別府温泉の歴史は古く、奈良時代(710年~794年)に書かれた「豊後国風土記」や「伊予国風土記」に登場しているらしい。
「風土記(ふどき)」というのは、名産物や名所、伝説その他を、地方別に記した書物のことで、まあ、今でいうガイドブックのようなもの。
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大分空港からバスに揺られること約40分、そこから、差し入れ用に買った「ざびえる」(残り2個)を食べ尽くすこと5分。
ここまで来たからには大分の海の幸をいただこうと思い、「大分 寿司」で検索すると、
『亀正くるくる寿し』という回転寿司屋さんがヒット。
調べてみると「別府で一番ウマい」と評判だ。

「じゃらん」の口コミ評価では5点満点中、4.6点と超高得点。ほぼ満点ではないか!
旅行代理店の方との待ち合わせ時刻は迫っていたが、
しかし、
昔から、どこかで言い伝えられているハズの、

「旅行代理店に行くのは、大分旅行を堪能してからであるべしぞも」

という聞いたこともない言葉を無視するわけにはいかないので、『亀正くるくる寿し』に向かった。
先祖連中のことは大事にする男なのである。


『亀正くるくる寿し』はランチタイムでもないのに店内には客が溢れかえっていた。
どうやら大変な人気店だ。
客商売をする身としては、この繁盛っぷりには憧れる。
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こちとら、その昔、
とある劇場で、「お客さんが2人」という世紀末的状況があった。
それでも漫才師は相方の顔を見れば誤魔化しもきくが、
その時、地獄を見たのが「もりやすバンバンビガロ」というピンの大道芸人。

「お客さん二人をステージに上げて、くす玉を割る」というネタがあるのだが、その時も、お客さん2人をステージに上げてしまい、客席で見る人がいなかったのだ。
ステージに3人、客席に0人。
誰がどう見ても、リハーサル風景にしか見えないカオス空間。
くす玉が割れる音が、あそこまで鮮明に聞こえたのは、地球創生以来初めてだろう。
くす玉は、とても乾いた音で割れるのであった。


さて本題、『亀正くるくる寿し』の寿司である。
まずは見た目。
とにかくネタが大きいのなんのって!
それでいて、一皿130円~200円程度で、バチクソにリーズナブル。
一番高いものが、かの有名な「関サバ」「関アジ」のご両人、これも360円。
さらには、魚の出汁が効いていて美味しい味噌汁が「飲み放題」ときた。
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このボリュームで、この値段は絶対マズイに決まっている。
きっとネタもシャリもパサパサに違いない。そうでないと割が合わないからだ。

ところがどっこい、割が合わなかったのである。
ネタの締まり、甘み、そして透明度、全てに非の打ち所がない。
鹿児島産カンパチの歯ごたえよ、太刀魚のプリップリぶりよ!
甘ダレが少し塗られた「うなぎ」は、ふっわふわ。
「中トロの軍艦のせ」に関しては、「よくぞ軍艦に乗ってくれた」と叫んだほどだ。
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ときどき酢が立ち過ぎている酢飯を提供する寿司屋に出くわすことがあるが、
『亀正くるくる寿し』のシャリの酢加減は絶妙すぎるったらありゃしない。これぞ銀シャリ!
ちなみに、お笑いコンビ『銀シャリ』の橋本くんは「おでん君」に似ている。
僕の相方の梶原君は「周富徳」に似ている。

これだけ食べて、2000円以内で収まった。
天国すぎるぞ、『亀正くるくす寿し』。
別府に行かれる際は、是非、お立ち寄りいただきたい。
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▲営業時間11時~21時 
定休日:水曜 ※完全禁煙
行き方:亀の井バス「湯の川口」下車すぐ


