絵本『えんとつ町のプペル』のヒットで、すっかり話題が消えてしまったが、プペルの2ヶ月前に出版したビジネス書『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』も実はベストセラーで、売り上げは10万部を超えている。
この本には、今の時代の、
・企画の作り方
・人の巻き込み方
・バズらせ方
・作品の届け方
などを書いた。
『えんとつ町のプペル』の届け方も、この本に書いたことを、本当にそのまま実践しただけ。
机上の空論ではなくて、
日本で一番手売りをしてみて、
日本で一番お客さんと直に触れ合ってみて、
そこで肌で感じたお客さんの変化(時代の変化)を、そのまま書いた。
時代は猛スピードで変化していくので、『魔法のコンパス』に書いたことが5年後に通用するかどうかは分からないが(たぶん無理!)、すくなくとも向こう2年は通用すると思う。
一つ。
『魔法のコンパス』には、こう書いた。
(※『魔法のコンパス』-ネタバレと確認作業-より)
ルーブル美術館にモナリザを見に行く人は、テレビか教科書で、すでにモナリザを見ているし、
グランドキャニオンに旅行に行く人は、テレビかパンフレットで、グランドキャニオンを見ている。
これが、
「お金を払ったら、有名画家の素晴らしい絵を見せますよ」だったり、
「お金を払ったら、ものすごい場所までお連れしますよ」という、
『ふくろとじ』や『福袋』的な、"入場料を払ったら中をお見せします商売"をしていたら、
モナリザやグランドキャニオンは、ここまでヒットしていなかった。
まぁ、そんな話。
とにもかくにも、僕らは"すでに、ある程度の実力が計れているモノ"にしか反応していない。
そして、「それを生で見たらどうなるの?」といった類いの『確認作業』で、ようやく重い腰を上げている。
メガヒットしている『君の名は』を観に行くのも、「そこまでヒットする作品って、どんなの?」と、やはり確認作業だ。
行列ができるラーメン屋の行列に並ぶのも、やはり確認作業。
ヒットがヒットを生み、人が人を生む理由が、これだ。
ちなみに、この考えから2015年の独演会(僕の単独のトークライブ)をYouTubeで全編無料公開したところ、「無料で観れるんだったら、わざわざライブに行く必要がなくなる!」「ライブスタッフが食いっぱくれるじゃないか!」という声が上がったが、どっこい、翌年の独演会の集客は倍になった。
絵本『えんとつ町のプペル』を無料公開した2年前に、同様の実験(フリーミアム)を行い、結果が出ている。
ちなみにちなみに、同じ理由で、僕の個展は『撮影OK&SNSのアップもOK』だ。
『えんとつ町のプペル展』は、まもなく動員数20万人を突破する。
ここからは、人によっては、耳の痛い話をするので、聞きたくないなら、ここでブログを閉じてください。
絵本『えんとつ町のプペル』を無料公開したときに、
「そんなことを(そこを無料で提供)しちゃうと、クリエイターが食いっぱぐれちゃうじゃないか!」
という批判が上がった。
この言い分は、半分正解で、半分間違っている。
厳密に言うと、そこには
『無料公開することで、実力がバレて売り上げが落ちてしまう人』と、
『無料公開することで、実力がバレて売り上げが上がる人』の2種類が存在する。
無料公開することで食いっぱくれてしまう人が食いっぱくれるのだ。
これまで"入場料"によって隠れていたクリエイターの実力(作品のクオリティー)が可視化され、
ホンモノは、より売れるし、
ニセモノは、より売れなくなる。
無料化は、つまるところ『実力の可視化』で、それにより、これまで以上に格差が生まれる。
僕はこの時代の流れをかなり好意的に捉えている。
実力が正しく評価されるなんて最高だ。
これまで手が届かなかった"権力にかまけている重鎮"にパンチを当てられるわけだ。
"死ぬ気で努力をしているクリエイターが生き残り、
努力をサボって、既存のルールに守ってもらって生きようとするクリエイターが死ぬ"
とても真っ当なクリエイティブの世界じゃないか。
実力で格差が発生した方が健全じゃないか。
仲良しこよしクソ喰らえ、己の腕一本でのし上がってやろうと思って飛び込んだ世界だろ?
何をグダグタ言う必要がある?
無料化は厳密にいうと無料化ではない。
マネタイズのタイミングを後ろにズラしているだけで、どこかのタイミングで、一部の方からお金をいただき、それを運転資金に回している。
ドモホルンリンクルよろしく"無料お試し期間"を長くとっているだけの話だ。
「俺の実力を見てくれよ。ダメだったらお金を払わず帰ってもらって構わないし、良かったら投げ銭しておくれ」という話だ。
ちなちに、『ドモホルンリンクル』と『ヴィダルサスーン』は、僕の中での「必殺技っぽい名前」のツートップだ。
無料化に対する拒否反応の根底にあるのは、「ボクをおいてかないで」だ。
ここは学校じゃない。
100人が100人食っていける世界じゃない。
学校や会社の年功序列に嫌気をさして、自分が憧れて飛び込んだ"実力社会"だ。
『無料化』というのは、その実力社会が「もっともっと、実力をクリアにしようぜ」と提案しているわけだ。
当然、他人を妬み、他人に時間を使えば使うほど、これまで以上に出遅れる。
自分が妬んでいるアイツは、どんどんどんどん先に行く。じきに背中も見えなくなる。
やるしかないんだよ。
何があろうと、自分に時間を使うしかない。
指の形が変形するまでペンを握るしかない。
そういう世界です。
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