【福岡ミラクルマーケット】


この数ヶ月、ある投資物件を検討するため、何度か福岡を訪問した。今年の公示地価発表で、福岡県内でも地価の優劣は大きく差が出たようだが、中でも2都市を比較したい。


〇地価アップ地点多数の糸島市


福岡市中心部から車で40分ほどの糸島市。近年、人口が大幅に増える人気のエリアだ。

市内では、新興住宅地が広がり、次々に新築が建っている。


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糸島の新興住宅地

〇大学の移転と新駅


旧帝大である九州大学は昨年、糸島市に近い、福岡市西区に移転した。

筆者は今月、九州大学伊都キャンパスを訪れたが、未来都市のような広大なキャンパスの周りは、学生マンションで溢れ、新築とともに古民家を改修して貸し出す事業者がいるほど、活況だ。

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伊都キャンパス写真


また、今年5月、糸島高校前という駅が新設された。糸島市から請願駅という形で要望していたものが実現し、25億の予算は市が負担した。

地方都市の新駅設置は稀で、人口増を物語っている。


〇海と山、インスタ映え


この糸島市は、福岡市中心部から30から40分程度に位置し、風光明媚であることから、もともと、東京でいう湘南のようなリゾートエリアであったらしいのだが、20年ほどかけて、福岡のIT経営者を中心に移住者が増えてきた。

観光スポットの二見ヶ浦には、カフェやレストランが一体開発され、海外と見紛う景観が形成されている。

インスタ映えする撮影スポットが配置され、夕日で有名な当地を盛り上げている。

また、山にも白糸の滝など観光資源があり、多くは糸島の中心市街から車で30分以内で行くことができる。



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二見ヶ浦写真


〇種類が豊富で安い!食材

元来九州は食が豊富だが、糸島も例外ではない。JAが経営する直売所には、平日午前からたくさんの客が集まる。7割ほどは福岡市内から買い物に来るらしい。

たくさんの種類がある糸島野菜や近海でとれた魚など、夕方にはほとんどなくなってしまうほどの売れ行きだ。

しかも安い。筆者が訪れた時は、大きな鯛が700円で並んでいた。汐サバ、うるめイワシなど、東京で買うと高級魚が数百円で並んでいた。

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直売所写真


〇子育て世代の集まる街

筆者が複数の移住者に移住の理由を聞いたところ、全員が「子育て」をあげていた。

前述の自然の豊かさや食の豊富さなどがあげられるうえ、福岡市という大都市に隣接している点がUターン、Iターン者を引き付ける所以だ。

また、東京の大手IT企業から独立、移住した方に聞いたところ、PCがあればどこでもできる仕事であることも理由になっているようだ。現地では、地元有志の活動により、ベンチャー向けのシェアオフィスなども整備されている。

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シェアオフィス写真


こうした「勝ち組」都市がある中で、地価の下がっている都市もある。


〇市内で地価UP&DOWNのある町。

筆者がここ最近注目しているエリアがある。北九州市の門司区だ。

明治時代から国の重点的な港として整備されてきた「門司港」。関門海峡の入口に位置し、毎日たくさんの船が行き交っている。

「海賊と呼ばれた男」、出光佐三の地元としても有名だ。


〇門司港レトロ地区の成功?

市長の肝いり事業として、7年と300億の予算をかけたレトロ地区。焼酎のCMでも有名な門司港駅など、明治のレトロな風景を再生し、中国や韓国からの観光客が目立つ観光スポットだ。今年の公示地価も門司港レトロ周辺の土地は値上がりしている。

ただ、このレトロ地区、歩き回って2時間程度は楽しめるが、1日、2日と滞在できるような場所ではない。



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門司港駅写真


〇シャッターの閉まる中心商店街

一方で、レトロ地区以外の旧市街地は「衰退」という言葉が頭に浮かぶエリアだ。

地価も下がり続けており、アーケード街はシャッターの閉まっている店が多く、地方都市にありがちな風景が広がっている。



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商店街写真


〇新築住宅は3,000万円

ただ、この門司港エリアが、不動産投資に値しないエリアかというとそんなことはない。

レトロ地区周辺を中心に新築マンションが分譲され、旧市街地内も更地が出れば数日で売れてしまう(地元投資家談)。駐車場つき戸建ては3,000万近くする物件ばかりだ。

もともと山がちで平地が少ないうえ、積極的に売りに出す地主が少ないためだ。

小倉駅まで13分で行けることから、ベッドタウンになっている。

近年、北九州市はじわじわと人口減ではあるが、それでもまだ94万人もいる政令指定都市なのだ。

また、港湾機能は今も健在であり、大型船の接岸するコンテナ港もある。関門海峡の水先案内人は「関門パイロット」と呼ばれ、年収の高い仕事だ。こうした港湾関係の高所得層が門司港エリアに多数住んでいるのだ。



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新築住宅写真


〇ゲストハウスPORTO

この門司港エリアの再生に取り組むのが合同会社ポルトの菊池勇太社長だ。

菊池氏は門司港で育ち、数社を経て、現在は門司港のゲストハウス「PORTO」を運営するほか、九州各地の地域再生に取り組む若手起業家だ。

前述の門司港レトロだけでは、滞在時間が短く、エリアとしての魅力に乏しいため、周遊できるスポットが必要だと、商店街をはじめ、数々の店舗開発をしかけてきた。



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PORTO写真


最近では、商店街にカフェ兼地元大学生の活動場所の店をオープンさせたほか、PORTOコミュニティの仲間が経営するカフェやショップが商店街に次々にオープンしており、PORTOの宿泊客や地元の常連が通う店ができ始めてきた。

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S&C



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大都会の写真


〇物件価格は新築の1/10

面白いのは、こうした物件は、小型物件の賃貸なら3~5万で借りることができ、出店者のハードルが低いことだ。また、購入でも200~500万程度で入手することができる。

狭小な店舗物件や、接道のない戸建てなど、不動産としては癖のあるものばかりで、前述の新築物件とは性格が異なるが、適切なリノベーションを行えば、出店意欲のある若者、Iターンした移住者、民泊など需要はあり、東京では考えられない利回りが得られる。(もちろん少額な賃料ではあるが、、、)



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販売物件写真


地方再生のきっかっけになる物件を購入し、地域活性化に貢献できるのであれば、これ以上ない社会貢献ともいえる。

一部エリアの地価上昇のニュースに踊ったものの、高額な投資はできないのであれば、こうした隠れた地方物件に投資するのはいかがだろうか?


(つづく)