腹がパンパンに膨れ上がったので、旅行代理店まで歩いていくことにした。
ここは硫黄の匂いがほのかに香る、湯けむり温泉郷である。

旅行代理店の外で出迎えてくださったのは20代半ばの女性店員さん。
名札には「佐伯」と書いてあった。

佐伯さんは、美しく大きな瞳だけれど、笑うと顔がクシャッと潰れて、それがもう可愛いすぎる。
そよ風が局地的に突然発生しているのだろう。終始、髪がフワフワとなびいていた。
おかげでシャンプーの匂いが漂い、半径10メートルが春になる。

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(旅行代理店の佐伯さん)

その天使のごとき佐伯さんに対し、店の奥から上司と思しき男が「おう、よろしく頼んだ!」と実に偉そうに声をかけた。

その偉そうすぎる感じは、まさに独裁者のそれで、おそらく佐伯さんの最愛の妹を人質にとっているか、
佐伯さんのお母様の病気を治す奇跡の漢方薬を全て牛耳っていて、
それをダシに、佐伯さんに奴隷契約を結ばせたに違いないすぎるのであった。
絶対に性格が悪いに決まっている。
店の奥で犬や老人を蹴っていたような気もする。いや、たしか蹴っていた。

そんな中、佐伯さんは
「はーい!」
と手をあげて、これまたくったくのない笑顔を独裁者に返すもんだから、
僕は胸を締め付けられ、ここから助け出してやりたくなった。

ーーこの感情を「恋」と呼ぶのだろうか? 

いいや、まだ出会ってばかりでパーソナル情報が1ミリもない相手に恋をするはずがない。
その時、昔、スピードワゴン小沢さんが教えてくれた言葉を思い出した。


「恋は『する』ものではなく、『落ちる』ものだよ」


結論、
スピードワゴン小沢さんは今日も気持ち悪いのである。




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出しゃばる素人ほど痛々しいものはない。
「大阪は笑いの街や!」と豪語する大阪人の素人は、“地球上に存在する全生物の中で一番面白くない”というデータが、北海道立オホーツク流氷科学センターの調べで出ている。
街ブラロケなどで、誰からも求められていないのに矢継ぎ早にボケては、ゲロスベリしている大阪人を、皆様も一度は見たことがあるだろう。
あれぞ大阪人の素人の真髄だ。

大阪人に限らず、素人は素人らしくしていればいいのである。
僕は旅に関してはズブの素人なので、「旅は行きあたりバッタリだぜ」と“ツウ”ぶるのは辞めて、徹頭徹尾、旅のプロフェッショナルに頼ることに決め、
旅行代理店がある大分へ飛んだ。

大分空港到着早々、手荷物受取場で腰を抜かした。
なんと、乗客の荷物が載っているはずのベルトコンベアーに、巨大なお寿司が載って流れてくるではないか。
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巨大なエビの握りや、巨大なウ二の握りなど、次から次へと。


係の人に話を聞くと、大分の海の幸をPRするために2006年から始めた観光客向けのサービスらしい。
「ここに来た人は、皆さんビックリするんですよ~」と得意気に語っておられた。
皆さんビックリするということは、2006年から、かれこれ10年近く浸透していないということだ。凄まじい忍耐力である。
どうやら、大分の方は我慢強いらしい。

係の人が、
「コレ、なかなか、いいネタでしょう? 寿司だけに」
と、必殺技をスマッシュしてきたので、
「とっても面白いですね。もう一回言ってください」と言って、その場を後にした。


これから半年間の運命を決めてくださるといっても過言ではない旅行代理店殿に手ぶらでお会いするのも違くね?と思い、空港で差し入れを買っていくことにした。

大分空港のお土産売り場は広く、活気に満ち溢れていた。
お土産売り場のお婆ちゃんに「一番人気のお土産は、どれですか?」と訊くと、
「しらしんけん美味しいけん、食べてみよ!」
とワケのわからない言語をほざかれた。

試食用の饅頭を出されたので、「すごく美味しいから、食べてみなよ」というような意味だろう。
饅頭のパッケージには「ざびえる」と書いてあった。大分空港のお土産人気No.1だそうな。
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▲電話での通信販売もされているらしい。
『ざびえる本舗』0120-135-363
9時~16時(定休日:水、日)


