月別アーカイブ / 2019年08月

ある画家の僕物語23



画家とギャラリーの画料の配分のルール、あなたはどのくらいを想像するだろう?

恐らく、今あなたが考えた取り分よりも作家の取り分は驚くほどに少ない。

最初にギャラリーと取引を始めた時に一番驚いたのはそこだ。



現行のギャラリーと作家の分配比率は制作者に対しての正当な対価と言えるのか?今でも僕の中で燻っている疑問だが、当時の僕はそこに付け込まれた。



プロになり1年ほど経った頃京都の新興ギャラリーに声をかけられた。

オーナーは「若手作家の助けをしたい」と言い、驚く程好条件を提示してくれた。

早く画業一本で生活したいと焦っていた僕はその話に飛び付いた。



最初はうまくいっていた。

相変わらず作品はよく売れ、その都度約束されていた画料が支払われた。



2008年3月、卒業を直前に控え、同年10月を予定したに大きな個展の話も舞い込んで来た。

全ては順調に回り始めたように思えた。



しかし9月、全ての事態は一変した。

「リーマンショック」

世界経済が完全に麻痺し、その波はアート業界も飲み込んだ。



多くのギャラリーが倒産に追い込まれた。

そして京都のギャラリーもその一つとなった。



10月の個展を前に、ギャラリーの資金繰りが行き詰まっている事は僕の目にも明らかだった。

だが既に作品の大部分は引き渡し済みだったし、初の個展を成功させたい気持ちもあった。



どこかでブレーキを踏む事は出来たのか、今でも時々思い返すが、結局当時の僕にはその選択は出来なかっただろう。

個展は大成功だった。

リーマンショック直後にも関わらず作品は完売し、美術業界では大きなセンセーションとなった。

だが個展会場にオーナーの姿はなく約束されていた画料は一銭も払われる事無くオーナーとの音信は途絶えた。

初個展で全ての売り上げを持ち逃げされた事実を受け入れ立ち直るには23歳の僕にはそれなりの時間が必要だった。



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ある画家の僕物語22



大学3年での作家デビューは美術業界では少しだけ話題になった。

何度か美術雑誌に特集され、いくつかのギャラリーからの展示の誘いがあった。

幸いにして新人としての真新しさも手伝って僕の作品は割合よく売れた。

それによって大学生としてはなかなかな画料を受け取る事が出来た。

だが、それだけで生活をするというにはまだ遠く及ばず、展示を重ねて絵画業界の現実を知れば知るほどに画家として生きる事への不安と焦りを感じる事になった。



本人のそんな感情とは裏腹に大学内で僕がプロとして活動しているという噂がいつの間にか学部内で浸透し始め、教授陣の耳にも入る事となった。

応援してくれる教授ももちろんいたが、日本の美術教育の現場においては未だに自身の芸術性を金銭に換える事への拒否反応を持つ人間も多く、何人かの教授には露骨にネガティブな態度をとられたりもした。



美大に進学した事への後悔は無いし、大学で学んだ事も実際とても多い。

ただ、美大と美術市場の乖離はやはり問題だと今でも感じているし、それがインターンを募集し始めたきっかけでもある。



そしてもう一つのきっかけとなる事件に僕は巻き込まれる事になる。




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ある画家の僕物語21

プロの画家になったのはいつか?という質問を時々される。
美術業界においては「プロ資格」は存在しない。
故にどこがキャリアのスタートなのかという認識には個人差があるが、僕のプロの画家としてのキャリアのスタートはまさしくギャラリーnでの展示初日だった。

昼過ぎに来れば良いというAさんの言葉に従い12時頃に画廊に向かった。
展示初日は平日だ。
ギャラリーがオープンする10時から在廊したところで、誰に会えるわけでもないだろう。

見慣れたくたびれたボルドー色のエレベーターのドアを横目に階段を登ってギャラリーに辿り着く。度々通った事でエレベーターを使うより階段の方が常に早いという事は既に知っていた。

ギャラリーのガラス扉の前に立つとやはり少し緊張した。
扉を押してそっとギャラリーに入る。
初めて訪ねた時のように、薄暗い室内にスポットライトが当てられた作品が一定の間隔で並んでいる。
以前と違うのは、そこに僕の作品も並んでいる事だった。

人の姿はやはり見当たらない。
自分の作品に歩み寄るとキャプションに赤いシールが貼ってあった。
それも2点とも。

来客を知らせるベルを聞いて事務所からAさんが顔を出した。
オープンと同時にコレクターが来て買っていったと教えてくれた。

キャリアを積み重ねる事で知ったが、熱心なコレクターは平日だろうが盆暮れ正月だろうが、自身が気になる展示には初日のオープンと同時、あるいは前日にギャラリーを訪れる猛者が普通にいる。

僕の作品はそんなコレクターの目にとまったのだ。

プロとしての自覚が芽生えた瞬間だった。

展示が終わりギャラリーから画料が支払われ、そして僕は自分の名刺の肩書きに「画家」の2文字を加えた。

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