今日は少し真面目なお話を。


絵本を描いて、販売していると、親御さんから

「この絵本は子供向けですか?」

と質問される機会が少なくありません。

この言葉に含まれているのは、

「絵本にしては、ずいぶん描き込んでいるし、文章も長いけれど、コレ、ウチの子に理解できますか?」

といったところでしょう。

「子供の能力が自分(大人)よりも下」ということを決めつけている大人の口からしか出てこない言葉です。

たとえば、あなたの同年代の友達が女店員さんに対して、「この本、この子(あなた)にも理解できますか?」と質問していたら、あなたはきっと「ナメるなよ」と思うでしょう。


今から11年前。

銀座の薄暗いバーでタモリさんと二人で呑んでいた時に、タモリさんも同じようなことをおっしゃいました。

「ほとんどの大人は子供のことをナメてるよ」

その言葉が出たのは、『絵本』の話題になった時。


たとえば僕が子供の頃、
模型屋(プラモデル屋)さんが大好きで、お金は無いので買えなかったのですが、パッケージに描かれた戦艦や戦闘機のイラストに心を踊らせ、それで満足していました。
そのイラストというのは、『ゆるキャラ』のように筆の手数の少ないものではなく、ずいぶん描きこまれたものでした。

テレビをつければ、スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』が流れていて、「うおー!このプロペラだらけの飛行船、バチクソかっけー!」と興奮したものです。


ところが、『絵本』となった途端、親や先生は「子供はこういうものが好きでしょ?」
「これだと、あなたにも分かるわよ」
と言って、やけにフワフワとした、やたらとカラフルで可愛い絵本だけを押し付けてきました。

僕はもう、細密画の戦艦や戦闘機、スタジオジブリを知っているのにです。
毎日、大人と同じような景色を見ているのにです。


家があまり裕福な方ではなかったので、年に一度の外食では、下から2番目の値段のメニューを頼みました。
遠慮している姿を見せると親が気を使うので、下から2番目の値段のメニューを『大好物』ということにしていました。

お正月になると親戚中を回り、お年玉を貰ったのですが、すべて家計の足しにして欲しいと思って、だけどそういう理由で渡すと親が気を使うから、親に一旦預けて、返してもらうことを忘れることにしていました。

幼稚園の頃の話です。



この僕と同じような経験が皆さんにもあると思います。

あの頃から僕らの中身は今とそれほど変わっていなくて、だけど大人になった途端に、「子供向け」という言葉を使ってしまいます。
「これはウチの子でも分かるだろう」と、子供の能力を自分よりも低く見積もって(自分が理解できるものだけを買い与えて)、自分よりもサイズダウンした子を作ろうとしてしまいます。


少し話はズレますが…

子供の頃、親が三国志を読んでいたんです。
その背中が、とっても楽しそうだったので、僕もマネして読んでみたのですが、登場人物も地名も漢字だらけでまるで理解できませんでした。
だけど、だんだんと理解できるようになってきて、「理解できるようになってきた」という楽しみが生まれました。
「もっといろんなことを知りたい」と思うようになりました。

理解できるものばかり与えるということは、この類の感動をゴッソリと奪ってしまうということだと思います。

ちなみに、今では大の三国志ファンです。




11年前。


タモリさんと二人で「絵本を作ろう」という話をした夜。
子供のことをナメるのは辞めて、あくまで『対等』な立場で、「だからこそ手加減をするのは辞めよう」と決めました。

あの頃、親や先生が与えてくれなかった、「今の自分達が本気で面白いと思えるものを作ろう」と決めました。
自分達は少数派かもしれないけれど、特別ではないので、きっと、日本のどこかには、あの頃の自分達のように退屈している子がいるに違いないと。


『えんとつ町のプペル』という絵本を作りました。本気で作りました。

はたして存在するかどうかも分からない「子供向け」という言葉は完全に無視して、今の僕が本気で見たい作品を、1ミリも手加減することなく作りました。



今、Instagramで『#えんとつ町のプペル』と入れると、今の僕の本気を受け止めてくれた子供達の写真がたくさん出できます。

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image

image


写真がすべてを物語っていて、やっぱり間違っていなかったと思いました。
『子供向け・大人向け』なんてフルイは捨てて、
手加減なんて一切必要ないと思い、そしてこれからも彼らと対等に向き合い、彼らを信用し続けようと思いました。


image

この子の歌う歌が、また最高。
コチラ


大きく育てよ、ドンと行け。
今度はキミたちが面白い景色を見せてくれ。


『えんとつ町のプペル』を本気で作って良かったと、今朝、あらためて思いました。

image

【Amazon】
『えんとつ町のプペル』