一昨日発売された『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』が、Amazonの『紙』『電子書籍』の両方で1位を獲得。
ありがとうございます。

とはいえ、またまだ読んでいない人がたくさんいて、「西野の本?面白いの?」と思われている方もたくさんいると思います。
「ハズレかもしれない本に、お金は出せない」と考える方もいると思います。

そこで、本屋さんでは「ハズレかもしれない」という不安要素を取り除く為に『立ち読み』を許していると思うのですが、

どうせ本屋さんで『立ち読み』して、「買う・買わない」の判断をしてもらうなら、10人に『立ち読み』してもらうよりも、1億人に『立ち読み』してもらった方がいいので、
だいたい本屋さんで立ち読みするあたり(40ページぐらい?)までを無料公開することにしてみました。
ちなみに、310ページの本です。

家で、通勤・通学の電車の中で、読んでみてください。
読んだ上で、『買う・買わない』の判断をしていただけると嬉しいです。



【Amazon】
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『はじめに』

 

「やりたいことが見つからない」と言う人がいる。

 

これを読んでいるあなたも、もしかしたら、その一人かもしれない。

そして、大人はあなたを指して、「ゆとり世代」だとか、「さとり世代」だとか、「草食」だとか云々かんぬん。

自分達に比べて、まるで最近の若者は"人としての能力が低い"いった言い草だ。

ただ、「最近の若いヤツは」という苦言は、それこそエジプトの古代遺跡にも象形文字で刻まれていたぐらい手垢のついた言葉で、おそらく人類誕生時から今までずーっと言われ続けていることだろう。

もし、その言い分が正しければ、理論上、人類なんて、とっくに絶滅している。

スケールダウンを繰り返している生物が生き残るわけがない

 

だけど、僕らは今日も生きている。

時代や環境に合わせて、アップデートを繰り返してきたからだ。

動物であろうと、植物であろうと、いつの世でも種として優秀なのは"年下"で、これは抗いようのない自然界のルールだ。

若者世代への批判は、そのほとんどが"進化への乗り遅れ"に他ならない。

だから僕は年下を肯定するところから考えはじめるようにしている

 

そのことを踏まえた上で、正直に言うと、少し前まで、「やりたいことが見つからない」という言い分を僕はまるで理解できなかった。 

僕は小学2年の頃に芸人に憧れて、そのまま今まで来ちゃったので、余計に。

「なんで、やりたいことがないの?」と思っていた。

ただ、「やりたいことが見つからない」を肯定するところから考えてみると、なるほど、理解ができるようになった。

ようやく年下の背中が見えてきた。

 

こんなことを言うと先輩方から怒られるかもしれないけれど、僕より上の世代は、僕より下の世代ほど「職業に寿命がある」という体験をしてこなかった。

多くの大人は「職業は永遠に続く」という前提で話を進めてくる。

だから、すぐに、「お前は何屋さんなんだ!?」と肩書きを付けたがる。

 

上の世代の皆様には申し訳ないが、今はそんな時代ではない。

スマホの登場以降、職業がなくなる場面をたくさん見てきただろう?

アマゾンに潰された本屋さんを見てきただろう?

「ロボットタクシー」という言葉が飛び交っている今の時代に、「タクシードライバーになりたい!」という発想にはならないだろう?

 

15年前は「タクシードライバーという職業がなくなるかもしれない」なんて想像もしなかった。

20年前は、日本の本屋さんがここまでのハイペースで潰れていくことなんて想像もしなかった。

職業そのものがなくなっていく時代に突入し、副業、兼業、転職が常識になりつつある。

上の世代は、職業をたくさん掛け持つと「結局、何がやりたいんだ! 一つに決めろ!」と咎めてくるけれど、どっこい、やりたいことを掛け持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術だ。

生物が生き残ろうとして、何が悪い?

 今の時代に「◯◯になる!」と肩書きを一つに決め込む方が、よっぽど危険だ。

 やりたいことが見つからないことは、間違いでも何でもない。

肩書きそのものが猛スピードでなくなっていく時代にキチンと対応できている証拠だ。

「アッチがダメなら、コッチだ!」と、肩書きを移動できる準備ができているわけだ。

周りはとやかく言ってくるかもしれないが、肩書きを一つに絞れずに肩身の狭い思いをしているあなたは大丈夫、何も間違っちゃいない。

いくつかの職業を掛け持つことで新しい選択肢だって生まれる。

 

