月別アーカイブ / 2016年03月

もし、あなたが地方に住んでいて、
東京から遊びに来た友達を案内する時、
このことは絶対に踏まえておいた方がいい。


「オシャレなモノは東京に揃っている」


東京に住んでいる人間は、非日常を味わいたくて旅に出るわけだが、
たとえば、その感じで北海道に行った時に、オシャレな創作料理のお店に案内された時のガッカリ感は、地をエグるものがある。

僕は優しい男なので、地方の皆さんが同じ過ちを繰り返さないように、こうして言葉にさせていただくが、
あれは地獄で、何といってもタチが悪いのが、〟アテンドされた手前、文句が言えない〝のだ。

東京人の本音は以下の通りである。


「創作料理とかオシャレな内装なんて要らねーよ!
もっとオシャレな店は東京にゴマンとあるんだよ!
何、ワケのわかんねー劣等感を感じてんだよ!
コッチは『田舎ダセーな』とか思ってねえよ!
とっとと田舎を認めて、田舎で勝負しろや!
俺たちはお腹いっぱい『カニ』が食いてぇんだ!!」


お分かりいただけただろうか?
地方には地方の良さがあって、それを求めて時間とお金を払って地方に来ているのに、〟東京の劣化版〝を提供された時のストレスを言葉にすると、こんな感じだ。



さて、台湾メシである。

何を食べようかしらと、お店を検索。
当然、候補から外すのは『高級』『清潔』というワードを前面に押し出しているお店。

似たような店は、東京にゴマンとあるし、ヘタすりゃ、そういう店はリアルに東京に支店を出している可能性もある。
東京で食べられるものを、台湾で食べるほど私は知性が低くない。

旅先ならではの店を検索する時の、検索ワードはこうだ。

『台湾 小籠包 地元』

三つ目の『地元』が、とても大切。
こうすると、地元の人達に愛されている店が出てくる。

もしかしたら、少しお皿が汚いかもしれない。
もしかしたら、極端にネイティブな言葉で喋られて、うまく会話できないかもしれない。

でも、それでいいじゃないか。
それを経験するために旅に出たんじゃないか。

とにかく観光客向けではなく、地元民に愛されている小籠包を食べたくて、
『台湾 小籠包 地元』
で検索したところ、『京鼎楼(ジンディンロウ)』という店がヒットした。

台湾の超人気店『鼎泰豐(ディンタイフォン)』で働いていた兄弟が作ったお店で、やはり「地元民からも大人気!」とある。

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▲場所=No. 47, Changchun Rd, Zhongshan District, Taipei City, 台湾 104


少し小汚ないのかなぁと失礼なイメージを持っていたけれど、どっこい、店内はとても綺麗で、女性一人でフラッと入っても、何ら違和感はない。
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注文したいメニューは、紙に書いて店員に渡すスタイル。
追加注文する場合は口で伝えてもOK。
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注文から5~6分で、テーブルに2種類の小籠包が並んだ。
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普通の小籠包と、京鼎楼名物の『烏龍茶小籠包』である。

まずは普通の小籠包。
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▲10個=700円

皮に箸を刺し込んだ瞬間に、溢れ出てくるアッツアツの金色のスープ。
酢醤油と生姜と共に、一気に口に放り込む。

途端、口の中に広がるジューシーちゃん。
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肉感ある中具と肉汁たっぷりのスープ、そして、それを優しく包み込んでくれるコシのある皮。
なんだよ、この奇跡の組み合わせは!
飲み込むなんてもったいない。いつまでも口の中に残しておきたい。

次に烏龍茶小籠包である。
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▲10個=800円

皮を割ると、お茶色の肉汁が溢れ出す。
一口食べた時の正直な感想は、「普通の小籠包の方が美味しい」であった。
しかし、せっかく買ってしまったので、もったいないので、平らげてしまおうと、二口、三口食べているうちに、あれれれ?

おい、ちょっと待て!

皮にも具にも、練り込まれた、お茶のほのかな苦味が、食べれば食べるほどクセになる!
中毒性がございます。用法容量をお守りください。
烏龍茶小籠包は一口で判断しないで!!
二口目以降から、ホントに美味くなるから!!!!

小籠包って、こんなに美味しいのね!!


その味に、あまりにも感動した僕は、
お会計を済ませた後に、シェフのもとへ走り、

「本当に美味しかったです!こんなに美味しい小籠包を食べたのは初めてです!日本から来て良かったです!本当に!」

と感動を伝えたところ、とても優しい顔をしたシェフから、

「ありがとうございマス。うれしいデース。ウチは、日本にも、東京の恵比寿や池袋、他にも、たくさん支店を出しているので、帰国した際は行ってみてくだサイ」

という言葉が帰ってきて、その場で一回死んだ。

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錦帯橋の帰り道。
台湾には、赤色と緑色の2種類の郵便ポストがあることに気がついた。

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気になったのでW氏(Wikipediaのこと)に訊いてみると…

「緑色=台湾国内専用」
「赤色=エアーメールと速達専用」

とのこと。
しかし、そんなもの、日本の郵便ポストのように『受け口』さえ分けてしまえば解決するわけで、わざわざ郵便ポストを二つも用意する必要がない。


なぜ台湾の郵便ポストは緑と赤の2つのポストが設置されているのだろう?


