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ネズミに実験用の大腸がん細胞(CT26細胞)を注射して、背中にがんの塊を作らせた。
がんの直径が5mmになったところで、実験用の大腸菌(TOP10)を静脈注射した。
 
すると、ネズミの背中のがんは消滅した。
 
がんが消滅したネズミにもう一度同じがん細胞を注射したところ、がんができてこなかった。

これにより、がんの消滅には、体の免疫反応が関係していると予想された。
ワクチンと同じ原理で、体内の免疫の仕組みによって、ひとたび「異物」と判断され、記憶されたがん細胞は、2回目に体内にやってきたところ、速やかに排除されたというのだ。

案の定、免疫細胞を薬で殺したネズミにがん細胞を注射し、がんができたところで大腸菌を注射したところ、がんは消滅しなかった。
(「大腸菌を注射したらがんが消滅!?」リンクより引用)

 大腸菌が体内に入ることで免疫が活性化したとうことは、逆に言えば、大腸菌が欠如すると免疫が不活性化し大腸がんの発症リスクが高まるとも言えます。

つまり、大腸がん患者が増加の一途をたどっている現在、必要なはずの大腸菌を年々失い続けている…? これは、何が起きているのでしょうか?

 腸内細菌は大別して、健康に利する"善玉菌"、有害な"悪玉菌"、"日和見菌"の3種に分類できます。善玉菌の代表が乳酸菌(ビフィズス菌+(ラクトバチルス=乳酸桿菌))で、悪玉菌の代表格がウェルシュ菌、ディフィシル菌、大腸菌、ブドウ球菌などです。

健康にとっては、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが大切で、腸内細菌バランスが悪玉菌に偏ると生活習慣病の原因となるのに対し、逆に、善玉菌優勢が長生きの秘訣であることが分かっています。しかし、悪玉菌は決して不要な菌ではありません。なぜなら善玉菌は悪玉菌と戦うことで、その効果を発揮してくれるからです。

例えば、免疫学者の藤田紘一郎氏によれば、アトピー症状があって治らない赤ちゃんの便は、40%以上の割合で、悪玉菌である大腸菌が一匹もいなかったそうです。つまり、大腸菌がいないと免疫力は落ちるのです。

 歴史的にみれば、人類は、(現代の基準でいえば)"不衛生な環境"に、長い間暮らしてきたました。いわば"不衛生な環境"に適応した生物です。それを可能にしたのが、自然免疫や獲得免疫など、高度に発達した免疫機能です。

ところが、近年の行き過ぎた「清潔志向」が、様々な健康被害を引き起こしているといわれます。そうであれば、人類は現在の"衛生的な環境"に適応できていないとも言えそうです。

つまり、"不衛生な環境"に適応していた免疫機能が、"衛生的な環境"という不適応状況に置かれることで機能不全を起こし、その結果、大腸がんを始めとする様々な健康被害を引き起こしているのかも知れません?

これまでのように、やみくもに快適性のみを追い求めるのではなく、人間にとって必要な環境とは何か?を真剣に考える段階に来ているようです。

補足)「"不衛生な環境"に、長い間暮らしてきた」
例えば、暗い洞窟な中で人々が見を寄せ合って暮らすしかなかった極限時代など