月別アーカイブ / 2018年02月

「知りもしないで、偉そうなことを言うな」


そんなことを言われるくらいなら

何も言わない方がマシ。


この言葉を聞いて驚いた。


映画が作られた背景についてだって

憶測でものを言うことも多い。


それこそが映画の醍醐味で

映画化する意味だと思うからだ。


だから、私はあえて統計と憶測でものを言う。


例えば

アメリカのアカデミー賞授賞式を

あと数日に控え

ノミネート作品を見ていると面白いことが

見えてくる。


基本的にアカデミー会員は

実話の映画化が好き。


それは紛れもなく

米アカデミー賞は

世界が注目しているからこそ

世界情勢に合ったものを

映画で世界に知らせるべき

と思っているからではないだろうか?


今年は

「ダンケルク」や「ウィンストン・チャーチル」

と言ったイギリス側から見た

第二次世界大戦の映画が揃った。


同じ時代のイギリス軍の歴史的な戦い

ダンケルクの戦いを現地に焦点を当て

臨場感たっぷりに見せた

クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」
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その指示をしたチャーチル英首相の

苦戦を強いられていた戦争において

究極の決断をするまでの

27日間を綴った

政治映画「ウィンストン・チャーチル」

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これは是非、セットで見て欲しい

イギリスの歴史がよく分かる映画。


そして

アカデミー賞では

「ペンタゴン・ペーパーズ」のように

戦争やそれに関連する

政府のスキャンダラスな事件を

描いているものがあるということ。

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「ペンタゴン・ペーパーズ」に至っては

スティーブン・スピルバーグが

「レディ・プレイヤー1」が先に決まっていたのに

トランプ政権になり

慌てて

「ペンタゴン・ペーパーズ」を作ったという

熱の入れよう。


まさに、トランプ政権への危機に対してや

この映画で描かれる

無駄な戦いと言われた

ベトナム戦争の二の舞いにならないよう

社会に目を向けて欲しい

ニクソン米大統領時代の

二の舞いにならないように

映画を通して、アメリカに、世界に

伝えているのだろう。


だから

「ペンタゴン・ペーパーズ」のラストカットに

「ウォーターゲート事件に続く」

という文字が出て来るのだ。


偶然か?


日本では先週末公開された

リーアム・ニーソン主演

「ザ・シークレットマン」に

これがまるで繋がるようで面白い。

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問題のウォーターゲート事件を描き

ニクソン米大統領を辞任に

追い込んだ

まさにFBI副長官の内部告発。


大統領ひとりの存在で、歴史が変わる。


国のトップひとりの決断で、戦争も起こりうる。


それを描き続ける海外映画。


前に、イベントでお会いした

海老名香葉子さんがこう言っていた。

「ヒトラーはすごい人、と第二次世界大戦

当時、日本では教えられていた」


うちの亡き父も似たようなことを言っていた。

「戦争に行きそこねた、海軍に入りたかった。

お国の為に闘うのは名誉なことだからな」


そんな教育を過去受けてきた日本では

最近は、少女漫画の胸キュン映画が

市場を広げ

ここ数年の話題作では

「永遠の0」「日本のいちばん長い日」

「この世界の片隅に」

が思い浮かぶくらい。


胸キュン映画が悪いとは思わないけれど

この手の作品数の多さには

疑問符さえ浮かぶ。


しかも

試写で洋画、邦画、を見て歩いていると

「日本はたしかに平和ボケかもしれないな」

と言う言葉さえ浮かんでくる。


というより

世界を視野に入れるより

日本でのヒット、メディア展開にばかり

目を向けてしまっているところが

多いのかもしれない。


日本では、ややお高い娯楽の映画館に

お客さんを呼ぶためには

俳優の人気や、原作の人気に頼る。


仕方がないと言えばそれまでだけれど

どこかで

いつもは感じることのない

日本人のプライドがフツフツ湧き上がる。


内情を何も知らないで

偉そうなことを言っているのかも

しれないけれど

日本にも、伝えなければいけない歴史がある。


過ちを伝えることも

未来への教訓になる。


そんな骨太な社会派なり、戦争映画を

日本映画でも今より多く見たい

そう思った最近であった。

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小さな頃から

映画音楽が好きだった。


洋楽も好きだった。


だから一生懸命サントラを集めていた。


映画の仕事を始めたら

なおさらサントラを集め

映画のラジオ番組を持てた時は

嬉しくて嬉しくて

セットリストを作るのにワクワクしていた。


ジョン・ウィリアムズの来日コンサートに行き

ひとりで興奮していた。


だから

映画やゲームの作曲家、戸田信子さんとの

出逢いはこの上ない宝。


彼女の映画音楽愛が

アマチュアオーケストラを作り上げ

「フィルムスコア・フィルハーモニック・オーケストラ」が設立。


司会を務めて、これで3回目。

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演奏される曲ごとに

その映画や作曲家の解説を挟んでいく。


今回は

「ザ・モンスターズ!」オーケストラコンサート

と銘打って

映画やゲーム、ミュージカルの中に登場する

モンスターの曲を集めたセットリスト。


「オペラ座の怪人」

では

ボーカリストを招いての

「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」

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日本を代表する「ゴジラ」の作曲家、伊福部昭さんの

東宝特撮映画のために作られたスコア

「SF交響ファンタジー第1番」による

オープニングは、私も興奮した。


モンスター登場のゲーム

「ポケモン」「モンハン」のオーケストラ演奏


そして「エイリアン」は

ジェリー・ゴールドスミス バージョンの

エンドクレジット!


