僕は音楽科の高校に通ってました。

専攻は声楽です。


ピアノやバイオリン、

フルートやサックスなど、

みんな専門の楽器を持って受験し、

3年間勉強します。


僕は歌を専門に入りました。
 

入学当時からピアノなんかろくに弾けず、

音楽理論も聴音(音を聴いて譜面を書く授業)も、

何もかもダメで、

卒業までまったく授業についていけてない状況でした。


その中で唯一、

なんとかまともにやれてたのが、

やっぱり歌だったのですが、 

実はこれについても、

ずっとある嘘をついてやり過ごしていたことがあります。


声楽の授業(レッスン)では、

主にイタリア歌曲と日本歌曲を習います。


毎週木曜が専攻の授業なのですが、

毎回宿題で出された新しい曲を自分でさらってこなければなりません。


当然持ってるのは「イタリア歌曲集」と「日本歌曲集」の楽譜のみで、

譜面だけを見て曲を知り、

練習しなければいけないんだけど、

これが僕にとっては至難の技でした。


正直に言います。

完全に無理でした。


じゃあどうしたかって?

それはですね、

この歌曲集の公式のCDがあることをどこかで知り、

それをこっそり買いに行き、

すべて音源で聴いて曲を覚えるという、

最大のズルをしてました。


これ本当はやっちゃいけないんです。

だって、楽譜のみで練習するということこそが、

クラシック音楽の勉強ですから。


クラシックの方々が楽譜見た瞬間すぐ楽器弾けたり、

歌えたりするのはそういうことです。


でも情けない話ですが、

どうしても僕にはハードルが高すぎました。


もちろん声楽の先生には、

CDの話なんか一度もしたことありません。

言えるわけがないです。

超厳しい先生だったので。


野球応援の応援団長になった時も、

路上ライブで声ガラガラになってレッスンに現れた時も、

口聞いてくれないくらいでしたから(笑)。


たぶんクラスメイトたちにも、

この件は誰にも言ったことないんじゃないかな。


聴いて覚えることは本当に得意なんです。

だから極端な話、

レッスンの日の前日だけCD聴いて練習するという、

最低なこともやってました。


僕以外はみんな真剣に、

そして真面目に取り組んでたのに、

恥ずかしい話です。

まじで色々とダメな高校生だったから。


で、何が言いたいかと言うと、

それでも音楽を愛していたということです。

何よりも音楽が好きだったし、

どんなことより歌うことが一番好きでした。


高校卒業して約20年。

音楽科の生徒史上、

一番の劣等生だったであろう僕でも、

ずっと音楽に関わって生きていくことができました。

本当に幸せなことです。


3年間ずっと先生を騙していたけど、

音楽家でい続けたこの20年に免じて許してくれるかな。


先生、ごめんなさい。


これからも良い曲を作り、歌い続けたい。

今も相変わらず楽譜は読めないし、

クラシックの曲は一曲も弾けないけど(笑)