人が行動する時の動機は総じて『確認作業』だと思っています。

「そんなにヒットしている『君の名は』って、一体どんなだ?」と『君の名は』を観に行き、
ラーメン屋さんの行列を見て、「そんなに旨いのか?どれどれ」と行列に並びます。

パリに行った時に、一応『モナリザ』の絵を観に行くのは、子供の頃に(画素数が最悪であろうと)教科書で『モナリザ』を見ているから、「生はどんなだ?」となりますし、
旅行なんて最たるもので、一度、テレビの映像なり、パンフレットの画像なりで、脳内に取り込んだ場所にしか僕らは行きません。
「30万円払ってくれたら、とっても素敵な場所に連れてってあげるよ」と言われても、僕らの足は動かないのです。

僕らは思っている以上に冒険をしません。
すでに知っているものを、より詳しく知ろうとします。
これだけ選択肢に溢れた時代だと、余計に冒険をしにくくなるでしょう。
今、この時代に、『開けてからのお楽しみ』といった袋綴じ的なやり方は通用しないと僕は思います。
アタリかハズレか分からない袋綴じの隣に、露出度タップリの"そこそこ美人の"グラビアが並んでいるからです。

SHOWROOM株式会社代表であり、僕の友人である前田裕二さんから、『人生の勝算』の宣伝の相談を受けた時に、僕は「中身を無料で見せた方がいいと思います」とお返ししました。

中身を無料で見せてしまうと、結果は大きく分かれます。
実力が可視化され、売り上げが伸びるか、
実力不足が可視化され、売り上げが止まるか、です。

前田さんに無料で見せることをオススメしたのは、勝算しかないと思ったからです。
すぐに前田さんは原稿を送ってきてくださり、プロローグを読んで、あらためて確信しました。

面白い。

これはお見せした方がいいと思ったので、「僕のブログで良ければ使ってください」とお伝えしました。
今日のブログは前田さんの『人生の勝算』のプロローグを。

勇気を持って、プロローグを全公開を決断してくださいました。
もし、気にいっていただければ、Amazonで予約をしてもらえると嬉しいです。

ちなみに今日は、前田裕二の30歳の誕生日です。


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プロローグ─経営はストリートから始まった─
 
「裕二、このギターやるよ。使ってないから」
 
小学校6年生の頃に、親戚のお兄ちゃんに譲ってもらったYAMAHAのアコースティックギター。これを手にしたときから、僕の経営者への道がスタートしました。
 
思い返せば、小学校2年生の夏。僕の世界は、急に真っ暗に染められて、色合いを失いました。人生で一番最初に課された試練は、母親の死でした。もともと、物心ついた頃から父親はいませんでしたが、8歳のときに母親が亡くなり、 10 歳離れた兄と僕で暮らすことになりました。
 
しばらく転々とした後、親戚の家に引き取られました。しかし、うまく馴染むはずがありません。最愛の母が存在しない世に、もはや生きる意味など見出せませんでした。僕の心は、重たくて大きい何かにぶつかって散り散りに割れたガラス片のように、不規則に鋭く尖って、周りを近づけませんでした。
 
そんな真っ暗闇に、あるとき、パッと光が灯されました。
 
音楽です。ギターという最高の遊び道具を手にして、大好きな歌を歌い始めました。
 
第1章で詳しく語っていますが、僕の経営者としての原点は、ストリートでの弾き語りです。小学生の頃、お金を稼ぎたくて、あらゆる方法を試しましたが、自分にとって最も誇れる、幸福度の高い稼ぎ方が、路上でパフォーマンスを見てくださる観客の方からお金をいただくことでした。感動を受けた人が、感動を与えてくれた人に対して、直接お礼ができる。そして、感動の連鎖が起こる。こんな素晴らしいことはないな、と思いました。
 
僕は、こうして次第に逆境を撥ね除けていくことに成功しました。撥ね除けるどころかむしろ、人より少し恵まれない環境にいたこと自体が、「なにくそ、負けるもんか」と、自分を突き動かす原動力になっていきました。
 
