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 名実共にナンバーワン・モンスターであり、知らぬ者などいないビッグスターが『吸血鬼ドラキュラ』の〈ドラキュラ伯爵〉でしょう。古今に於いて〈吸血鬼キャラクター〉の代名詞的存在です。
 原作は〝ブラム・ストーカー〟による怪奇小説『吸血鬼ドラキュラ』になります。
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キャラクターモデルはルーマニアのワラキア君主〈ブラド・ツェッペシュ〉であり、敵兵を尻から頭まで串刺しにして野一面へと晒した残虐性から〈串刺し公〉の異名で恐れられました。
 しかし、この人物は確かに冷酷残虐な性格ながらも、単なる猟奇的異常者ではありません。
 実は機知才覚に長けた人物でもあり、件の串刺し刑にしても圧倒的な兵力で進軍してくる敵〈オスマン・トルコ軍〉に対する恐怖効果を狙った起死回生の奇策でもあります。
 ですから現在でも他国からの忌避的印象に反して、母国ルーマニアでは『英雄にして名君』と誇られているようで、そういった点では我が国の〝織田信長〟と重なる印象を筆者的には拭えません。
 そして、彼のもうひとつの異名が〈ドラクル公/ドラキュラ公〉であり〝竜の子/悪魔の子〟という意味になります(そういえば信長公も自らを〝天竺第六天魔王の化身〟と名乗っていたなぁ……)。
 これがストーカーの着想になるのですが、実際には〈ブラド公〉から拝借したのは異名と残虐な忌避イメージだけと言えます。事実、小説に於いては人物像や史実に言及した描写は無く、もはや〝異名を借りたオリジナルキャラクター〟に過ぎません。
 この〈ドラキュラ伯爵/ブラド公〉のエピソードについて現在では知る人も多いところでしょうが、実はもう一人モデルとされている人物がいます。
 ストーカーは劇団の脚本家も勤めていたのですが、此処の支配人は商業的冷淡さを持った高圧的人物で、ストーカーの草案に対して「こんな物はヒットせん! 二束三文だ!」と酷評して、時には草稿を眼前で破り捨てる暴挙もあったそうです。
 一説では、この遺恨が〈ドラキュラ伯爵〉の性格に落としてあるとも言われています。

 また〈ドラキュラ伯爵〉の因縁たる宿敵と言えば、老練賢者〈ヴァンヘルシング教授〉ですが、こちらにもモデルがいます(ちなみに、これも誤認されていますが〈ヴァン・ヘルシング〉ではなく〈ヴァンヘルシング〉が正解です)。
 プロット構想時にアドバイザーを担ったブダペスト大学東洋語教授〝アミュウス・ヴァンペリ〟が、その人となります。
 実はストーカーに〈ブラド公〉の事を教えたのは彼であり、以降は要点を教示される間柄となります。
 そして、その聡明さと温厚な人柄に惚れたストーカーが〈ヴァンヘルシング教授〉としてイメージを落としたのです。
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▲ブラド三世。
よく〈ブラド・ツェペシュ〉と紹介されるが、正式には〝ツェペシュ〟も異名なので、名前は単に〝ブラド〟という事になる。


 さて『吸血鬼ドラキュラ』は『吸血鬼作品』の代表格ですが、誤解してはいけないのは〝元祖〟ではないという点です。
 この作品以前にも『吸血鬼(著:ポリドリ)』『吸血鬼カーミラ(著:レ・ファニュ)』等の吸血鬼小説が、既に存在していました。
 殊に『吸血鬼カーミラ』は直系的影響作品であり、この作品に強くインスパイアされたストーカーが〈男性吸血鬼〉へと転化して生み出したのが『吸血鬼ドラキュラ』なのです。
 よく『女版ドラキュラ』と認識される〈カーミラ〉ですが、吸血鬼史的には彼女の方が先です(亜流は〈ドラキュラ伯爵〉の方なのです)。

