地球上に在る泣いている人間の割合が、それ以外の人間の割合より多いとき、空が泣くのだ。
という話をどこかで聞いたなあと思いながら、まだ小雨の街路を足早に行く。
じゃあお前はきっと、少数派なんだなあ。だって、機嫌が良い日にゃ雨が降るし、嵐がきたって怒っちゃない。
そんな全世界の憂いと反比例する曲者が口を曲げながら今日は珍しく
「雨の日は、気分が暗くなるね」
と言った。
やめてくれ、最後の砦よ。どうか多数派に丸め込まれないで。いつもの調子で笑っておくれよ。

でもさ少し、わかるよ。

雨足が随分と大きな足音を立てる頃、僕は潰れた本屋でひとり、雨宿り。
この空が泣き止む頃、お前はずぶ濡れで泣いているのかな。
そうであって欲しいと願う僕は、勝手だね。
どうかせめて、この雨がもう少し止みませんように。

そう考えるだけでカァっと胸の奥が温度を上げ、そのあとを追うように余熱の尾がなめらかに身体中を撫で上げる。その熱が爪の先まで伝えば、今度は反対に身体がぶると震えて、脳が寒いと訴える。
この体内の異常反応を夜の気温の所為にすべく、僕は両手で肩を摩って言ってみるのだ。「東京の夜は明るいな。」
クリスマスが好きだ。小さい頃からほとんど最近まで、この時期は家族や友人と集まって必ずホームパーティーを開いた。オレンジ色の調光ライトを落として、パンとビーフシチューを食べる。"Have yourself a merry little christmas"が終わるとCDが止まるから、それを合図に席を立ちもう一度一曲目からかけ直すのが僕の役。トランプや下らないゲームにはしゃいで、最後は友達とプレゼントを交換した。
こうして、店のショーウィンドウの向こうに飾られたツリーのオーナメントなんかを見れば、そんな事が走馬灯のように、いつでも頭に浮かぶんだ!
ふと、マッチ売りの少女が最後の一本の灯りを見届けた後のように、目の前が薄暗くなって、またすぐ身体がぶると震えた。
ああ今日は寒いなあ。


追伸
明日は、思いっきり楽しみます。

主人の愛を知らない犬が、コンビニの前ガードレールに繋がれて、餌の帰りを待ちわびる。
写真立ての中あの日の僕らがテーブルの上、ビールの空き缶越しに笑いかけている。
どっかで落としたイヤフォンは、どっかの路地の片隅で、今もあの音楽を流し続けている事だろう。
置き去りにされた10月26日、つまり今日は、不貞寝しながらそんな夢を見たという。
心の中でごめんと言いながら、今日の寝息を聞きながら、
修学旅行の前日みたいに不安で、初デートの前日みたいに血が茹って、BUMP OF CHICKENのライブ前日みたいに昂ぶりながら、
やはり今日の僕は、今日を置き去りに明日を想う愚か者にしかなれないようだ。
でも仕方ないんだこれはもう。
ムービーシーンでSKIPボタンを連打する少年のように、はやく明日になれ、しか頭の中心に無いのだ。

今日は前日。
明日の前日。

10/27 Wolves Tour 2018 Final.
渋谷WWWX
みんな、よろしく。

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