主人の愛を知らない犬が、コンビニの前ガードレールに繋がれて、餌の帰りを待ちわびる。
写真立ての中あの日の僕らがテーブルの上、ビールの空き缶越しに笑いかけている。
どっかで落としたイヤフォンは、どっかの路地の片隅で、今もあの音楽を流し続けている事だろう。
置き去りにされた10月26日、つまり今日は、不貞寝しながらそんな夢を見たという。
心の中でごめんと言いながら、今日の寝息を聞きながら、
修学旅行の前日みたいに不安で、初デートの前日みたいに血が茹って、BUMP OF CHICKENのライブ前日みたいに昂ぶりながら、
やはり今日の僕は、今日を置き去りに明日を想う愚か者にしかなれないようだ。
でも仕方ないんだこれはもう。
ムービーシーンでSKIPボタンを連打する少年のように、はやく明日になれ、しか頭の中心に無いのだ。

今日は前日。
明日の前日。

10/27 Wolves Tour 2018 Final.
渋谷WWWX
みんな、よろしく。

Wolves tour 2018
初日、2日目が終わりました。
何せ一年ぶりのツアー初めの2日間だったもんだから、
Wolvesという作品を、今の僕らを、
どれだけ受け入れて貰えるのかという漠然とした不安はやっぱりあったんだけれど、
そんな不安を見事に打ち砕いてくれたあなたの顔が、今も忘れらずにいます。
ツアーは始まったばかりで、これから10月まで続くけれど、
どの場所もたった一回ずつしか行けないんですよね。
そんな当たり前の事実を、改めて実感させられました。
そう感じられたのは、この2日間あなたから貰ったものがとてもとても大きくて、嬉しくて、過ぎてしまった事を悲しんでいる僕が今ここに居るからです。
この旅で乗り込むのは急行では無く鈍行列車、止まる駅全てで降りて、匂いや温度を感じて、写真を沢山撮って、可愛い付箋に一言感想メモまで添えて、それを1枚ずつWolves tour 2018というタイトルを付けたアルバムに飾ってゆくのです。
空白のページなど作ってしまわぬように、
しっかり立ち止まって、一つ残さず終点まで持っていきたいと思いました。

改めて、
千葉LOOK、横浜BB STREETに足を運んでくれて、
本当にありがとう。
行ってきます。

窓を開けて部屋に夜風を通す。安易にもう秋になるのかな、なんて思いながら足で扇風機のスイッチを入れて窓辺に腰を下す。どうやら台風の影響で北風が吹きこんでいるだけらしい。過ごしやすくて良いが、無言で夏が去ってしまったようで少し寂しかったりもする。
夏の終わりとは即ち秋の始まりだ。終わりの合図が始まりだなんて、何だかとても素敵に思える。リレーでバトンが次々渡されてゆくように、さっさとこの思考も最期まで運ばれてゆくのならばどんなに楽なのだろうと思う。けれど、でも、そうして一つ一つの終わりに気が付けず終わってしまうのも、それはそれで悲しいものだ。バトンになった僕がアンカーの手に渡りゴールテープを切ったとき、ここがスタートラインなのかゴールラインなのかはきっとわからないのだから。それがわかるのは、始まりと終わりを知る走者だけなのである。
そういえば最近、友達の子供が歩けるようになった。ようやく僕の事を覚えてくれたのか、会えばニヤニヤと恥ずかしそうにする。言葉を喋って彼の主張を聞けるようになる日が楽しみだなあ、なんて面倒臭い親戚のおじさんみたいな事を考えながら、彼の未来への期待で胸を一杯にしているそのときでさえ、残念ながら気付けず終わっていった何かを沢山内包しているに違いない。
ほとんどの終わりに気が付けないまま進んでいく時間の中で終わりに気が付き、その瞬間を目撃できる事は、あるいは幸福なのかもしれない。何かが終わりを告げその悲しみに暮れているとき、それによって芽吹いた新しい何かになど気が付けない事と同様に、何かが始まりその喜びに胸を膨らませている裏で、ひっそりと終わっていく何かに気付く事はきっと困難だ。
そうだ、夏が終わってしまう前に、今度こんな夜風にピッタリの風鈴など買ってみよう。
遠くで祭り囃子の音がする。
夏の終わりもまた遠い。

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