 そして、実は〈ドラキュラ伯爵〉にしても〈カーミラ〉にしても〝陽光〟では死にません(ガーンw)。
 ドラキュラ伯爵は夕方には街辻を徘徊していましたし、カーミラ嬢に至っては昼過ぎから散歩の御時間です。ただ〝日中は誘眠の呪縛が強い〟のと〝コンディション的に本調子ではない〟だけです。
 吸血鬼退治の王道鉄板『陽光で焼死する』という決定打は、ドイツの非公認ドラキュラ映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』のラストシーンに起因します。おそらく画的にも映えますし『悪魔の化身が神聖な光には耐えられない』という分かり易い演出でもあったのでしょう。
 この無声映画こそ『ドラキュラ映画』第一号なのですが、ブラム・ストーカー遺族に版権許可を求めたものの許可が下りず、吸血鬼を〈オルロック伯爵〉と改名し、主舞台をロンドンからドイツへと設定変更して半ば強行的に上映へと踏み切りました。しかし、物語骨子は明らかに『吸血鬼ドラキュラ』でしたからストーカー遺族から無許可製作を訴えられて敗訴となり、全フィルムが焼却処分とされて、長らく『伝説の作品』と化していたのです。しかしながら、一部劇場に現存したフィルムが発見され、今日ではビデオやDVD にて鑑賞する事が出来ます(筆者も持っています)。陰影を巧みに扱った上品な演出手法は「さすがドイツホラー!」と感嘆してしまう事頻りですので、機会があれば鑑賞する事を御勧めします。歴史的価値も大きいですし……。
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▲『吸血鬼ノスフェラトゥ』より〝マックス・シュレック〟演じる〈オルロック伯爵〉。
その不気味な風采は、悪の紳士然としたドラキュラ伯爵像と双璧たる吸血鬼像として今日まで踏襲され続けている。


 多くの人が抱く〈ドラキュラ伯爵〉のイメージは、戦前のユニバーサル映画『魔人ドラキュラ(1931年)』にて〝ベラ・ルゴシ〟が演じた像か、或いは戦後のハマー版『吸血鬼ドラキュラ(1958年)』にて〝クリストファー・リー〟が演じた像になります。その他にも〝ジョン・キャラダイン(『フランケンシュタインの館』)〟〝ロン・チェイニー・Jr(『夜の悪魔』)〟〝ゲイリー・オールドマン(『ドラキュラ』)〟など幾人もの俳優が演じましたが、やはり両雄が演じた像は越えられないようです。
 そもそもルゴシは『舞台版ドラキュラ』で〝ドラキュラ役〟を鉄板としていました。
 この頃『ドラキュラ』は、映画製作に先駆けて様々な劇団で興行されていた人気娯楽で、無論〝ドラキュラ俳優〟も劇団毎に多数いました。
 が、ルゴシは突出した存在で、そのダンディな色気から女性層の人気が高かった舞台俳優です。要は現在でいう『イケメン人気』で、その人気ぶりは舞台鑑賞していた女性に卒倒者が出たという逸話からも窺えます。
 ちなみに、この頃の〈ドラキュラ伯爵〉は劇団によって衣裳が様々で〝黒タキシードに黒マント〟というスタイルは〈ルゴシ版ドラキュラ〉が扮していたものと言われています。してみると、ルゴシこそ〈ドラキュラ伯爵〉と二人三脚を運命付けられた役者であったのかもしれませんね。
 さて、この『舞台劇ドラキュラ』は、あまりの人気からブロードウェイでの演目と決定しました。
 この時、ルゴシは「当然〝ドラキュラ役〟は自分にオファーが来るだろう」と自信に満ちていましたが、結果は選考されず、大変落ち込んだそうです。
 そして、この『ドラキュラ人気』に目をつけたのが、ユニバーサル社の名プロデューサー〝カール・レムリ・Jr〟になります。
 彼はユニバーサル会長〝カール・レムリ〟の息子であり、その手腕から諸々のヒット作を打ち出して同社の興業成績を伸し上げました。
 その業績に快くしたカール・レムリは、息子への誕生日プレゼントとして『好きな映画を一本作る権利』を与えたのです。
 はてさて、このJr、実は『ホラー好き』であり、常々「いつか我が社でもホラー映画を!」と熱意を抱いておりました。
 この頃『ホラー』の評価地位は低く、蔑視される傾向すらありました。本格的に製作しているのはドイツぐらいで『カリガリ博士』や『吸血鬼ノスフェラトゥ』等の陰影映像美に彩られた良作を打ち出していましたが、アメリカではまだまだ低俗と見られる傾向にあったのです。当のレムリ会長にしても「あんな子供騙しは撮るに値せん!」と偏見に切り捨てていました。
 そんな状況に羨望の念を抱いていたJrは、念願叶ったとばかりに『魔人ドラキュラ』の製作に乗り出し、異才監督〝トッド・ブラウニング〟指揮の下にて、晴れてルゴシが起用されました。
 斯くして『初の公式ドラキュラ映画』にして『初のトーキーホラー映画』にして『初のユニバーサルホラー』である『魔人ドラキュラ』が封切られるのですが、これが大ヒットを記録します。
 目から鱗が落ちたレムリ会長は掌返しに「このジャンルはイケる! すぐさま第二弾の製作に掛かれ!」と社内に檄を飛ばし、僅か一週間程度で製作されたのが『フランケンシュタイン』──これが『魔人ドラキュラ』を越える特大ホームランとなり、以降、ユニバーサルは『ホラー映画』を看板の一角と据えて増産し続ける流れとなるのです。
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▲ベラ・ルゴシ演じるドラキュラ伯爵。
 もはや説明不要のトップモンスターである。


