魂はどうして1つの体にひとつなのだろう。
もし2つ入るなら、きっと君を入れるのに。
そしたら、愛に形がなくても、君の愛を撫でられるのに。
空気に溶けるときが来ても、ここに置いておけるのに。
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今でも覚えているよ。
蝉の鳴く声、鮮やかに咲いた向日葵、朝顔で出来た涼しそうな木陰、
焼けたアスファルトの香りを横目に、
汗ばんだ腕に急かされた、不安の入り混じった気持ちと、夏独特のあの空気。
そして地面を踏みしめる土踏まずの感触。

今でもよく覚えてる。
夏の香り、痛いくらいの日差し、焦燥、足の裏
それら全てを今、ここで、全く同じに思い出せる。

あたたかな空調の効いた部屋で
ひとり思い出す景色。

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太陽が昇るには
もう少し時間が必要な朝に起きて
冷たい水を飲んで
まだ、誰も居ない道を歩く。
白い息を吐き続けながら
何かに急かされて、何かに期待して、
延々と歩く。 

知らない早起きのおじいさんと、
今日一番最初の「おはよう」を言って、
緑に囲まれているこの場所にはおよそ不似合いなコンビニに寄り道をし、煙草と水とパンを買う。 

右に行こうか、左に行こうか、迷い果て
もと来た道へ引き返す。
近所の公園を住処にしている野良犬のシロと遊んでいると、いつの間にか太陽は昇って、控えめに温もりを与えてくる。 

ベンチに座って煙草を吸うと、近所のおじさんが近付いて来た。
1本勧めて、一緒に休憩。
多分、長い人生の。
色々話していると、こんな朝早くに携帯電話が鳴り響く。
マナーモードにしておけばよかったな。

「一緒に朝ご飯を食べに行こうよ。」

さっき買ったパンをシロにあげて、
おじさんにバイバイして、
短いような、長いような
美しいような、汚れているような
楽しいような、切ないような
そんな一日が始まる覚悟をする。
毎日、自分の幸せの為に
そんな、幸せな毎日が続くように
ただただ祈ることしか出来ないんだ。

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