(2017年に書いた記事です)

そもそも「南三陸ねぎ」とはなんでしょうか？

もしかしたら、聞いたことがない方がほとんどかもしれません。

この記事では、わたしが感じた「南三陸ねぎ」への所感や体験談も交えご説明いたします。

「南三陸ねぎ」とは

宮城県北部の

「南三陸町」と

おとなりの

「気仙沼市」で

生産されている長ねぎのブランド名なのです。

南三陸町や気仙沼市は
東日本大震災による巨大津波で大きな被害を受けました。

南三陸町は8割以上、気仙沼では5割以上の方々が津波による被害を受け、とくに沿岸部は絶望的な様相でした。

当時わたしは渋谷で帰宅難民になりました。

ビルとビルに挟まれた表参道には、多くの人が溢れかえり、まるで映画のワンシーンのように大混乱していました。

同じように帰宅難民になった方々を交えて弊社事務所に避難。5人で新聞紙にくるまりながら不安な一夜を明かしました。

自宅に帰ると、心が凍てつくような東北の映像を、テレビ越しでただただ茫然と見ていました。

実家の茨城も被災をし

あの福島の原発事故も起きました。

これから、子供たちがどんな未来を歩まなければならないのか想像をし、車の中で一人大声をあげて泣いたのを今でも覚えています。

茨城はテレビ局がなかったため、ほとんど震災の報道がされてませんが、

実家のある地域の沿岸部は津波にやられ、
港は炎上、ライフラインはすべて寸断され、
食料も尽きました。

「お風呂に入りたい」

「肉が食べたい」

困窮する家族や友人にただただ胸を痛めました。

震災直後、自分の食べるものもまともに手に入らないのに、わたしの実家に食料を届けてくれた親友の存在は大きな希望でした。彼の行動は生涯忘れないでしょう。

経営者でありながら自身も、震災のストレスから体調不調で1ヶ月以上まともに働けなくなりました。

話はそれましたが、

私が感じた苦しみの
一体何十倍、いや何百倍もの苦しみと悲しみを抱えて、東北の方々はこれまで復興の歩みをされてきたのかと思うと、想像を絶します。

震災から6年経っても、南三陸の沿岸地域では、建物がほとんど見当たりません。

嵩上げのため、高く盛られた土が立ち並んでいます。
そこには、住人の方が知っている町の面影は一切ありません。

それでも、この6年間の歩みは、
岩盤に爪を立てるような思いで、一歩一歩進められてきたのだと思います。

南三陸ねぎ応援プロジェクトの、プロジェクトリーダーであるわたし八幡と中根は、ここ3年ほどボランティアで南三陸町を訪れ様々な方々と交流させていただいておりました。

グリーンファーマーズ宮城さんの農地で農業体験をしていたところ「南三陸ねぎ」と出会いました。

「南三陸ねぎ」は震災後、津波で襲われた農地や高台の復旧農地で栽培されています。

塩害のあった土地でも育つ"強さ"をもったねぎを、
県の本吉農業改良普及センターや農協、地元の農家と、皆が協力しあってブランド化を進めています。

わたしたちはこの

塩害に負けない「南三陸ねぎ」

に南三陸町や気仙沼で津波被害を乗り越え
力強く、忍耐強く復興へと歩む住民のみなさまの
「不屈の精神」が重なって見えました。

「南三陸ねぎ」は

「東北復興の象徴」のような存在

だと感じました。

「南三陸ねぎ」を広めることは

災害や困難に「負けない心」を広めることに通じるのではないかと。

宮城県は、寒い割りに雪が少なく、潮風も相まって
特に秋冬ねぎは甘みがますと言われています。

農地面積は現状10ヘクタール程。
今後5年かけて3倍の30ヘクタールに拡大していく予定だそうです。

主に業務用で流通しており、有名チェーン店の幸楽苑などで使用されており、すでにみなさんのお口に入ってるかもしれません。

しかし、「南三陸ねぎ」というブランド名を見ることはありません。

現在は生産量の関係もあり、シーズンに地元の飲食店や売店のみに流通しているのみで、現地に行くことでしか食べることはできません。

シーズンは春ねぎが5月ころ。

秋冬ねぎは9〜12月。

春は生産も少量のため価格が高くなります。
秋冬は安くて甘い美味しいねぎが手に入ります。