具体例を挙げる。

僕は去年、『えんとつ町のプペル』という絵本を発表したんだけれど、この作品の制作に費やした時間は4年半だ。

これは、芸人としての収入があったから可能だったわけで、絵本作家一本で活動していたら、4年半も収入が途絶えてしまうような作品の制作には手を出すことはできない。

肩書きを複数個掛け持ち、収入源を複数個確保できていたから、そういった作品を作る権利を手にすることができたわけだ。

「結局、何がやりたいんだ! 一つに決めろ!」という常識に従っていたら、生まれてこなかった作品だ。

 

革命のファンファーレは鳴った。

 

農業革命よりも、産業革命よりも、大きな革命が、よりによって僕らの時代を直撃した。情報革命だ。

インターネットにより、距離や時間がなくなった。

当然、距離や時間に結びついていたいくつかの仕事もなくなる。くわえて、ロボット技術もグイグイ伸びてきている。

ものの売り方が変わり、働き方が変わり、お金の形が変わり、常識が変わり、道徳が変わっていく。超高速回転で。

 

そして、残念なことに、経験したことを僕らに教えてくれる存在であったハズの親や先生は、この革命を経験していない。

たとえば、あなたの親は、あなたにこんなことを言うだろう。

「好きなことをして生きていけるほど、世の中は甘くない」と。

親世代の常識は『お金=ストレスの対価』だ。

 

ところがどうだ?

ストレスがかかる仕事から順にロボット化されていき、ストレスがかかる仕事がみるみる世の中からなくなっていくではないか。

自動改札機が生まれ、改札口から駅員が姿を消したような変化が、今アチコチで起こっている。

「好きなことをして生きていけるほど、世の中は甘くない」と言われても、好きでもない仕事は消え、好きなことしか残らなくなってきている。

ここからは、“好きなことを仕事化するしか道が残されていない”時代だ。

多くの親や先生は、この変化を捉えていない。

彼らは、この大波の乗り越え方を知らないのだ。

 

したがって、僕らは自分自身の手や足を使い、僕らの身の回りに起こっている変化を、学び、実践し、思い知り、対応していかなければならない。

この変化から目を背けた人間から脱落していく。

既得権益を守り始めた人間から終わりが始まる。

頑張れば報われる時代は終わり、変化をしなければ生き残れない時代に、僕らは立ち会っている。

面白いじゃないか。

 

 変化しなくても良かった世代の常識と、衝突することもあるだろう。

あなたが革新的な動きを見せれば、それが革新的であればあるほど、摩擦は大きくなる。旧態依然とした連中は、あなたの提案の本質を知ろうともせず「炎上商法」という言葉で片付けようとする。

「炎上=悪」という印象操作をし、そして、世間の批判はあなたに集中する。

単純に彼らの理解が追いついていない場合もあるが、そこに発生する批判のほとんどは「変化することに対する恐れ」だ。

ならば、そんな批判を甘んじて受けようじゃないか。

変化しなければ死んでしまう時代なのだから。

 

何が必要になり、何が不必要になったのか?

どの職業がなくなり、何が職業となるのか?

一つずつ整理し、対応していこう。

常識のアップデートを止めてはならない。

 

僕は学者じゃないので体験談を話す。

この1年間の自分の活動の成功と失敗を、数字を交えて皆様にお話する。

1年前に出版したビジネス書『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』の発行部数は10万5000部。

絵本『えんとつ町のプペル』の発行部数は30万部。オリコン2017年上半期“本”ランキングでは、児童書部門とタレント本部門の2冠を達成。

『えんとつ町のプペル』を作る際のクラウドファンディングは2度実施して、支援者数が9550人。支援額が5650万4552円。

これにより、これまでのクラウドファンディングの合計支援者数は、1万5000人を突破、合計支援額は1億円を突破。クラウドファンディングの国内歴代トップとなった。

個展『えんとつ町のプペル展』の動員数は60万人を突破。

これだけ見れば順風満帆だが、どっこい、失敗が可視化されていないだけで、キチンと失敗もしている。

 

成功や失敗には、マグレも不運も存在しない。

成功と失敗の裏にあるのは、理由と原因だけ。すべて数学だ。

僕自身が体験した成功と失敗、そして理由と原因を振り返りながら、「今後僕らは、どのように身を振っていれば、この大変革の時代の動きを捉えることができるのか?」について、僕がお話できる限りのことは全てお話ししようと思う。

しばし、お付き合いください。



革命のファンファーレ 現代のお金と広告
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メガヒット作りの下準備

 

絵本『えんとつ町のプペル』はマグレ当たりでも何でもなく、連日会議を繰り返し「ここまで準備したらヒットするしかない」というレベルまで追い込んで、確実に当てにいった。

