ある画家の僕物語21

プロの画家になったのはいつか?という質問を時々される。
美術業界においては「プロ資格」は存在しない。
故にどこがキャリアのスタートなのかという認識には個人差があるが、僕のプロの画家としてのキャリアのスタートはまさしくギャラリーnでの展示初日だった。

昼過ぎに来れば良いというAさんの言葉に従い12時頃に画廊に向かった。
展示初日は平日だ。
ギャラリーがオープンする10時から在廊したところで、誰に会えるわけでもないだろう。

見慣れたくたびれたボルドー色のエレベーターのドアを横目に階段を登ってギャラリーに辿り着く。度々通った事でエレベーターを使うより階段の方が常に早いという事は既に知っていた。

ギャラリーのガラス扉の前に立つとやはり少し緊張した。
扉を押してそっとギャラリーに入る。
初めて訪ねた時のように、薄暗い室内にスポットライトが当てられた作品が一定の間隔で並んでいる。
以前と違うのは、そこに僕の作品も並んでいる事だった。

人の姿はやはり見当たらない。
自分の作品に歩み寄るとキャプションに赤いシールが貼ってあった。
それも2点とも。

来客を知らせるベルを聞いて事務所からAさんが顔を出した。
オープンと同時にコレクターが来て買っていったと教えてくれた。

キャリアを積み重ねる事で知ったが、熱心なコレクターは平日だろうが盆暮れ正月だろうが、自身が気になる展示には初日のオープンと同時、あるいは前日にギャラリーを訪れる猛者が普通にいる。

僕の作品はそんなコレクターの目にとまったのだ。

プロとしての自覚が芽生えた瞬間だった。

展示が終わりギャラリーから画料が支払われ、そして僕は自分の名刺の肩書きに「画家」の2文字を加えた。

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「慈悲」について



少し間が空いてしまいましたが作品についての解説を。



最初に作品を描かせて頂く事が決まった際、まず僕自身決めていたのは「額縁にガラスは入れない」ということでした。

先生は誰に対しても飾らず、分け隔てなく接せられる方です。

にも関わらず、僕の作品が見る方と先生の間に壁を作っていいはずがない。

そう考えたのです。



そして、先生は



今より遥かに女性の社会進出が難しかった時代、自らの足で歩み、自身の人生を切り開いた方です。



さらに、震災などの自然災害が起こる度に身一つで現地に駆けつけた姿を僕は多くの資料で目にしました。



先生の作品は出来ることであれば、壁を必要とせず自立するようなものに出来ないだろうか。

こうも同時に考えていました。



その時に、観音開きの額縁というアイディアを思いついたのです。



三面からなる作品はそれぞれが支え合って自立します。

そして、閉じればお互いを保護してくれるのです。



先生の背景には紫陽花を選びまたした。



天台寺は先生が住職として晋山された際に紫陽花の名所にしょうと植樹を始めた事がきっかけで、今は立派な紫陽花が季節になると参道に咲き誇ります。

既に先生は住職を退かれ、名誉住職でいらっしゃいますが、30年以上経った今でも小中学生が課外活動で植樹をする事があるそうで、1人の想いから始まりそれが多くの人々に伝染していくこのストリーは実に先生らしいものだと僕は感じましたし、加えて実に興味深かったのは紫陽花の花言葉

「移り気」「無情」「浮気」そして「忍耐強い愛情」

まさしく先生の作品に共通するテーマのように感じました。

それを先生に伝えたら「私の人生みたいね」と屈託なく笑われていたのもとても印象的でした。



中心に佇む先生は向かい合う方々がそれぞれの想いをもって接する事が出来るよう、最も先生らしい表情「笑顔」の先生を描かせて頂きました。

描きながら気づいた事は先生のお顔にある皺の多くが「笑い皺」という事で、どんなに辛い時でもまずは笑いなさいという先生の言葉を先生自身が実践してきた証を先生のお姿に見つける事が出来ました。



最後に、表板の花畑の絵ですが、僕から見れば先生は「花道」を歩まれた方。

でも少し注意して見ると先生は道なき道を歩き、結果的にそこに道が出来き、名も無き花が沢山そこに咲いた花道だと、そう気付かされたのです。



長く長く、僕の想像力が遥かに及ばない程に濃密な先生の人生に今回作品を描く事で少しだけ触れさせて頂けた事は、僕のこれからの人生に本当に大きな意味がある事だと感じています。 「なぜ拙作のモデルを引き受けてくださったのですか?」との僕の問いに



さらりと 「次の時代は貴方達が作るからよ」



と答えてくださった先生のような度量の大きさを僕も少しずつでも獲得していかなければいけませんね。



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作品タイトルは瀬戸内寂聴先生ご本人につけて頂きました。

「慈悲」

美しい言葉です。

作品のモチーフなど、それぞれ意味がありますが、それはまた後日。

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