日本の伝統食品、納豆

前回は、食生活習慣によって血栓症が予防できることをお話しました。そこで今回は、日本の伝統食品の一つである納豆に注目します。

納豆は古くから、多くの人に食されていましたが、特に江戸時代になってから一般的になったといわれています。

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現代でも多くの人が納豆を食べています。

2003年に行われたインターネットによるアンケート調査では、10歳代から60歳代の人の14.6%が毎日納豆を食べており、2~3日に1回以上食べる人は約半数であったといいます。

そして、食べる頻度が増えた人は、その理由として、栄養が豊富であること、健康維持に効果的であることを挙げています。

確かに納豆の歴史をひも解くと、単なる食材としてではなく、まさしく健康食品として広く食べられていたことがうかがえます。

身体にいいことを表わす諺がたくさん残されているのも、その証拠です。

「カゼの引きはじめに納豆汁」、「酒は百薬の長、納豆は百肴の王」、「納豆すきの医者知らず」などです。

納豆は栄養の宝庫

納豆にはさまざまな栄養素が含まれています。

納豆100gあたりの含有量を調べると、たんぱく質が16.5g、食物繊維が6.7g、ビタミンB群が1.97mgです。

コレステロールを含まず、ビタミンB群を多く含むことが特徴です。

したがって、単なる食品としてだけではなく、病気の予防や治療にも有効ではないかと考えられ、多くの科学者がその研究に従事してきました。

約40年前には、納豆に癌抑制効果があるという動物実験結果が発表されました。

また最近では、納豆には活性酸素の抑制効果があることも、発表されています。

活性酸素は、老化を早めるばかりか、ガンや糖尿病など多くの疾病を誘発する「毒素」で、私たちが毎日必要としている酸素から生まれるものです。

血栓症を予防する作用も

1980年頃になって、納豆は血栓症に対しても有効であることが唱えられ、さらに注目を浴びるようになりました。

ある科学者は、人工的に作った血栓にいろいろな食品をのせて、血栓を溶かす物質を探していました。

ある日、人工血栓の上に納豆を置いたところ、まもなく血栓が溶けていったのです。

そして、これがナットウキナーゼの発見につながりました。その後、納豆と血栓症に関する多くの研究が重ねられました。

納豆は、大豆に納豆菌を加えて、さらに発酵することで作られます。

その過程で、納豆菌は数種類の酵素(たんぱく質)を分泌するのです。

そのうちの一つが、サブチリジンというたんぱく質で、これが、いわゆるナットウキナーゼとよばれるものです。

このナットウキナーゼには、血栓を溶かす作用があることが証明されました。しかし、バチロペプチダーゼFというもう一つのたんぱく質がありますが、これにも驚くべき作用があるのです。

私たちは、このバチロペプチダーゼFに注目して、基礎的研究、動物実験、臨床試験を行ってきました。

その結果、バチロペプチダーゼFは、ナットウキナーゼが持つ血栓溶解作用だけではなく、血液を固まりにくくする、いわば血栓形成予防効果を持つことがわかりました。

さらにヒトの血液粘度を下げて、血液を流れやすくすることも証明されました。私たちは、「納豆が血栓症の予防に有効である」ことを科学的に立証しました。


(引用終わり)