どうやら、これには台湾の歴史が深く関係しているということが、北海道立オホーツク流氷科学センターの調べで分かった。

台湾が日本に統治されていた時代には、台湾のポストも日本同様、赤色で統一されていたようだが、
戦後、国民党(今の台湾の政党)が中国大陸から台湾へ渡って来て以降、緑色の郵便ポストが使われるようになったという。

中国大陸で使われている郵便ポストは緑色で統一されているのだ。


「赤でいく?それとも緑?」
という論議の末、
「ここは仲良く、両方残そうよ」
という結論を出したんだってさ。

さすが台湾。
なんてキュートな答えなんだろう。
仲良く「間」をとったのだ。
友達に、いてほしい。
そして大事な会議には、いてほしくない。


ちなみに、なぜ、日本の郵便ポストが赤色になっているかというと、
これは、明治時代にイギリスの郵便制度を導入して赤いポストが使われるようになったのだそう。
起源はイギリスにあったのだ。

ちなみに、今では中国の一部になっている『香港』の郵便ポストの色も赤色。
同じく起源がイギリスにあるからだ。
郵便ポストの色を見れば、その国の郵便制度の起源がどこかが分かる。

なるほど勉強になった。


郵便ポストの歴史に想いを馳せながら、ホテルでシャワーを浴び、
ご飯を食べようと外に出た瞬間、
スットンキョウな景色が目に飛び込んできた。

なんだコレ?

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赤と緑、仲良く並んだ郵便ポストが、グニャリと首を傾げているではないか!
ピクサーアニメのキャラクターみたいで、なんだかとってもキュートだぞ。

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▲住所=台北市中山區龍江路104号
MRT(地下鉄)「南京復興駅」が最寄り駅。セブン-イレブン龍京店の前

聞けば、台風の影響で、このようにヘニョヘニョになってしまったらしいが、
ご覧の通りのキュートっぷりが話題となり、軽い観光スポットとなっているので、「可愛いし、このまま残そう!」
となったそうな。

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台湾は郵便ポストは、どこまでもキュートで、
そして僕は「GO!皆川は最近元気にしてるかなぁ?」と想った。
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海外に来た時は、必ず毎朝早朝ジョギングをするようにしている。

理由は二つある。

一つ目は、海外に来たからには、普段、食べることのない美味しいモノや美味しくないモノも〝体験〟したいので、なるべくお腹をペコペコにしておくため。

二つ目は、特に観光地であればあるほど、朝は人が少なくて、景色を独り占めできるから。

ジョギングウェアに着替え、
今朝は4時半に台北のホテルを出て、台北駅からは距離にして約11キロのところにある『大湖公園』に行った。

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▲住所:台北市內湖区成功路5段31号
交通:MRT文湖線・大湖公園站下車すぐ



『大湖公園』は地下鉄の駅前なので都心からのアクセスはかなり良く、海外からの観光客がドッと押し寄せる人気スポットだ。

とはいえ『公園』である。
なにゆえ、高い飛行機代を支払って公園に来る必要があろうか?

理由は、この公園の中にある『錦帯橋(きんたいきょう)』という橋にあった。

なんでもこの橋は、『世界の神秘的な橋ランキング』でネット投票1位を獲得したというのだ。
『世界の橋ランキング』ではなく、『世界の神秘的な橋ランキング』である。

ちなみに、日本最高位は山口県岩国市にある『錦帯橋』の36位。
偶然にも『錦帯橋』という同じ名前である。
こんな偶然あるのかな?
ここで僕は良からぬことを考える。

台湾の『錦帯橋』に投票しようとした人が、誤って、日本の『錦帯橋』に投票したんじゃね?
これ、いわゆる「ごっつぁんゴール」じゃね?


気になったので、日本の『錦帯橋』を検索。
日本の錦帯橋がダサかったら、「ごっつぁんゴール説」を流布するつもりだったのだが…

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素敵だった。
こんな五連の反り橋は見たことがない。
五連の反り橋は、川幅が広かったから生まれたアイデアなのだろう。
それにしても美しい。

まるで牛若丸が弁慶と対峙した時に、五条大橋の欄干をピョンピョンと飛び回った時の軌跡のようであり、そんなことよりも、橋を表現する時に、喩えで、別の橋を出してしまったことを深く反省している。

とにかく素晴らしいじゃないか。
山口の『錦帯橋』はイイゾ!
世界36位も納得できる。
「ごっつぁんゴールじゃね?」と一瞬でも疑った、あの時の自分の頬を強くひっぱたいて、美女に介抱させてやりたい。

しかし、これで世界36位だ。
世界1位は、どんなだろう?
いやがうえにも期待が高まる。

公園の奥に歩を進め、ヤツは突然現れた。

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息を飲んだ。
背景に溶け込んだその姿は、まるで水墨画のようであった。
向こう岸に人が一人いたが、僕と同じように、この景色に圧倒されているのか、まるで動こうとせず、そのことが余計に一枚絵としての完成度を高めていた。

そして僕は「早朝に来て良かった」と思った。
この奇跡のような景色を独り占めできたのだから。
台北に行かれる際は、早朝の錦帯橋をオススメする。


気づけば、朝日が昇っていた。

おそらく、一時間以上、その場に立ち尽くしていたのだろう。
僕は、この感動を、そして感謝を誰かに伝えたくて、
財布の中に入っていた臭豆腐の領収証の裏に、
「台湾、謝謝!(ありがとう台湾)」
と書いた。

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