「ざびえる」はラム酒漬のレーズンを白餡に練り込んだ焼き饅頭であった。
皮はバター風味で、厚さがちょうどいい。アルミホイルにくるんで焼いているそうで、そのせいか、しっとり感もあった。
ラムレーズン味がほんのりと香る程度で、餡も甘すぎず上品で、そのバランスが絶妙であった。
ババアが「しらしんけん…」とか言い出した時は腰と膝を重点的に殴り削ってやろうかと思ったが、思いとどまって正解だ。
「ざびえる」は、かなり美味しかったのだ(マジでオススメ!)。
さすが人気No.1である。これなら、差し入れとして立派に役目をつとめてくれるだろう。
差し入れ用に6個入り(648円)を買い、
自分用に36個入り(3240円)を買った。


空港から旅行代理店がある別府まではバスを利用した。
別府までは約40分。値段は1400円だった。いつの世も旅行代理店は遠いのである。

途中、やけにトンネルが多いことに気がつく。
隣の席に座っていた年収が低そうなオジサンに訊くと、「大分はトンネルの県なんだよ」と、年収が低いくせに話し始めた。
「今度、ここからチョイといったところにある『青の洞門』に行ってみるといいよ」
「あおのどうもん?」
「今から250年前に、禅海さんという和尚さんが仲間を集めて、ノミだけで掘ったトンネルだよ」
「ノミだけ!? ちなみに、そのトンネル、長いんですか?」
「342メートル」
「うそん!め、メッチャ時間がかかったんじゃないですか?」
「30年」

さんじゅうねん!?
数字ボケの最高峰は、桜木花道がバッシュを買う時の「30円」か、
フリーザ様が語った「私の戦闘力は53万です」だと思っていたが、
「トンネル掘ること、30年」も負けちゃいない。
大分空港の回転寿司といい、やっぱり大分の人は我慢強い。

時系列が前後するが、今回の旅行代理店の帰りに『青の洞門』に寄ってみた。
言葉を失った。
その昔、ここに、ノミだけで30年間もトンネルを掘り続けた男達がいたのだ。
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「大分は日本一トンネルの多い県なんだよ」
とオジサンは教えてくれた。
大分の山々と、リアス式海岸(あのデコボコしたやつ)が、トンネル日本一を生んだらしい。
「大分はサフラン(たぶん、香辛料)の生産量も日本一だよ」
とも教えてくれたが、サフランの知名度が日本8万位ぐらいなので微妙だなぁと思ったので、「サフランって、本当にイイですよね」
と言って席を移動した。

道中、小腹が空いたので、差し入れ用の「ざびえる」を4個食べた。
バスはまもなく別府に着く。

「石田純一はピザを食べるためだけにイタリアへ行ったらしい」
という噂の真相を確かめようと、石田純一さん御本人を直撃したところ、

「やだなぁ、そんな噂があるんですか?」
「はい、聞きました。……違うんですか?」
「ピザを食べるためだけにイタリアに行くわけないじゃないですかぁ(笑)」
「…やっぱり、そうですよね」
「パスタですよぉ(笑)」
「はへ?」

ピザではなく、パスタだったそうだ。
こちらとしては料理の種類なんて紅白歌合戦の勝敗ぐらいどうでもいい。
何かを食べるためだけにイタリアへ飛んだというのだ。恐るべし石田純一。
なんというスケール感か。

それに比べて僕はどうした?
セコセコと東京~大阪を行ききし、ときどき地方に飛ぶ程度。それも全部仕事だ。実に貧乏くさい。
35年の人生で僕が見た景色は、世界の何割だろうか?
このまま終わらせるつもりなのか?
コンビニに行くノリで海外に行き、
世界の様々な人や景色に出会い、
グローバルを身にまとい、
ショーンKの後釜となって、
『情熱大陸』や『プロフェッショナル』に追いかけられ、横顔で仕事論を語るのが僕の夢だったハズだ。
このまま終わらせてたまるか。