 戦後、イギリスにてホラー映画史に欠かせないブランドが立ち上がります。
 配給会社から転身した〈ハマー・プロダクション〉です。
 確実に集客を当てたいハマーが第一作と定めたのは『フランケンシュタイン』でした。
 当時は高価であったカラーフィルムを『勝負処』と定めて使用し、検閲ギリギリの過激表現を用い、それまでのユニバーサル版が『ダークファンタジー』とも言える作風であったのに対して、大人の鑑賞眼にさえ訴えられる『本格的ホラー』として作成されました。
 そうして完成したのが『フランケンシュタインの逆襲(1957年)』です。
 そして、この映画は大ヒットを記録しました。
 この流れで、続けて『吸血鬼ドラキュラ』へと白羽の矢が立ったのは必然的と言えるでしょう。
 斯くしてハマーホラーの代名詞となる『吸血鬼ドラキュラ(1958年)』は『フランケンシュタインの逆襲』を凌ぐメガヒット。この事象は、ちょうどユニバーサル版に於ける作品関係と人気が逆転しているのが興味深いです。
 ハマー版で〈ドラキュラ伯爵〉を演じたのは『フランケンシュタインの逆襲』にて〈怪物〉を演じた新人〈クリストファー・リー〉となります。
 これ以前には「ドラキュラ俳優はベラ・ルゴシを措いて他に無し」とまで言われていましたが、リーは見事にルゴシと双璧の〈ドラキュラ俳優〉として認識されるまでに登り詰めました。むしろハマー社はコンスタンスに『フランケンシュタイン』と『ドラキュラ』をシリーズ化していったので、演じた回数ではリーの方が多いかもしれません。
 そして、このシリーズ化によって「ドラキュラ伯爵は弱点が多いが、すぐに復活する」という今日までのイメージが確立したとも……?
 ちなみにハマー版にて〈ヴァンヘルシング教授〉を演じ続けたのは同社『フランケンシュタイン・シリーズ』で〈フランケンシュタイン博士〉を演じ続けた〝ピーター・カッシング〟です。アクティブにアクションをこなす〈ヴァンヘルシング像〉は、彼から発生しているのでしょう。
 ともあれカッシングとリーは、ハマー創業時から苦楽を共にした盟友とも言える間柄だったようです。
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▲クリストファー・リー演じるハマー版は、貫禄に満ちたルゴシ版に比べて神経質な印象になくもない。
しかし、吸血鬼然とした魔性の怖さはリーの方に軍配が上がるだろう。


