ることに遅れていて

政治映画となれば、圧力に立ち向かう覚悟と

勇気が必要になる仕組みなのにも気付き

だけれど人ごとながら突破していって欲しいと

強く強く思うのです。


だから、そんなチャレンジングな映画を

全力で応援することぐらいが

私に出来る役目なのではないかと。


そういった意味で

「新聞記者」や「宮本から君へ」の受賞は

嬉しくて嬉しくて。


「青の帰り道」司会の時に

藤井道人監督が「新聞記者」の監督を

受けるか否か

悩んでいたのも懐かしい思い出で。


そして、33歳にして

ここまでスタイリッシュに

観客へ問いかける映画として見事に作り上げた

結果が今回の作品賞受賞です。

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演技をすることに全身全霊で取り組む俳優陣が

今回、ズラリと並んだステージには

司会のくせにウルっときてしまいました。


しっかりと応援演説していこう。


池松くんの7年間「宮本から君へ」との関わりと

だからこそドラマ、映画へと公開出来た力

その熱量たっぷりな演技には

主演男優賞という賞賛しかありません。


真利子哲也監督の新境地の作品になったのは

間違いなく、結果、監督賞をもらたしました。

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その他にも

エネルギーを全て注いで

攻めの演技アプローチをする

松岡茉優ちゃんの演技力は主演女優として

「蜜蜂と遠雷」という

映画をワンステージ上げました。


個人的には

ずーっと演技人として素晴らしいと思っていた

渋川清彦さんや市川実日子さんの

助演男優、助演女優賞も

自分ごとのように嬉しかったのです。


また「デイアンドナイト」で初めて彼女を見た時の

唯一無二の佇まいと場の空気を読む力に

魅せられた清原果耶ちゃんの

新人賞は

今後の彼女の役者人生を輝かすものに

なれば良いと思っていました。


会長の石原まき子さんが

石原裕次郎新人賞の

成田凌さんの「カツベン!」を観ていて

ニコニコと絶賛していたのも

舘ひろしさん出演の「アルキメデスの大戦」

石原裕次郎賞受賞を喜んでいたのも

嬉しかったのです。


まき子会長が口にしていた

「戦争は忘れてはいけない」


戦争映画を作り続けること

それは

戦争の恐ろしさ

私たちが政治に目を向ける必要性を

伝える大切なアプローチなのだと

今回の映画賞で実感したんです。

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映画って

撮影テクニックなどを評論するのは

もしかしたら簡単かもしれない。


でも、大事なことは

この映画が、何を伝えようとしているのか

読み取る力。


社会へ投げ掛ける、あなたの心に投げ掛ける

世界を見つめる、社会を見直す

問いが、映画に込められていることに

気付くことなんだと思っています。


製作陣が作品に込めた想いを

観客である私たちが

ちゃんと受け止め、考え、伝えていくこと。


来年も、そうやって映画から社会を

見つめていきたいと思います。

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カンヌ映画祭で

パルムドールを受賞


2020年のアカデミー賞の最有力とも

言われている韓国映画

「パラサイト 半地下の家族」


そもそも大学を出て

映画監督として成功を収めている

貧困層ではないポン・ジュノ監督が

半地下の家で

家族みんなで知恵を絞って生活費を

切り盛りしている家族を主人公にした

映画を作ったところが興味深いのです。


そんな彼らが富裕層の暮らしにどうやって

侵入していったのか......。

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その脚本力にただただ脱帽なのですが

この映画は

ただのブラックコメディではなく

"マンパワーが人生を変える"

ということを

面白いほどサスペンスフルに描いているんです。


良いとこの大学出れば

出世コースにのれて

お金持ちになれ

良い暮らしが出来るのか?


誰もが夢見る豪邸で

見栄えの良い相手と結婚し

子供をもうけて

良い教育を受けさせること


これで家族は幸せになれる。


それが本当に幸せを掴む

理想の人生設計なのか?


この概念を切り崩していく

ポン・ジュノ監督の理論たるや。


来日した主演のソン・ガンホ氏は

ポン・ジュノ監督についてこう言いました。


「ポン・ジュノ監督が、今の世の中、どう生きるか

提示した映画」


ポン・ジュノ監督自身は

なぜ、この映画が世界的に大ヒットしたのか

こう分析しました。


「この映画は、格差社会を描きながら

善悪の区別が付いていない

登場人物に悪人が居ないのに

事態は思わぬ方向に向かうという

展開を迎えるので

多くの人が共感しやすいのではないか?」

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そもそも、裕福な人が悪、

貧しい人も心が荒んでいる、

という概念がおかしい。


この映画を見ると

貧しい中でも家族協力し合って

信頼し合って

仲睦まじく生きているソン・ガンホ一家が

気になって愛おしくさえなるのです。


お金がなくても

お金がないことに甘んじず

家族の為に頭を使って小銭稼ぎをし

家族それぞれの特技を勝ってアイデアを求める

父親の背中を見て育った子供たちは

お金では買えない、「賢さ」を持っています。


そして父の背中を見て

「愛する家族の為に協力し合ってお金を稼ぐ」

を人生で学んでいるのですよ。


今の世の中

ネットもあるから

教材はタダも同然。


やる気と行動力

怖気付かない気合があれば

人はいかようにもなれるということ。


"考えること" "知恵を絞ること"


そして

"失敗を恐れず行動すること"

それだけで

お金がなくても

自分を幸せに出来るということなんですよね。


2019年の日本の出生率は

史上最低とニュースで

発表されましたが

それは

"お金がないから"

生活費も養育費もかかるから

という社会問題も間違いなく

影響している気がします。


知恵を絞る、ことは大事で

お金持ちと結婚したからといって

その人が浪費家ならば

子育ても大変でしょうし

お金が無い人と結婚したからといって

その人が怠け者ならば

子育ても大変でしょうし

大事なのは

家族が協力し合って

お金を稼いで

協力し合って

子育てをすることなんじゃなかろうか。


そう思うのです。

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制度や社会を変えるは

そう簡単なことじゃないから

まずは、自分の意識を変える。


お金持ちじゃなくたって

子育ても出来るし

愛だって手に入れられる。


それは、自分の意思に共鳴する

パートナーが居れば叶うことだと。


"世の中の常識を捨て、自分なりの幸せを想像する"


"そこに至るために何が必要か、知恵を絞る" 


これこそが

今の世の中で

自分なりの幸せを見出す

人生設計なのかもしれないですわ。

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