当初、ウチのチーフマネージャーは「国内で30万部、世界で100万部」という目標を掲げ、現在、『えんとつ町のプペル』の売り上げは国内で30万部を突破し、海外での出版がチョコチョコ決まりはじめている。

たしかに数ヶ国での出版は決まっているが、100万部という数字はまだまだ遠い。「第1目標の国内で30万部はクリアしたけど、ここから先の具体的な勝ち方はまだ見えていないよね」というのが現状だ。

しかし、まあ、国内で30万部はとりあえず売った。

「5000部売れればヒット」と言われる絵本の世界ではメガヒットだ。

僕らが『えんとつ町のプペル』を、どのように作り、どのように売ったか?

そんな話から始めてみることにする。

 

作り方から創る

 

まずは、『えんとつ町のプペル』の作り方について。

これについては『魔法のコンパス~道なき道の歩き方~』でも触れたが、知らない方もいらっしゃるので、知っている方は"おさらい"として、ここであらためて。

 

絵本『えんとつ町のプペル』で、これまでの絵本と大きく作り方が変わった点は"超分業制"にしたということ。

一人で黙々と作業をしていて、「そういえば、どうして一人で絵本を作っているのだろう?」と思ったことが全ての始まり。

 

たとえば映画は、監督さんがいて、助監督さんがいて、照明さんやメイクさんや美術さんがいて、役者さんがいていろんな人間が自分の得意技を持ち寄り、分業制で作品を作り上げていく。

監督さんがメイクを担当するよりも、プロのメイクさんにメイクを任せた方が、作品の質が上がるから「ここはお願いね!」と仕事を任せる。

 

会社組織もそう。社長、部長、課長、社員、受付…と分業制。

家族も分業制だ。働くことが得意な人が働きに出て、家事が得意な人が家事をする。

アニメーションもそうだし、漫画だってそうだ。『ワンピース』は尾田栄一郎さん一人で作られているわけではない。

 

世の中のほとんどのものが分業制で回っているのに、どういうわけか絵本は「一人で作る」ということで決まってしまっている。

『絵』と『文』で役割分担している作品は見かけるが、やはり『絵』の分業は見当たらない。

しかし、『絵』一つとっても、「空を描く作業」と「色を塗る作業」と「キャラクターをデザインする作業」は、微妙に業務内容が違う。

「空は描けないけれど、色塗りなら誰にも負けない」という人もいれば、

「色は塗れないけれど、キャラクターデザインなら誰にも負けない」という人もいれば、

「キャラクターは生み出せないけれど、空を描かせたら誰にも負けない」という人もいる。

 

だったら、いっそのこと、「空のプロフェッショナル」「色塗りのプロフェッショナル」「キャラクターデザインのプロフェッショナル」を集めて、映画のように"超分業制"で絵本を作ってみたら、面白い作品が生まれるのでは? と考えた。

さて、ここで気になることがある。

「絵本を分業制で作る」なんて誰でも思いつく。世の中のほとんどのものが分業制で作られているのだから「絵本だって…」という考えが出てくる方が自然だ。突飛なアイデアでも何でもない。

 ところが、事実として、超分業制で作られている絵本は世の中に存在しない。

問題は、「これまでたくさん思いつかれたであろう『分業制で絵本を作る』というアイデアが、何故、形になっていないのか?」という点だ。

 

分業制の絵本が存在しない理由

 

その原因は、すぐに見つかった。

1万部売れれば大ベストセラーと言われる絵本市場。極端に市場が小さいものだから、売り上げが見込めない。

売り上げが見込めないということは、制作費を用意することができない。

制作費がないということは、スタッフにお支払いするギャランティーが用意できない。

つまり、業界の構造上、絵本は『一人で作る』以外に選択肢がないのだ。

 

絵本を一人で作らせている原因のド真中に『お金』という問題があった。

ならば、お金さえ集めてしまえば『分業制』という選択肢をとることができる。

というわけで、絵本『えんとつ町のプペル』の制作で一番最初にやった作業は、「資金調達」であった。

ついつい飛ばしてしまいがちな「作り方を疑う」という作業から始めると、何やら人が手をつけていない問題が出てきた。つまり、その時点で他との圧倒的な差別化を図ることができたのだ。あとは問題をクリアするだけ。

さて、『えんとつ町のプぺル』を作る為にはお金を集めなきゃいけないのだけれど、お金ってどうやって集めるんだっけ?