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「もしもし、マネージャーさん。ボクだよ…」

さっそくマネージャーに電話を入れた。
「来週から半年ほど海外に行くから、仕事を全てキャンセルしておいて」
「え? そうすると、梶原さんはどうするんですか?」

なるほど。
たしかに僕は「キングコング」というコンビで活動しているので、僕が休みをとってしまうと、その間の梶原の収入がストップしてしまう。

現在、彼は上沼恵美子さんの子分として奮闘しているが、さすがにそれだけでは生活していけないだろう。
彼には養わなければならない「家族」がいて、ネタは一本も作ったことがないクセに、子供は3人も作っているのだ。

どうすれば梶原を納得させることができるのか?
いろいろ考えていた時に、ふと思った。


ーーアホだから、相方が海外に行ったことに気づかないのではないだろうか?


梶原はアホである。

コメディの台本読みをしていた時に
「照明さん!照明さ~ん!」
というセリフを、
「テルアキさん!テルアキさ~ん!」
と大声で読んだ。
もちろん「テルアキさん」などというキャラクターは存在しない。

「今回のワールドカップ泣いてもうたわぁ」と言うので、
「感動するシーンなんかあった?どこで泣いたの?」と訊くと、
「リビングで」と、場所を答えやがった。

寝言で「眠い」と言ったこともある。

そんな金魚サイズの脳ミソしか搭載していない男が、そういえば相方が半年いないことに気がつくだろうか?

「…西野さんが半年も休むことに、梶原さんは何も言わないですかね?」
「たぶん、気づかないから大丈夫」
「まぁ、言われてみればそうですね。アイツらアホですもんね」

マネージャーが言った「アイツ“ら”」というのは、梶原家のことを指している。
マネージャーは無意識のうちに、梶原雄太はもちろんのこと、嫁・子供もろともブチ殺していた。

こうして、無事に半年間の休みをゲットすることに成功したのだった。


さて、ついに西野が海外に行くぞ。

とりあえず近場のアジアから攻めてみようと地図を広げたところ、アジアというのは想像以上に広く、「南アジア」や「西アジア」なんてのを入れてしまうと、イランもアジアだし、イラクもアジアらしい。
そういえばサッカーのアジア予選で、「さすがに『アジア人』と言い張るには無理があるだろう」という人達がサッカーボールをポコポコ蹴っているのを時々見かけるが、どっこいアジア人なのだった。
トルコアイスを売っているオジサンもアジア人だ。

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(色の付いているところがアジア!広いぞ!)

調べてみると「アジア」というのは古代ギリシアで生まれた概念で、
そこから文化が東に東に流れて、ようやく日本に伝わったようなので、
日本のアジア濃度は限りなく低く、
むしろ、ギリシアに程近い場所にお住まいになられているトルコアイスのオジサンの方が僕らよりもアジア人なのだ。

ちなみにエジプトは世界で唯一、二つの大陸にまたがる国で、スエズ運河を境に東がアジアで西がアフリカというじゃないか。
大陸を二股するとはゲスの極み。ロマンスがありあまる。

広いぞアジア。近場だと思ってナメていたが、とんでもなかった。だいぶ向こうの方までアジアじゃないか。
しかし、こんなところでヒヨっていては、いつまでたっても『情熱大陸』には相手にされず、地獄番組『ゴッドタン』に処刑される日々が続いてゆく。ここから脱せねば。

とりあえず、名前を聞いたことがある国に行くことに決め、中国、タイ、ミャンマー、トルコ、レバノン、カンボジア、イラン、ブータン、ベトナム、インドの10カ国を回ることに決めた。まずは旅行代理店に行こう。
その矢先、梶原からメールが入った。

「半年間海外に行くって聞いたんやけど、ボク、どうしたらいいのかな?」
……気づいてやがる。

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