【喫茶店編】

ライブの出番前、我々は喫茶店に行くことにした。
何せ新宿MRGは狭くて、居るところがないのだ。

リハーサル中は出演者さんが各自の荷物を客席でフルオープンにしているのが普通なのだが、狭い新宿MRGだと足の踏み場もない状態なので、どこかに退避しないと、立ちっぱなしだし、話すこともできなかったのである。

あと、今回はレムダイが来てくれているので、今日は3人でチェキでも撮って物販で売りたいと思い、チェキの撮りやすい場所にも移動したかったので。

ライブハウスの周囲を探検してみたが、このあたりはビジネス街なのか、ドトールや珈琲館と言ったチェーン店は日曜日は定休日だった。
他の出演者さんは、困りながら休憩する場所を探してウロウロしているようだった。

私は、ライブハウスから歩いて30秒ほどの所に、ものすごい昭和レトロな喫茶店を見つけた。

「個人経営の店は空いていることが多いし、面白い所が多いから」と言う理由で、いつもであれば、個人経営の飲食店に率先的に突っ込む私。

しかし、それでもかなり入りづらいレベルの古びた喫茶店だった。

先陣を切って、喫茶店に入ってみた。

老夫婦がやっている喫茶店のようだった。

「いらっしゃいませ」の一言もない。

喫茶店のマスター、そして婦人と思われる人物が、無言でこちらを見てくる。

喫茶店のマスター
「・・・・・・。」




喫茶店の婦人
「・・・・・・。」





思いのほか客席は満員で、「1日中、競馬場か喫茶店に居るんだろうな」と言う感じのオッサンで埋め尽くされている。

店内も、歴史が古いながらも、小綺麗…でもない。

いや、汚い。

喫茶店のドアを開けた瞬間に、ドアに取り付けてある古びた鈴が鳴るが、鳴る回数が異常に多い。

「カランコロン」

くらいで済ませればいいものを、

「カランコロンドロンバラン、ブランボロンヲロンエロンモロンモロン…モモロン…ズモモモモッ。。。」

とか鳴る。

流石にこれではクロちゃんもレムダイも嫌なのではないか…と思い、「どうします?」と振り返ったが、あからさまに2人とも何も考えてない顔をしていたので、意見を求めても何も言わないだろうなぁと思い、そのまま喫茶店に入店してみた。

チェキを撮影したい関係で、3人とも既にライブ衣装に着替え上着も何も羽織らないで来たので、他のお客さんに怖がられたり、迷惑かからないかな…(´・ω・`)

レムダイさん腕にタトゥーいっぱい入っとるし…(´・ω・`)

と思いつつ、3人でテーブル席に腰掛けたのを合図に、

居たお客さんの全員は立ち上がり、帰った。

ほぼ満員の喫茶店が、突如、我々だけになった。


と思いきや、

喫茶店のマスターまで消えた。

お前もかよ!と心の中で突っ込みを入れたところで、メニューを持って、ふらつきながら我々に近づいてくる婦人。

その動きはペンギンの如し。

婆 「…飲む…食べる…」

私 「あ、えっと、お茶だけで」

クロ 「あれあれあれあれあれ、あれあるかな、あれ、アレアレあれあれあーーあーーーあったあったあったあーこれこれこれあったああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛俺コーラフロート」

私 「(こいつテンション高い)私、アイスコーヒー下さい」

レム 「アイスティーで」

婆 「コッ…フィーーー…。コッ…コココッ…アイフ…アイフホーヒー。

アイスッ…ティ〜〜〜〜〜〜。


とっ…ホラーフロート。ほっ…ほ…ホーラ…フロート。」

喋り始めた段階で、だいぶ歯がないなと思い、やや笑いを堪えていたのだが

『ホラーフロート』、『ほ〜らフロート』あたりで思いっきり吹いた。

婆 「みるく…と…ガムひろっぷ…は…」

全員 「いらないです」



婆 「いっ、いらない…!!??」

デデデデッ デデデデッ デーデーン!!

火曜サスペンス劇場さながらに驚く婆。


そして去っていく婆…

腹を抱えながら、声は出さないものの盛大に笑っているレムダイ…

どう見てもコーラフロートの事しか考えてないんだろうなぁと言う顔のクロちゃん…


私 「えー…じゃあ…そういう事で…この辺で、物販用のチェキを撮りたいと思います。」

クロ 「誰が」

私 「えっ」

クロ 「誰が撮るの、俺ら3人を、誰が撮るの」

私 「えっ」




デデデデッ デデデデッ デーデーン!!

