山に入ると、山が尾根(リッジ)と谷(バレー)で出来ているのがよく分かるだろう。その中に頂(ピーク)があり、峠(コル)がある

三条の湯のように谷間にある山小屋はわりと珍しい。谷間は沢の増水・氾濫の危険もあれば、落石や倒木の危険も付きまとい、あまり好まれる立地ではない。そもそも登山者が目当てとする山頂からは程遠い。
しかしながら谷間ならではの恩恵がある。毎度毎度書き続けているが、水と森の話だ。

広葉樹・針葉樹の入り交じる森は水を育み、ヒトを含む動物を生かしてくれる。よく、植物は生産者で動物は消費者という話があるが、学術的に見てもそれは間違いがない。
僕らは陸上生活の大先輩、植物が作る酸素や実や茎、葉、その食料のおかげで陸上で生きられる。生命の祖先たちは陸上生活のなかで樹木を、そして森を創り上げた。
森には生きるために必要なすべてが揃っているし、樹木や草花、沢のせせらぎを見ていると心は休まり穏やかな気持ちで過ごせる。

そう、森のなかの暮らしに間違いはない。

山菜、野菜、木の実、茸

すべてに季節に合った効果があるという。

冬野菜の葉物(白菜やネギ)、根菜(大根やカブ、ヤーコン)は糖分が多く身体を温め、免疫力を補ってくれる。

春野菜は主にデトックス効果。苦味のあるふきのとう、タラの芽などの山菜をはじめ、菜の花やセロリ、春菊、ホウレン草などの野菜もそうだ。冬は汗もかきにくく老廃物が溜まったりむくみがちだったりするが、これをサラリと解消してくれる。

みずみずしく彩り豊かな夏野菜は言うまでもなく、水分補給や食欲促進、体温調節の効果がある。木の実や茸も動物に見つけてもらうために鮮やかな赤みを帯びて誘惑し合う、まさに色気合戦だ。

食欲旺盛な秋は、夏の疲労回復や冬に向けた体力温存が必要となる。キノコはまさに疲労回復や免疫力を、イモは栄養価が非常に高い。

野生動物はそういうことに敏感だが、街にいるとスーパーでもレストランでも季節問わず何でも食べれてしまうから勘がどうにも鈍ってしまう。その点、農家の人達はそういったことをよく理解している。冬のトマト、キュウリを喜んで食べる人は街にいる人達だけだ

自然のなかで生きているということを山で感じてみてほしい。

より良い満足感や快適さを求めるではなく、野生に戻ってみるというのも大事な時間だと僕はおもう。山の旅は本来そういうものなのだから