 こうした諸々の経緯のみならず『ドラキュラ』と『フランケンシュタイン』には、誕生期から因縁的な流れが幾つも時代を越えてあるのですが、長くなるので今回は割愛します(いずれ機会があれば……)。
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 絶大な人気作&カリスマキャラクター故に、様々なメタファやテーマ性が称賛される『吸血鬼ドラキュラ』──ですが、実際に公正な視点で読むと、別段、高尚でも何でもない通俗作品である事に気付くと思います。
 然るに、この作品は『冒険大衆娯楽』でしかなく、熱烈ファンが賛美する文学性など皆無なのです(それらは後年に於いて崇拝ファンが神聖化した主張に過ぎません)。
 むしろ緻密に計算されたメッセージや文学性は『フランケンシュタイン』の方にこそ備わっています。
 こう書くと崇拝者からは「ドラキュラを馬鹿にするな!」と怒られそうですが、逆に私は返したい──「徹底した大衆娯楽で何がいけないの?」と。
 メッセージ性や文学性が皆無であろうとも『吸血鬼ドラキュラ』が『フランケンシュタイン』や『吸血鬼カーミラ』を凌ぐメガヒットとなったのは紛れもない事実です。いえ、むしろ娯楽性に特化したからこそ『吸血鬼ドラキュラ』は大衆の心を鷲掴みと出来たのです。
 これは誇るべき事象でしょう(言うなれば『ドラゴンボール』と同じなのです。あの作品は〝超ド級バトル〟に特化したからこそメガヒットしたのであって、ドラマツルギーは『ワンピース』の方にこそ備わっている。ですが、私は両作品等しく「面白い! 好き!」です)。
 特殊メイク界の巨匠〝リック・ベイカー〟は作品解説にて苦笑で語っていました──「下らない三文小説だ」と。しかしながら、その表情には〝愛情〟が満ちています。
 仮に『吸血鬼ドラキュラ』にメッセージ性があるとするならば、それは『里見八犬伝』等と同じ〝義勇愛の素晴らしさ〟と〝叡智は暴力をも下す〟という古典的な人間賛歌に着地するでしょう。


✒✒✒凰太郎小説 孤独の吸血姫✒✒✒
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本日はアルファポリス小説
『雷命の造娘
~第三幕~ありがとう Chapter.2』更新、
及び、一部投稿サイトに措きましては
『孤独の吸血姫
~第二幕~白と黒の調べ Chapter.2』本編URL 更新
です。

それにしても『闇暦』は、消費が激しいなw
書いても書いても、すぐに追い付くから全然楽にならないwww
(ーー;)



【雷命の造娘】
サン・ジェルマン伯爵の人生を狂わせた経緯が懐古に語られます。
同時に〈娘〉の誕生秘話にもなっています。
果たして、フォン・フランケンシュタインが、どのような影響を与えたのか……。
乞う御期待!

✒✒✒雷命の造娘✒✒✒
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【孤独の吸血姫】
いよいよロンドン居住区へと繰り出したカリナとカーミラ。
そこでカーミラへと突き付けられる現実とは?
そして、カリナの真意とは?
乞う御期待!
✒✒✒孤独の吸血姫 本編 URL更新✒✒✒
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さてさて、LINEブログを読んでいる方なら御存知とは思いますが、此処のところ『ガッツリ系サブカルコラム(モンスター&ヒーロー&ヒロイン)』をアップしておりました。
もともと好きなものを考察熱論するのが好きなので、いつかはそういう『読物』を展開したかったんです。
雛型はFacebookにてやっていたんですが、どうにも構成的に使いづらいので現在丸放置になってしまいました。
ところがLINEブログだとレイアウト自在なんで「あれ? これなら理想通りのコラム作れるんじゃね?」と思い立ち、LINEブログ版へとシフトしたのです。
ただ、最近連続配信していたのは、ちょっとした計画の目算があっての事で、どうしても『モンスター』『スーパーヒーロー』『ヒロイン』の各初回配信だけは完了しておく必要があったのです。
それも終わったので、次からは不定期間隔でやります(小説に支障が出ない範囲で)。
何の計画かは……ある程度、コラム回数が増えてから明かしますw
基本的に、私のサブカル愛を熱弁したい自己満足コラムですが、皆様が読んで面白く感じる内容・繰り返して読みたくなる内容・考察作品に少しでも興味を抱けるような内容を心掛けています。
まあ……楽しんでもらえたら、それでいいですw
うん、軽い暇潰しにでも楽しんで?www