この本を書こうと思ったのは、今、不幸や苦境に直面していたり、自分から見える景色が真っ暗だ、という人に、ほんの少しでも頑張る勇気を持ってもらいたかったからです。
 
人生というドラマの中ではしばしば、自らではコントロール不能な何らかの外部要因が、一見打ち手のなさそうな試練を与えてきます。そこで、決して、運命に屈してほしくない。突如立ちはだかる壁やハンディキャップは、後天的な努力によって必ず乗り越えられる。世間との競争にとらわれずに、他でもない、自分の運命と真剣勝負で向き合ってほしい。人ではなく、運命に負けないでほしい。
 
そんな思いで、この本を書くことを決めました。僕自身がSHOWROOMという事業を立ち上げるまでの、すったもんだの奮闘ストーリーを具体的にお伝えすることで、逆境の乗り越え方を少しでもイメージしてもらえたらと思っています。
 
この本を手にしてくださって、こうして今、「プロローグ」を読んでくださっている方の中には、SHOWROOMというサービスをご存じない方もいると思います。
 
SHOWROOMとは、「仮想ライブ空間」というキャッチコピーで知られる、2013年 11 月にスタートしたライブ配信サービスです。素人からプロまで、あらゆるジャンルにまたがる「配信者、演者」と呼ばれる放送主の方々が、まるで駅前で路上パフォーマンスをするかのように、インターネット上の無限に広がるライブ空間でパフォーマンスをしています。
 
インターネット上にある、生配信限定のゆるいテレビ番組を集めたようなもの、と思っていただければ良いでしょうか。
 
ただし、同じメディアでも、テレビとは大きく本質が異なります。違いをひと言で表現するならば、〝メディアへの参加可能性〟です。テレビは、あくまで受け身視聴が基本で、例えば食事をしたり、家族で談笑したり、あるいはスマホを触ったりする傍らで流し見る、受動的なメディアと言えます。
 
一方でSHOWROOMは、能動的に仮想のライブ空間に「参加」することが前提になっている動画メディアです。
 
視聴者は、そこでコンテンツを「見る」のではなく、そこに「居る」という感覚で、個性や人格を持って、演者とコミュニケーションを取ります。その視聴者の個性を表現するために、「アバター」と呼ばれるバーチャル上のキャラクターを使ってルームに入室するルールになっています。このアバターを通じて、視聴者は、さまざまな自己表現や、演者に対するアピールをすることができます。
 
また、SHOWROOMの特徴として、「ギフティング」という、課金機能があります。これは、まさにストリートミュージシャンの弾き語りを聴いて感動した際に、ギターケースにお金を入れて盛り上げるように、演者のパフォーマンスに感動した際や応援のために、デジタル上でギフトアイテムを投げ込める機能です。お気付きの通り、僕の幼少期の弾き語りという原体験が、SHOWROOMを作る上での、原型になっています。
 
第1章では、起業の原点となる、弾き語り時代のことを詳しく書いています。弾き語り経験を通じて抽出した、ファンビジネスの本質についても、この章で論じています。インターネット/ソーシャル時代にファンをつけるコツを知りたい方は、この章だけでも読んでいただけたら、何かしらのヒントを得ることができるかなと思います。
 
第2章では、エンターテイメント業界において、SHOWROOMがどのような変革を起こそうとしているのかを説明しています。演者が今まで通り、テレビなどマスメディアに出て、好感度を上げて、CMに出たり、一つでも多くのレギュラー番組を持ったりすれば良かった時代は、もはや過去のものだと論じています。一方通行ではなく、双方向。作り物より、リアリティ。新時代のエンターテイメント業界におけるニュービジネスの可能性を、ここで皆さんと一緒に考えたいです。
 
第3章は、SHOWROOM立ち上げに至る前の、新卒で入った外資系投資銀行でのサラリーマン時代の話をしています。〝外資系〟というワードから想像するイメージとは真逆のサラリーマン生活を、生々しく描写しました。サラリーマン時代の僕が何に苦しみ、喜び、成長したのか、いくつかのエピソードを通じて咀 そし 嚼 やく していただければと思います。
 