名曲

ジョン・ウィリアムズの「ジョーズ」のテーマ

はアカデミー賞作曲賞受賞。
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愛するドリームワークスアニメーション映画

「ヒックとドラゴン」は

今年6月に公開される

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」

も担当しているジョン・パウエルの作曲で

「ヒクドラ」もシリーズ3作目が

来年3月に全米公開決定している名作!

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「美女と野獣」のオープニング曲

「オーバーチュア」には

会場の温度も上がるし

アカデミー賞長編アニメーション賞

設立時、最初の受賞作

「シュレック」なんて

美しい曲で

この曲は

日本のアマチュアオーケストラが

演奏出来るのはこれっきりだそうな。

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フィルフィルのメンバーの

映画愛が溢れ

恒例のアンコール曲

ジョン・ウィリアムが作った映画メドレー

「トリビュート・トゥ・フィルムコンポーザーズ」

なんて

いつ聞いても鳥肌が立つ。

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こうやって映画音楽を愛する人たちが

奏でる名曲を生で聞ける贅沢なひととき。

フィルフィルの次回公演は

8/18(土)東京オペラシティ


しかも

またもや

ジョン・ウィリアムズ第2弾!


「スター・ウォーズ」は

演奏してくれると信じ

次はどんな映画音楽を演奏してくれるのか?


この興奮、体感しに来て欲しいな。




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私の知人にね

児童養護施設から子供を預かり

里親になった方がいて

彼女が里親になれるまでの

手続きの大変さや苦労を

フェイスブックで2年間

見続けているんです。


ああ、日本ってこんなに養子を迎えるのが大変で

里親になることも

手続きやらなんやらで

住んでいるところにより違うのか

遅れているんだな、と驚かされてばかり。


そうやって映画を見ていると

世界各地で

養護施設を舞台にした映画はとても多かった。


最近だと

今、恵比寿ガーデンシネマで公開している

「ぼくの名前はズッキーニ」


ストップモーションアニメのクオリティは

さることながら

脚本が凄まじく素晴らしい!


お母さんを失った少年が

児童養護施設に入り

そこで

様々な境遇の子供たちと知り合い

成長していく中で

血の繋がりではない愛を知るという物語。


シュールな顔付きのキャラクター達だから

男の子特有の思春期の好奇心も

可愛らしく思え

ちょっとしたイジワルも

重々しく見えず

悲しいけれど、可愛く、希望を見出せる作品。


私は、この映画でも血の繋がりではない

親という存在を見た。

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「ぼくの名前はズッキーニ」と

同じ劇場で去年公開されたのが

デンマークはコペンハーゲンの

児童養護施設で起こった

実話を映画化した

「きっと、いい日が待っている」


この映画を見た時の

悲しみと苦しみと切なさは

今でも忘れないし

多くの人に知って欲しいと思った。


つい先日も

これから公開される日本映画

「バケツと僕!」の試写会へ行って

児童養護施設が舞台になっていたな。


アカデミー賞ノミネートにもなった

心震え、涙が止まらなかった実話の映画化

「LION 25年目のただいま」にも

幼い頃、迷子になり

遠い国で養子となった主人公のモデルとなった

サルーさんが来日し、お会いした時も

養子縁組への支援を伝えていたっけ。

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そう思っていたら

こないだの

「チェリーボーイズ」初日舞台挨拶で

原作者の古泉智浩先生から

新刊を頂いたのですよ。

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私は驚くほどラッキーで

43歳で

突然、ポンと赤ちゃんを自然妊娠で授かり

安産でスポンと産んで

子育て今年で三年目を迎えるから

不妊治療も友人たちから聞いていただけで

里親研修についても

知人の話と文章でチラチラと

ライトに知ってるくらいだった。


それで

本を貰ったのだから

これは読まねばとページを開いて

あっという間の1日。


先生は0歳の赤ちゃんの里親になれて

ラッキーだったと綴られていた。


私の知人は15歳?の子の里親。


養護施設には

親を亡くした子

ある事情で親が育てられなくなった子

虐待を受けた子

事情は様々だそう。


それから

心理カウンセラー研修の際

アメリカの児童養護施設を訪問した日のことを

思い出した。


そこは

アニマルセラピーや

絵画療法を子供たちに行なっているそうで

親から性的な虐待を受けていた女の子は

馬には乗せてはいけないと聞き

胸が締め付けられた。


その小さな女の子が

描く女の子の絵も

真っ赤な口紅をして

胸元が開いたドレスのお姫様で

どこかセクシャルだった。


そして

親と離れ離れの子供たちは

距離感が驚くほど近く

英語でどんどん話しかけてきて

手や肩や髪の毛を触って来たり

ずっとくっ付いて離れない感じがした。


愛が必要なんだ、と当時、肌で感じ取った。


 映画の中に織り込まれた

メッセージ。


養子、里親は、まだまだ敷居は高いし

子供が欲しい人にとっても

なかなか決断するには簡単ではない。


だからせめて

未来を担う子供を大切に。


誰の子でも、皆で暖かく育ててる気持ちで

街を歩き、生活して欲しいと。


この本で、大切なことを思い出した。

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