レム 「あの、お母さんに…ウッヒッヒ、ドゥフフフwww」

私 「いやいやいやいや、私、嫌だよ!!私もああいうオバチャンはツボだから、普段の日だったら切り込んでいくけど…今日はライブに集中したいし、遊んでるとライブ前に体力消費しちゃうし、嫌だよ!!!あのお母さんにはシャッター係は頼まないよ!!」

クロ 「ライブハウスまで戻って、誰か呼んでくる?」

私 「うーん、ここライブハウスから近いし、多分、誰かしら知ってるお客さんが、目の前を通り過ぎる気がするけど…って言うかお腹痛いです。」

クロ 「お手洗いに行ってください。」

私 「はい。」

なんとなく、癖でトイレに携帯を持っていく私。

思いっきり和式だった。

しかも水流すやつ、ヒモ。

普段なら洗面所に携帯を置いたりするのだが、狭い和式便所で、仕方ないのでトイレットペーパーの設置してあるアルミの部分に、携帯電話を置く。

30秒ほどして、クロちゃんから電話がかかってきて、着信バイブレーションであらぬ方向へ飛んでいく俺の携帯。

クロ 「もしもし、今、大丈夫?」

私 「大丈夫なわけねぇですよね、この野郎」

クロ 「お客さんAが喫茶店の前を通ったから、とりあえず捕まえてあるよ。Aにチェキ撮ってもらう?」

私 「そうですね、ありがたい。Aを呼んどいて下さい」

クロ 「把握」

私、トイレから出る。


お客さんAが唖然と鎮座…

お客さんAにチェキを撮ってもらおうと思ったのに、何故か居ないクロちゃん…

あれだけ全員で要らない!って言ってるのに置いてあるガムシロップ…

私 「クロちゃんは?」

レム 「なんか、友達が近くまで来てるからって言って、友達に会いに行った」

私 「今からチェキ撮るって言ってる上に、ライブ本番まであと1時間もないのに何故消えるんですかこの野郎」


私 「えーと、じゃあ、今からライブの打ち合わせをします。最初に登場SEある」

レム 「はい」

私 「お前 バラ 持つ 投げる はい 終わり」

レム 「えっ」

私 「だーかーらー、登場SEが流れたら、私がウェウェウェwwwってバラ持って出てくるから、お客さんとかにもバラをウェッwwwってやるから、レムダイとクロちゃんにもウェウェwwwって渡すから、SEの最後の方でウェウェウェウェwwwwっつって、ウェーーーwwwつって。投げる

レム 「俺もウェーッ!!って言って投げるんですか?」

私 「あっ、クロちゃん戻って来た!じゃあそういう事で。」

レム 「………。」

クロ 「友達に差し入れもらったよー」

右手に『カッチカチにそそり立つ!漢MAX』的なことが書かれたドリンク剤、

左手にナス(友達の畑で取れたお裾分けらしい)


を持って帰ってきたクロちゃん…

なんでやねん…

私 「あのですね、ほんとに私、今日、新曲もやるし、イヤホンで音楽聴いて曲の復習とかしたいですし。午前中から動きっぱなしで疲れてるし。精神集中したいから、次々突っ込みたくなることを巻き起こすの、やめてくれんか…

そっ、そうだ…私、ご飯食べる。ご飯を食べて、元気を出そう…

すみませーん!ピラフ下さい。」



やたらと至近距離まで近づいてきた婆
「…!!ピ、ピラフ…!!!???」


デデデデッ デデデデッ デーデーン!!

ババア 顔近っ!!!!!!!!!!!!

ものすごく笑いを堪えている私とレムダイに
さらに近寄り、覗き込んでくる婆



「ピッ、ピラフ…!!!」


デデデデッ デデデデッ デーデーン!!

なぜ2回も言うんだ…

もしかして、最初に私がお茶だけで…って言ったのに、今更食べ物を頼んでることを怒っているのか…と感じさせる、すごい剣幕の婆。

なんだか、ピラフ注文して申し訳なかったな…と思って待っていると、

突如、えらいテンション高く、ピラフを運んでくる婆



「ピラフ〜♪ピラフ〜♪」


歌った…!!!!

ババアが歌った…!!!!


