ハーバード大学のエコノミストが調査

人生において確かなものは死と税金だけだと言われるが、子どもがいる人々は、場所や時間、状況に限られないもうひとつの真実があることを知っている。どんな人でも、どこに暮らしていても、「幸せで成功する子ども」を育てるのは難しいということだ。

それでも、免れることのできないこの難題を優雅にこなしているように見える親たちも存在する。
彼らはどうやってそれを成し遂げているのだろうか。

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素晴らしい親業を、彼らほど自然にできない人々、あるいは彼らよりも遥かに多くの不安や自己不信を抱えながらやっている人々は、その秘訣を学ぶことができるのだろうか。

ハーバード大学のエコノミストであるロナルド・ファーガソンと、受賞歴のあるジャーナリストのターシャ・ロバートソンが新著『The Formula: Unlocking the Secrets to Raising Highly Successful Children(大成功を収める子どもを育てる方程式)』を書こうと思ったのも、それを知りたかったからだ。

彼らはその謎を解明するため、成功を収めた成人200人とその親にインタビューを実施し、彼らの育てられ方に共通点を見出そうとした。

その結果、驚くことに、あるパターンが浮かび上がった。これらの有能でフルに自己実現した人々の親はいずれも、子どものために8つの役割を果たしていたのだ。
成功する子どもを育てるための方程式は存在する。混乱に悩むたくさんの親たちの祈りが通じたようだ。

そして、この方程式は学ぶことができるものだ。「親に対して、戦略的であれと教えることができるだろうか。その答えは断固イエスだ」とロバートソンは言う。

では、その肝心な役割とは何だろうか。筆者が、ポッドキャストと活字化された著者とのインタビューをくまなく調べ、おおよその理解をした8つの役割は以下のとおりだ。

1. 幼児期の学びのパートナー

将来成功する子どもを育てる親は最初から、学ぶことは楽しいことであり、人生に不可欠なことだとわが子に示している。

著者たちが調べたほぼすべての家庭において「親は子どもが学校に入る前、基本的には生まれた時から子どもと触れ合い、ゲーム遊んだり、子どもが楽しいと感じることをしたりすることに時間を費やしてきた。そうしたアクティビティは、楽しいと同時に、学ぶことや問題を解決することを好きになる気持ちを育むようなことだ」とファーガソンは書いている。

特別なことは必要ない。たとえば、ただ積み木をしたり、一緒に話をしたりすることでも、子どもにとってこの役割を果たすことになる。

2. フライトエンジニア

最近では、わが子の前に立ちはだかる障害を全て排除しようとする「ヘリコプターペアレント」や「スノープラウ(除雪車)ペアレント」がいて、当然ながらそうした親を非難する声も多い。

ファーガソンとロバートソンによれば、すぐれた親は少し離れたところから子どもを見守りながら、成功するのに必要なチャンスを確実に手にすることができるようにしている(ただし、子どもが自分でその過程を歩む、あるいはつまずきながら進むように仕向ける)。彼らはこうした親を「フライトエンジニア」と呼ぶ。

ファーガソンは「フライトエンジニアは、ほとんどの場合は距離を置いたところから、子どものまわりで何が起こっているのか、とくに学校で何が起こっているのかについて、つねにアンテナを張り巡らせている」と言う。

「何かが横道に逸れ始めたら、すぐに手を貸す。世界がわが子のためにうまく作用するように、手助けをするのだ」

3. フィクサー

ファーガソンは、娘にフルートを買うために結婚指輪を売った母親の例を挙げながら、すぐれた親は「とくに我が子が興味のある分野において、チャンスの扉がつねに開かれているようにするための犠牲をいとわない。たとえ足りない部分を埋めるのを手伝ってもらうために、協力者を見つけなければならないとしても」と説明している。

4. 世界を明らかにする人

ファーガソンによれば、これは「子どもを人生の豊かさに触れさせ、世界は自宅周辺の地域よりもずっと大きいということを知らせる役割」だという。

5. 哲学者

ファーガソンは別のインタビューでこう説明している。

「子どもが生まれてから5歳になるまでに、私が『哲学者』と呼ぶ役割が始まることがある。子どもがさまざまな質問をして、親が思慮深い答えを与える時期だ。時には『人はどうして死ぬの』という質問もある。大切なのは、子どもの思考をサポートするような方法で対応することだ」

6. お手本

ファーガソンは次のように述べる。

「子どもが真似する価値があると認識するような行動ができる親のことだ。親がどんなふうに振る舞っているか、ほかの人とどうやって付き合っているか、自分の目標を追求するうえでいかに粘り強いか、いかに絶え間ない努力を続けるかといった面で、そうした行動ができれば、子どもは『ああいうふうになりたい』と考える」

祖父母など、家族の別のメンバーが手本になり得ることもある。

7. 交渉人

親は「交渉人」という役割において、子どもとじっくり議論を重ねて取引をまとめ、子どもにその合意を守らせる。こうしたことは、子どもが自分自身のために交渉を行い、自分をコントロールすることを学ぶプロセスになる。

「一度選択が行われたら、しばらくはそれを堅持することが、交渉の余地のない条件となる。子どもが合意し直そうとすることは許されない」とロバートソンとファーガソンは書いている。

8. GPSナビゲーションの声

これは多分、親として最も長く続く役割だろう。「子どもが社会に出て、親がもうそばにいなくなった後も、子どもの心の中には親がいる。そして、先に挙げた親の役割から学んだすべての教訓が、子どもの中には響き渡っているのだ」とファーガソンは説明する。