続いてはそんな話をしてみる。

学校じゃ絶対に教えてくれない「お金の集め方」だ。

 

 


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クラウドファンディングは金の成る木ではない

 

絵本『えんとつ町のプペル』の制作費用は、「クラウドファンディング」で集めた。

説明するまでもないとは思うが、「クラウドファンディング」というのは、インターネット上で企画をプレゼンし、一般の方から支援を募るアレだ。

 

「はじめに」でもお話させてもらったが、『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングは、2度に分けておこなった。絵本の制作費を集める時と、絵本を知ってもらう為の個展を無料開催する時の2度。

2度のクラウドファンディングを合計すると、支援額が5650万4552円、支援者数は9550人。

支援者数は、当時、日本のクラウドファンディングの歴代最高記録だった。

 

これから資金調達の方法として、クラウドファンディングの戦い方についての話をさせてもらうが、話をする前に押さえておきたいポイントは、クラウドファンディングは金が成る木ではないということ。

僕はよくクラウドファンディングのサイトをチェックしているが、同じような企画でも、100万円集まる人と、1円も集まらない人がいる。

 

そして、もしかしたら、これは皆さんにとって意外な情報かもしれないけれど、テレビタレントのクラウドファンディングの戦績は、すこぶる悪い。

僕の親友であり、生物史上もっとも面白い生物である久保田君(ろサーモン)が、『衰退していく劇場に息吹きを!』と題し、若手時代にお世話になった劇場の修繕費用をクラウドファンディングで募ったが、目標金額20万円に対して、集まった金額が8万1500円で爆死。過度のストレスにより、久保田君の頭髪はみるみる衰退していった。

彼は現在、頭頂部の毛が完全に無い理由を「メルカリで売った」と言い張るが、その実、クラウドファンディングの敗戦によるものであったのだ。

久保田君の場合は、それによって、"久保田味"が増して良いんだけれど、他のテレビタレントさんはネタにもならず、ただただヒッソリと負けている。

最近だと、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんがクラウドファンディングに挑戦したが、やはり苦戦されていた。

 

一度、検索してみてほしい。

テレビタレントとクラウドファンディングの相性は驚くほど悪いのだ。

どうやら、「有名人だから、お金が集まる」というわけでもない。

 

「金が成る木でもないし、知名度に比例してお金が集まるわけでもない」となってくると、いよいよクラウドファンディングでのお金の集め方が見えづらくなってきたかとは思うが、大丈夫。

クラウドファンディングには、キチンと勝ち方がある。

 

 

お金とは何か?

 

クラウドファンディングで勝つには、まずは基礎知識として、

「お金とは何か?」

「クラウドファンディングとは何か?」

この2つの問いに対する答えを持っておかなければならない。

この答えは学校では教えてもらえない。

全ての職業の中で、経済から一番遠い場所で活動しているのが、社会を経験せずに職に就いた『学校の先生』だ。

受験に「お金」という問題が出ないもんだから、教える必要がない。学校の先生に一番必要のないスキルが「お金」だ。

ためしに、学校の先生を摑まえて「お金って何ですか?」と訊いてみるといい。ほとんどの先生が綺麗に泡を吹いて終わりだ。

元リクルートで、現在、奈良市立一条高等学校の校長先生を務めている藤原和博さんは、キチンと「お金」の話をしてくださるが(藤原さんの本、超面白いから読んだ方がいい!)、残念ながら、そんな先生は極々一部。

 

お金の正体を知らずに、お金を集められるわけがない。

クラウドファンディングの正体を知らずに、クラウドファンディングで勝てるわけがない。

 

ウダウダ語るのも面倒なので、結論を言う。

「お金」とは信用を数値化したものだ。

たとえば、魚を100匹売りさばいた時に「この人は魚を100匹売りさばいた信用のおける人ですよー」という『信用証明書』が貰える。

その後、自転車が欲しければ、自分が持っている信用証明書と自転車を交換してもらう。

言うまでもないが、この信用証明書の名前が『お金』だ。

 

信用証明書(お金)の形は、貝殻から始まり、貨幣になり、紙幣になり、クレジットカードという"数値"になり時代に合わせて変化してきた。

最初は稀少な素材で信用証明書が作られて、信用証明書の価値は素材そのもの(貝とか金とか)の価値とイコールであったが、「稀少な素材がなかなか見つからねーよ」となって、希少でも何でもない素材が硬貨に混ぜられるようになり(これを「改鋳」って言うんだぜ!)、「つーか、硬貨って重くね? 持ち歩くのに便利な紙にしね?」とか誰かが言い出して、信用証明書の"素材そのもの"の価値は綺麗サッパリ無くなった。

昔は1万円が1万円で作られていたが、現在、1万円札は約20円で作られている。

 

このように形や素材の価値はコロコロ変われど、信用証明書(お金)を介して交換されているものは今も昔も変わらない。『信用』だ。

お金とは「信用を数値化したもの」である。

 

クラウドファンディングとは何か?