✒✒✒凰太郎創作総合WEB✒✒✒
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【金色の闇】
登場作品:『 To LOVEる 』シリーズ
   (漫画:矢吹健太郎/脚本:長谷見沙貴)
本名:イブ
愛称:ヤミ/ヤミちゃん
性格:クール&シャイ
特徴:トランス能力
好物:たい焼き
趣味:読書
苦手:ニュルニュルした触手
CV:福圓美里
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【設定】
 宇宙に名を馳せた凄腕の殺し屋であり、主人公〈結城リト〉の抹殺を依頼されて地球へ来訪したが「結城リトは悪党である」という依頼内容が虚偽であると知るや、その仕事を破棄する。
 その反面〝殺し屋〟としての矜持からか、以後はリトを〈抹殺ターゲット〉と定義して滞在し、そのまま地球の日常に溶け込んだ。
 しかし、本心ではリトの誠実な優しさに心惹かれ、また血腥い世界に生きてきた彼女にとって平穏な地球は〝かけがえのないオアシス〟にも感じられた。
 シャイな性格故にクールを装っているものの性根はガラス細工のように繊細で心優しい少女である。
 自在に部位(殊に髪)を他形態へと変身させる〈トランス能力〉を有し、それを用いた戦闘能力はシリーズ内でも最強レベルである。
 定番フレーズは「えっちぃのはキライです!」

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 『週刊少年ジャンプ(以下、WJ)』にて連載されていたお色気ラブコメの金字塔『 To LOVEる』に登場するメインヒロインの一人でしたが、その不変的な人気の高さから続編『To LOVEる ダークネス』では前作のヒロイン〈ララ・サタリン・デビルーク〉の妹〈モモ・べリア・デビルーク〉と共にダブル主人公として格上げされました。

 
 前身は同作者〝矢吹健太郎〟の前作『BLACK CAT 』に登場したヒロイン〈イブ/愛称:姫っち〉であり、その人気の高さから本作へとスピンオフ転換された経緯にあります。故に根本的なキャラクター設定は『BLACK CAT 』での設定を『 To LOVEる』世界観に準じてアレンジ踏襲したものとなっており、前作のファンならニヤリとする演出も見られました。
 ちなみに〈ヤミ/イブ〉の戦闘能力の高さは『 To LOVEる』シリーズのみならず〈WJヒロイン〉内でも最強ランクに部類します。

 当時の〈姫っち〉人気は相当高く、それこそアニメ化される以前からエロ同人界で引っ張りダコでした。これは〝非アニメ化キャラ〟としては異例と呼べる現象です。
 その余韻もあってか〈ヤミ〉もエロ同人の定番人気キャラになっています……と言うか、作品性質上『 To LOVEる』自体がそうですがw

 また『BLACK CAT 』は深夜アニメとなる以前に集英社ドラマカセットブックとして商品化されましたが、この頃から〈イブ→ヤミ〉のCVは〝福圓美里〟嬢ですので、彼女の持ちキャラでもあります。 
 福圓嬢が演じたキャラとしては、最長の付き合いなのではないでしょうか?

 どちらも性格的には〝心を寂しく閉ざしたクールビューティー〟ですが〈姫っち〉の方は無垢な子供らしさに在り、対して〈ヤミ〉の方は〝少女〟の域に達しているせいか大人びた丸さに無くもありません。
 これもまた〈ハーレムエロス〉という作風に沿った変質でしょう。


 このように同一原泉のキャラクターながら〈ヤミ〉と〈イブ〉には微妙な差異が有ります。
 彼女を溺愛する筆者としては、そうした考察に夢想するのも、また〈萌え〉の楽しみ方なのです。
 って言うか、ヤミちゃんに触れている時間って幸せ❤www

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「『 To LOVEる』が復活する?」
 この朗報を聞いた時、正直、驚天動地の大歓喜でした。
 大好きだった『 To LOVEる』が連載終了した時には、しばらく途方に暮れて悲嘆したものです。
 それこそ〈トリプルクロスカウンター(by『あしたのジョー』)〉と〈ウルトラタイガーブリーカー(by『タイガーマスク』)〉を同時に叩き込まれたかのようなショックでした。

 しかしながら、私はアニメ雑誌や他漫画雑誌は買わずにWJだけですので、はたして如何なる内容なのか……なかなか情報は得られませんでした。
 遅々とWJにて明らかになった続報で、なんと今回はモモと一緒にヤミちゃんが主役に格上げされていると知って大驚喜!
 大好きだった『 To LOVEる』が復活するだけでも嬉しいのに、まさかヤミちゃんが主役格上げなんて!(同時にララが主役からサブへと回された事もショックでしたが……)