怒ってなかったのかよ…

笑いを堪え、震えながら私はピラフを食べ始める。

すると、レムダイの後ろの壁に



マスク着用をして

と書かれた紙が貼られているのを発見。

マスクを着用して、それからどうするんだ…

なんとなく、レムダイに「見てみ」と促したところ、彼、ツボる。

レム 「ねえねえお母さん、ここにマスク着用のことって書いてあるけど、何があったん?」

コイツ、切り込むわー…

私より切り込むやつ初めて見たわー…


婆 「あー…うー…なんか…あったでしょお〜〜〜。あったのよお〜〜〜。マスクを…しなければならないことが…昔…あった…」

私はライブの日だけは喉のケアのため、マスクをポケットに入れていたので、取り出してマスクをかける…

私「こういう感じでいいですか(`・□・´)シャキーン」

婆 「あっ…あなた…何故っ、マスクを…!?!?!?ガタガタブルブルブルブルブルブル」

婆 「ねえねえ、なんで…なんで…マスクを…こんな夏の日に…風邪でもないのに…マスクを…っ」

私 「(うわっ、話が長くなった、しまった…私はイヤホンをつけて、曲の復習をしたいんだ…私は会話からリタイヤしたいんだ…)」

なんとか話題を逸らそうと店内を見回したところ、またレムダイの横に

去る、去年の8月11日、当店の●●が骨折してしまい、
皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
健康になったら、また頑張りますので、
よろしくお願い致します。


と書かれた紙が貼られてあった。

ので、レムダイに「これ、これ」と見るように促す。

レムダイ 「お母さん、大変でしたねぇ…どなたか、骨折なさったんですか…」

婆 「●×▼□〇ΩΨ…」

って言うか、もう1年経つんだから、骨折治ってるんちゃうの…

レムダイ 「お母さん、ここに工事現場のヘルメットがたくさん置いてありますね…これは何に使うのですか…」

婆 「…震災…来たら…それ被って…逃げる…」

ヘルメット、●●道路工事社団法人みたいなこと書いてあるし、それ被って逃げたら、他の被災者に頼られると思うが…

たぶん、もっと店内を見渡せば、色々突っ込みたいことを見つけられると思うのだが、今日はそんな場合ではないのだ…

敢えて、面白ポイントを探さないようにする私…

婆 「あんたたち…ロックかい…」

婆 「あんたたちは…ロック…ミュージシャンかい…」

婆 「うちの店にも…よく来るよ…ロックの…社長がね。有名な人だよ。ロックの…社長。知ってる?ロックの…なんて言ったかな…ロック…ロックの…」

私・レム・クロ 「ロックの?」

婆 「…社長。」


私・レム・クロ 「ちょっと、解らないですね…誰ですか?ロックの?」

婆 「社長。」

私・レム・クロ 「ロックの!」

 「社長!」


wwwwwwwwwwwwwww

私 「えー、本番30分前です。キリがないので、ここでライブハウスに戻りたいと思います。」

レム・クロ 「はい」

婆 「・・・・・」

私 「最後にチェキを撮影します。客A、すみませんがチェキのボタンを押してください。」

客A 「うん、わかった」

婆 「ボソボソ…あんたたち…次はいつ来るんだい…次もまたライブやるかい…」

私 「客Aよ、すまないが、本当にすっごい時間ないので、急いで5枚くらいパパッとシャッター押して下さい」

客A 「わかった。撮りまーす」

パシャッ

婆 「ロックの…社長」

客A 「次、撮りまーす」

パシャッ

婆 「ロックの社長…よくこの店来るから…ロックのこと…わかるよ…」

客A 「次、撮りまーす」

パシャッ

婆 「えーと…あんたは…きっと…ボーカルだね…あんたは…ギター」

レム 「ベースです」

婆 「あんたはギター」

レム 「ベースです」

客A 「次、撮りまーす」

パシャッ

婆 「記念写真…イイ…好きなだけ撮っていって…」

客A 「最後です、はい、撮りまーす」

ポッポー!ポッポー!ポッポー!(▼8▼)
(BGMもない店内で、突然
ジャストタイミングで飛び出した鳩時計の鳩)


鳩…ッ!!!!

パシャッ



その、鳩が飛び出した瞬間にシャッターが押された写真がこれ↑

レム 「お母さん!!いま絶対あれリモコン操作で鳩出したでしょ!!ダメだって!!」

婆 「リモッ…ハトッ…?」

レム 「お母さんも写メとろうよ」

婆 「しゃっ…めっ!?!?」

私 「彼は、写真のことを言っています」

婆 「写真…!!」

レム 「ねぇお母さんも一緒に写真撮ろうよ一緒に撮ろうねぇ撮ろう」

婆 「イヤァー!私イヤァー!恥ずかし〜い」

レム 「やだやだやだ撮りたい一緒に撮ろうよねぇ〜〜〜〜〜撮ろうよぉ〜〜(ジッタバッタ)」

 「イヤァー!イヤァー!イヤァー!」

私 「もう帰ろう…」

クロ 「俺、払っとく」

レム 「ねぇ〜…お母さんねぇ〜…」

婆 「今度来たとき…写真撮れるようにしとくから…今度…」



諦めの悪いレムダイ、

会計を払うクロちゃんの

後ろに隠れながら

無音カメラで

婆を盗撮しまくる…!!


