以前から、「過労自殺」という悲しい道を選んでしまう人や、「ブラック企業(労働)」に苦しめられている人達に対して、正直、「辞めればいいのに」という気持ちがあった。
僕の知り合いにも、そういう人がいたので。

ただ、当然そこには「辞められない理由」があるわけだ。
いや、厳密には「『辞められない』と思い込んでしまう理由」および、精神的に追い込まれたことによる「判断力の低下」があるわけだ。

それらを引き起こす原因は一体何だろう?

まず、考えられるのは『収入面』。
「ようやく受かった会社を捨てたはいいものの、じゃあ、どうやって食っていくの?」という部分。これは大きいと思う。
家族を養っていると余計に。
結果、過度のストレスを感じながらも、"生きていく為に働く"という、食いっぱぐれるよりも『まだマシ』な道を選ぶ。

次に考えられるのは、『残される仲間』のこと。

ちょっとエグイ話をします。
『奴隷の繋ぎかた』について。

喩えで「奴隷」という言葉を使うだけなので、この部分だけ切り取って、「会社で働く人間が奴隷とでも言いたいのか!」という生産性の欠片もないアホなツッコミはやめてね。

さて。

「報酬を与える」以外の方法で、奴隷を効率良く繋いでおく方法は、太くて頑丈な鎖ではない。
むしろ、太くて頑丈な鎖は「一緒に鎖を千切ろう」という結束を生み、そして千切られる。

奴隷を効率良く繋いでおくには、奴隷全員を顔見知りにさせた後、奴隷全員で力を合わせて、ようやく持ち上げることができる巨大な石を頭の上で持たせることだ。
誰か一人が「一抜けた」をすると、残された顔見知り全員が巨大な石の下敷きになる。
つまり、「別に誰が抜けてもいいけど、抜けたヤツは殺人犯になりますよ」だ。
会社的な言い方をすると、「お前が辞めたら、皆に迷惑がかかるよ」だ。
この時、太くて頑丈な鎖なんてなくても、奴隷はその場に残る。

人を殺すぐらいなら重い石を持ち続ける方が『まだマシ』だからだ。

基本的には、皆、『まだマシ』な方を選ぶ。
そして、「ブラック企業」と呼ばれる会社は、この『まだマシ』という選択肢が見事にデザインされていて、人を徹底的に追い込み、精神的な鎖でもって逃げ出せなくする。


そこまでは分かる。


ただ、インターネットのこの時代だ。
ブラック企業がいくら社員を洗脳しようが、「ウチの会社は、他所とは違うぞ。どうやらブラックだ」ということぐらい分かりそうなもんだ。
「入社したはいいものの、どうやらブラックだぞ。どうやら肌には合わないぞ。転職しよう」と、なりそうなもんだ。
…と、思っていたので、「辞めればいいのに」という考えを僕はどこかで持っていたのだけれど、今回、CIOを三日で辞めた後に、続々と届いたご意見(参考になるのもたくさんありました。ありがとうございました!)の中で、目立ったのは、

「我慢しろ」
「天狗だ」
「残された人が可愛そう」
「3日で辞めるなら引き受けるな」

という声。

これが興味深いことに、その声を上げたのは『経営者』が多かった。
そりゃそうだよね。
すぐに辞められてしまうことがアリになると、採用費用も育成費用もパァ。
自分が描いているゴールも遠退いてしまう。
「途中で辞める=悪」というマインドコントロールをしておいた方が、自分の被害がすくなくなる。

経営者がそこそこデケー声で、「途中で辞めることは良くない!」と叫ぶ。
しかも、自分の会社の社員どころか、自分とまったく関係のない人間の働き方にまで口を挟む始末。
わかるよ、それをアリにしたら、今度は自分の会社の社員が、やりかねないから。
アホらし。貧乏くせ。

追い込まれている人に対して、「せっかく、インターネットがあるんだから、外とコンタクトをとればいいのに」と思っていたけれど、どっこい、ネットをひらけば、このザマだ。
表も裏も、内も外も、どこにいっても、「途中で辞めるのは悪」という声で埋まっている。

ブラック企業は、一つの会社、一人のワンマン社長だけで作っているわけではなく、
「途中で投げだすのは最低」
「すぐに辞めるなんて天狗」
「残された人が可愛そう」
という部外者の声の蓄積…つまり社会の空気が作り出していることが分かった。

僕は、自分の発言がそこ(過労自殺やブラック労働)を存在させることの後押しをしていることが想像できずに発言する経営者を、心の底からアホだと思っているし、それに賛同する連中が何百万人いようが「うるせーよ、タコ」で終わるんだけれど、皆が皆、そうじゃない。

「そうだよね。やっぱ、途中で辞めたらダメだよね…」と追い込まれてしまう人もいる。
そういう、弱い人(優しい人)だっている。

社会全体で奴隷を作り上げているという話。
何が経営者だ、バカ。



ちなみに、僕の仕事は、大きく分けて、「吉本案件」と「西野案件」の二つあるんだけれど、西野案件に関しては、外部発注もあるけれど、ほぼほぼ立候補制だ。
「新通貨『L』の開発スタッフやりたい人~?」で募集をかけて、やりたい人同士でやっている。
もちろん副業もオッケーだし、もちろん途中で辞めてもらっても構わない。
去る者は絶対に追わない。

責任は、途中で辞めたヤツではなくて、途中で辞められてしまうようなモノしか提供できていない自分にあると思っている。
鎖で繋いだり、重たい石を持たすなんて、まっぴらゴメン。

これから映画『えんとつ町のプペル』の会議。明日は朝イチの飛行機でフィンランド。
フィンランド遠征のメインスタッフは、ホームレス小谷。
理由は、小谷が一番最初に手を挙げたから。

今、ツライ目に遭ってるヤツ。
ウチに逃げといで。
酒飲みしかいないから、ピンチなんだ(*^^*)
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