また、投資銀行に限らず営業・セールス業務に携わる方が読んで、ヒントになるであろう要素もあり、そういった観点でも参考にしてもらえたら幸いです。
 
第4章は、ニューヨークの投資銀行に移った後の奮闘記です。生き馬の目を抜くような熾烈な競争環境の中で、どのように結果を出してきたのか。また、激しいチャレンジを乗り越えていく中で、自分自身の価値観がどのような変遷を経て固まっていったのか。
 僕自身の死生観についても語っています。SHOWROOMという事業立ち上げの動
機にもなった代替不可能性という価値観の礎は、このタイミングで築かれました。
 
第5章は、投資銀行を辞めた後の、SHOWROOM立ち上げストーリーです。揺るぎなく強いビジョンとは裏腹に、挫折に次ぐ挫折、ビジネスはぐらぐら。投資銀行時代にあそこまで自信満々だった自分はどこへやら、というくらいに、事業立ち上げの現実は想像よりも重かったです。そんな状況から、どのようにしてブレークスルーを見出していったのか、また秋元康さんとの出会いについても語っています。
 
最後に、第6章は、SHOWROOMが志向する未来についてです。国内でナンバーワンになることは当たり前で、いかに世界一を獲るか、このビジネスがなぜグローバルな可能性を秘めたものであるのか、などという観点から論じています。
 
テクノロジーの変化や、国内外の動画ビジネス概況など、やや客観的な情報要素もありますが、この章で一番お伝えしたいのは、我々がSHOWROOMを通じて世界に与えたいインパクトの話です。
 
以上の6章で構成しています。
 
ビジネスにすぐに役立ちそうな要素も当然盛り込みました。
特に第1章、第2章は、音楽やライブ、芸能など、エンターテイメントに携わる方には、きっと深く理解、共感していただけるものだと思いますし、より広範なビジネスの文脈においても、役に立つ考え方やエッセンスを提供できているのではないかなと思います。
 
ですが、僕の願いは必ずしも、〝ビジネス〟ヒントを皆さんに与えることだけではありません。それ以上に、縁あってこの本を開いてくれたり、こうして僕に間接的にでも出会ってくださった皆さんの〝人生〟そのものを変えることが真の願いです。なぜなら、年間 10 万冊弱も新刊が出る中で、たまたま僕の本を手に取ってくださった方とのご縁を本当に大切に思うし、少しでも人生そのものに幸せをもたらせたらと考えるからです。
 
「秋元さん。僕は、ビジネスにも人生にも、勝算があります」
 
秋元康さんと出会った頃に、伝えた言葉です。僕の勝算は、ビジネスにとどまらない。僕は、自分の人生に勝つ自信がある。そんな、僕のような若造の言葉を受けて、秋元さんは、「君の、根拠のない自信が好きだ」と言いました。以来、「人生の勝算」という言葉は、僕が迷った時に立ち返る大事な考え方になっています。
 
上述の通りこの本では、成長ビジネスの勘所について語っており、この本を読めば、あらゆる〝ビジネス〟の勝算が上がると確信しています。しかし、単なるビジネス本は書きたくなかった。この本を手にとってくれた方が、自分の〝人生〟そのものについて、勝算を持つ。そんな、温かい本を書きたかった。
 
この本を通じて伝えたいことは、大きく三つです。絆の大切さ、努力の大切さ、そして、人生という壮大な航海において「コンパス」を持つことの大切さ、です。読み進めるにあたって、何度もこの三つの命題に触れていただくことになります。
 
本とは、著者と読者が深く心で通じ合う、ディープな対話の媒介だと思っています。もちろん紙の本自体は何も言葉を発しませんが、ぜひ僕と議論するような感覚で、読み進めていってもらえたら嬉しいです。もちろん、TwitterなどのSNSで、いつでもご意見をいただければ、そこでは本当に双方向の議論ができると思います。
 
そして、読み終わった後には、皆さん自身の「人生の勝算」について、思いを馳せて欲しいと思います。
 
僕が全力で魂を注ぎ込んだこの本が、皆さんの人生を1㎜でもプラスの方向に傾けることを、心から願ってやみません。
 
前田裕二


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※前田さんは覚悟をもって内容を公開されました。「その心意気、買ったぞ!」という方は、このブログをシェアしていただけると嬉しいです。