「また来てね…待ってるよ…」と言う婆。
お店を出た瞬間に、喫茶店の明かりが消えた。

そう、閉店時間はとっくに過ぎていたようだ。
申し訳なかったのだった。

〜〜〜喫茶店編・完〜〜〜

【ジャズピアノ喫茶編】

そんなこんなで、本番30分前に、老夫婦の経営する喫茶店を出た。

ライブまで、もう時間がない。

私は慌ててコンビニに行き、レッドブルを購入。

一気飲みしながら即効ライブハウスに戻ったが、やはり居場所がないので、仕方なくライブハウスの並びにあった

ジャズピアノ喫茶 ソクラテス

的な、店の名前は忘れたけど「偏差値70以下の人、お断り」臭がプンプンするハイソな店の前で、さきほど撮影したチェキに色を塗ったり、サインを入れたりと、準備を始める私。

ほんとは他の店の前にたむろしちゃイカンのだけど、誰も居なかったから許して。

ピアノ喫茶の軒先で必死でチェキを加工しておったら、中から先程とは別のタイプの老夫婦&育ちのいい子犬が出現。

店の前でたむろしていたら、怒られる…!!

と身構えた矢先、襲い掛かってくる育ちのいい子犬。

私 「ぐわああああああ」


育ちのいい子犬「ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ」

老夫婦 「あらあら」

私 「ぐわああああああ」

育ちのいい子犬、クロちゃんがその辺に放り出した荷物の中から、整髪料の「ケープ」を発見し、さらにヒートアップ!!

育ちのいい子犬 「蓋の無いケープの吹き出し口、ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ」

私 「だめええええええええ」

クロ 「なんだ、どうした」

私 「育ちのいい子犬が、クロちゃんのケープを!」

クロ 「構わないよ(`・ω・´)キリッ」

私 「お前の心配じゃねぇよ!!子犬の健康上の問題だよ!!」

老夫婦 「ミュージシャン」

私 「ミュージシャンです、失礼してます、勝手に店の軒先を使っててすみません。」

老夫婦 「構わないよ(`・ω・´)キリッ」

私 「(物販の準備をしながら)あつい〜…あついよ〜…」

老夫婦 「中に入って休んでいきなさい。涼しいよ。お金は要らないよ(`・ω・´)キリッ」

私 「ああああああ出番もうすぐなんで無理です、ありがとう」

老夫婦 「そうか。じゃあ、はい、これ」

突如、マイナスドライバーをクロちゃんに手渡す老夫婦・夫。

クロ 「?」

夫 「店の軒先の、排水溝開けたい」

妻 「アンタ〜、こんなの開かないよ〜、業者呼ばないとダメだよ〜、こんな重たい蓋、開かないよ〜」

クロ 「ふんがぎぎぎぎぎぎぎ」

夫 「やっぱりアカンか…業者呼んだらお金かかるから、なんとか自力で排水溝の蓋、開けたい」

クロ 「ふぎぎぎぎぎぎぃ」

妻 「ほら〜、よそ様まで巻き込んで…もう排水溝の蓋を開けることは、諦めなよ」

クロ 「ふんがぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃ」

新宿MRG 「次、Rose&Rosaryさん、出番です」

ALL 「あっ、はい。」

そんな流れ。

ライブのMCで、

「やれてる…よし、思いのほか、やれてるぞ…良かった…」

と私が連呼してたのは、このような流れで、ずーーーーーーっと新宿の愉快な住人たちとのご近所づきあいをしており、本番になったときには全員のライフがゼロだったからです。

そのほか、私は本番5分前に新宿MRGが入っているライオンズマンションの外に居たところ、マンションの2階から、ホースで花に水をやる最中のババアに

ジョーロでダバダバ頭に水をかけられたりした。


割と、水圧が痛いです。

あと、なんか、他にも色々な事件があったと思うが、忘れた。

おわり

コメント一覧

コメント一覧

    • 1.ひろ
    • 2013/08/31 02:29
    • ライヴ開始前に疲れる。客Aさんの、捕まってからチェキ撮影までの空気感が笑えて気の毒。4頭身ババァの絵面たけで笑える。岸部はきっと、もっと面白ポテンシャル高そう。弄ってたら時間足らんやろうけど。カッチカチの排水溝のフタは金ヅチとかで叩きまくったら持ち上げやすい。新宿怖い。そんな感想。