 ですが先述の通り、私はWJオンリーですので本編は御預け……コミックス発売での再会を心待ちに焦れました。
 そして、ついにコミックス発売日!
 逸る気持ちで、ようやく拝見……
「エロッ!Σ( ̄□ ̄;)」
 うん『 To LOVEる』よりも〝エロさ 1.8倍増し(当社比)〟でしたw
 さすがに『 To LOVEる』大ファンの私でも、正直戸惑いましたね……「ここまで露骨な性描写に走ったら、ただのエロ漫画じゃないか!」って。
 ですが『 To LOVEる』……と言うか〈ヤミちゃん〉との再会はスゴく嬉しい。
 その想いだけで付き合い続けた結果、徐々に慣れましたw
 それに物語が進むに連れて〝 To LOVEるワールド〟は健在だと感じられるようになったのです。
 確かにエロい……露骨にエロ過ぎる……が、根底にある〝奥手な恋愛模様〟や〝繊細な心理機微〟は活きていて、殊にヤミちゃんの不器用な心情の描写にはファンとして読み応えのある掘り下げを感じました。

 ちなみにTVアニメ版オープニングソング『secret arms(vo:Ray)』は、彼女のイメージを余す事無く歌い尽くした名曲です。是非聴いてみて下さい。

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 続編『To LOVEる ダークネス』にて主役へと格上げされたヤミちゃんですが、本作では彼女の生い立ちに纏わる新規キャラクターが登場してシリアス面での展開に深味を持たせました。
 その中でも、とりわけ重要な存在であったのが〝妹〟たる〈黒咲メア〉でしょう。彼女は謎を孕むキーパーソンとして、序盤の物語に緊迫感を抱かせました。
 同等の〈トランス能力〉を所有しているメアは、ヤミの事を〝お姉ちゃん〟と呼び慕いますが、当のヤミには心当たりが無い……。
 更には〝無邪気且つ冷酷な暗殺者〟という側面もあり、かつての〝殺戮者としての世界〟にヤミを引き戻そうと画策します。
 地球の日常を愛し始めたヤミにとって、メアは〝唯一の姉妹〟である可能性と同時に〝危険分子〟でもありました。
 それは、あたかも〝過去の自分〟を思わせる写し鏡です。
 だから、ヤミはメアを倒……そうとはせずに、どうにかして平穏な世界へ招き入れようと模索します。
 それが〝現在の彼女〟の〈答〉なのです。


 このメアに〝日常の尊さ〟を萌芽させたのは、意外な伏兵でした。
 モモの双子姉妹〝ナナ・アスタ・デビルーク〟です。
 二人が親友となったのは日常の些細な一幕であり、ナナはメアの本性を知りません。
 同時にメアにとってもナナは素直に心許せる同年代の友達であり、特別な存在でした。
 しかし、ある時、ナナはメアの戦闘光景を目撃してしまいます。
 驚愕の真相を前に瓦解する信頼関係──。
 メアは平然の仮面を装って言い捨て去ります──「もう…終わりにしよ…? 〝友達ごっこ〟 兵器と人が心から通じあえるわけないもんね……」と。
 大好きな友達でいたいのに、どうしていいか分からない──普段は勝ち気なナナが見せた傷心の泣き顔は胸を締め付けられました。
 そして、なけなしの勇気を後押ししたのが、やはりリトです。
 彼の誠実な励ましを受けたナナは、メアの下へと駆けつけ──この展開は、是非自身の目で見届けて欲しい。
 感涙必至の感動エピソードです。

 『To LOVEる ダークネス』はモモ&ヤミの物語であると同時に、ナナ × メアの物語であったと言っても過言ではありません。

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 リトの妹〈結城蜜柑〉とのツーショット。
 ヤミにとって蜜柑はかけがえのない大親友であり、結城リトと同じく〝平穏な日常〟へと繋ぎ止めてくれる大切な存在です。
 素直な自分を晒け出して、吐露や相談が出来る唯一の対象と言ってもいいでしょう。
 蜜柑を守るためなら、彼女は我が身を犠牲にする事さえも選択します。
 その一途で確固たる親近関係は〝メア&ナナ〟の関係と同質のものなのです。
 ともすれば、メアに友情が芽生えた事を一番祝福していたのは〝姉〟であるヤミちゃんだったのかもしれませんね。