 

次にクラウドファンディングの正体について。

こちらもウダウダ語るのも面倒なので、結論から言うと、クラウドファンディングとは信用をお金化する為の装置だ。

同じ企画でも100万円集まる人と1円も集まらない人がいるが、両者の差は、企画者の信用度の差に他ならない。

この線で考えると、テレビタレントとクラウドファンディングの相性がすこぶる悪い理由が説明できる。

 

テレビタレントのギャラの出元はスポンサーだ。

スポンサーが広告費(番組制作費)を出し、その一部がタレントのギャラとなっている。

お金の出所がスポンサーなので、当然、タレントに求められるのは好感度だ。

好感度を獲得しにいくためには、たとえばマズイ料理を食べても「美味しい」と言わなければならない。噓をつかなければならない。

10年前なら、視聴者は、その料理の味を確認することができなかったので、タレントは噓をつき通すことができたが、今はツイッターのタイムラインや「ぐるナビ」で、テレビ画面に映っている料理の味が筒抜けになっている。

噓が、噓としてカウントされる時代になってしまった。

 

「認知」と「人気」の違い

 

スマホ登場前後で時代は明らかに変わったのに、以前の方法論のままテレビに出続けるということは、噓を重ねなければならない場面に出くわしてしまうということ。噓を重ねれば、当然、信用は離れていく。

そのタレントが辿り着く場所は『人気タレント』ではなく、『認知タレント』だ。

お金を払ってくれる人を「ファン」とするのなら、人気タレントにはファンがいるが、認知タレントにはファンがいない。信用がないからだ。

 

ベッキーとゲスの極み乙女。が例として分かりやすい。

不倫をしても活動を続けることができたゲスの極み乙女。に対して、ベッキーの活動が、たった一度の不倫で全て止まった理由は、彼女が『認知タレント』で、ファンを抱えていなかったからに他ならない。

スポンサーが離れ、広告費以外の場所でお金を稼ぐしかなくなったわけだが、ファン(ダイレクト課金者)がいないからお金を生み出すことができない。

テレビタレントとしてのリクエストに徹底的に応え続けた結果だ。

現代のテレビ広告ビジネスの、最大の落とし穴だと思う。

 

先日、とある番組のクラウドファンディングの特集で取材に来られたディレクターさんが「なんで、西野さんはクラウドファンディングで高額が集まるんですか?」と訊いてこられたので、「信用があるからじゃないですか?」とお返ししたら、「そんなに好感度が低いのに?(笑)」と返ってきた。アホをこじらせて来春まで寝込めばいい。

『好感度』と『信用』、『認知』と『人気』は、それぞれまったく別物だ。

 

ちなみに、『テレビタレント』と『クラウドファンディング』の相性はすこぶる悪いが、『アーティスト』と『クラウドファンディング』の相性はバカみたいに良い。良すぎる。

基本、ギャラの出所がスポンサーでなく、お客さんからの"ダイレクト課金"で生活を回しているアーティストは噓をつくメリットがないので、当然、信用度も高い。

こんな感じの説明で、テレビタレントとクラウドファンディングの相性が悪い理由をご理解いただけただろうか?

 

あらためて。

お金は信用を数値化したものであり、クラウドファンディングは信用をお金化する為の装置だ。

この2つが理解できれば、「クラウドファンディングで勝つためにやらなければならないことが何なのか?」、その答えは、もう出ていると思う。

 

信用を勝ち取ることだ。

  

『えんとつ町のプペル』を作る為には、資金調達が必要で、資金調達を成功させる為には、信用を勝ち取ることが必要だった。

 

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いかがでしたか?

『革命のファンファーレ』は、こんなところからお話が始まります。
このあとは『現代の信用の勝ち取り方』『勝ち得た信用の効果的な使い方』と話が続き、後半戦は『広告の話』。
具体的に言うと「作品の売り方」です。

興味がある方は是非。

一つ、お願いがあります。
今回の無料公開を受けて、もし「西野、お前の心意気買ったよ! 」と、なったならば、この記事をシェアしていただけると嬉しいですし、今後、僕は仔猫のようになつきます。
宜しくお願いしますニャン😻


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