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 メアと共に重要な存在が、担任教師として赴任した〈ティアーユ・ルナティーク〉です。
 10代の頃にはバイオ工学を極めた天才であり、ヤミは彼女の遺伝子を以て造られた人造生命体なのです(その頃の名前は〈イブ〉であり〈金色の闇〉は後の生き方に於ける〝殺し屋稼業〟で付いた通り名に過ぎない)。
 つまり、ヤミにとっては〝実の母〟と呼べる存在であり、それ故に彼女の害となるものは断固許しません(御約束となっているリトのラッキースケベも〝自身へ向けられた時〟と〝ティアーユへ向けられた時〟とでは、怒り&殺意の度合いが格段に違いますw)。

 しかしながら、再会したヤミとティアーユには微妙な距離感の擦れ違いがあり、不器用な家族愛の行く末も『ダークネス』の魅力でした。
 尚、彼女もまた『BLACK CAT 』からのスピンオフキャラクターであり、基礎設定やスタンスは『 To LOVEる』世界観に準じたアレンジ踏襲されたものとなっています。ただし〝癒し系天然ドジ〟という萌え属性が付加されたせいか『BLACK CAT 』時代のシリアスな愁いは鳴りを潜め、代わりに柔和な母性が前面に打ち出されています。

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 作品タイトルにもなっている『ダークネス』は佳境にて真相が明かされます。
 それはヤミの〝真の姿〟とも呼べる形態〈ダークネス・モード〉の事でした。
 彼女は生体兵器製造を目的とした『ダークネス計画』の産物であり、そのデータを基に新造された第二世代が〈メア〉だったのです。
 この形態になったヤミは〝殺戮と破壊の化身〟であり、その圧倒的な戦闘力は単身で惑星を壊滅させてしまうほど!
 そして、性格も別人格化してしまいます。
 ところが誤算がありました。
 彼女の心底に強く刻まれた〝結城リトへの恋愛感情〟は心理的バグと作用して〝リトへの好意⇔性的欲求⇔固執的殺意〟という手に負えない暴走へと結実してしまうのです。
 そのため「えっちぃの大好き!」という〈淫乱殺戮者〉と化してしまいます。
 それだけなら滑稽な猥談で済みますが……その殺意と殺傷能力がシャレにならないガチなので、諸々の意味で〝アブナイ娘〟に仕上がっています。
 この〈ダークネス〉を如何に沈静化させて〈ヤミ〉を呼び戻せるかの攻防が、前半最大のクライマックスでした(TVアニメ版は、ここまでがゴール)。

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 『To LOVEる ダークネス』メインヒロインが集う日常風景。
 綺麗事は申しません。私はヤミちゃんとは逆に「えっちぃトコが大好きです」で、この作品の大ファンなのですw
 しかし、それだけなら別に固執賛美などしません。
 って言うか、そんな欲求だけだったら最初から『18禁アダルト漫画』を買った方が早い。
 この作品には〝心をほわっとさせる等身大の優しい空気〟が根底に溢れており、このイラストは象徴的です。
 現在、この作品の遺伝子はWJにて連載中の『ゆらぎ荘の幽奈さん(漫画:ミウラタダヒロ)』へと継承されていますが、やはり『 To LOVEる』とは微妙に異なります(どちらも大好きですが)。
 男性読者の〝ハーレムエロス願望〟を満たしながらも、繊細な少女心理の機微に彩られた恋愛漫画でもあり、おおらかなファジーSFでもあり、スラップスティックコメディでもある。
 ここまで多岐にわたる許容性の高い作品世界観は、あまり見ないのではないでしょうか?

 確かに〈ハーレムエロスラブコメ〉ではありますが、そうした表層的偏見を脱ぎ捨てて、いま一度〝少女心理の機微〟に着目して読んでみて下さい。
 そこには、きっと〝ふわっと優しい薫風〟が吹いています……。




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